業務の属人化を防ぎ、全員が統一された基準で作業を進めるためには、社内マニュアルの存在が欠かせません。
しかし、いざ作成しようとすると「どこから手を付ければいいのかわからない」「時間がかかりそうで手が進まない」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、社内マニュアルの作成法や、作成のメリット・デメリットを詳しく解説します。
作成するときのコツも紹介しますので、業務改善を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
社内マニュアルの作成方法
ここでは、社内マニュアルの作成方法について、以下の6点を解説します。
- 目的を明確にする
- スケジュールを決める
- 情報を収集・整理する
- 構成を作る
- マニュアルを作る
- 配布・運用する
1つずつ見ていきましょう。
目的を明確にする
社内マニュアルの作成方法の1つ目は、目的を明確にすることです。
目的を定めることで、マニュアルの方向性が決まり、作成する工程がスムーズになります。具体例には、業務プロセスの標準化・新入社員の教育・品質管理の向上などが挙げられます。
また、マニュアルでカバーする範囲を具体的に決めておくことも重要です。
一部の職務や部門内での使用に限定するのか、企業全体の方針や手順を含めるのかを決めることで、実用性の高いマニュアルを作れます。
社内マニュアルを作成する前に、目的と範囲を明確にしておきましょう。
スケジュールを決める
社内マニュアルの作成方法の2つ目は、スケジュールを決めることです。
マニュアルが必要になる時期を把握し、そこから逆算して作成の計画を立てていきます。例として、新入社員向けのマニュアルが必要であれば、一般的に4月の入社に間に合うように準備を進めます。
そのためには、どのタイミングで作成を開始すればよいかを計算していきます。
同様に、製品に関するマニュアルの場合であれば、製造開始時期や商品開発のスケジュールを考慮して計画を立てていきましょう。
情報を収集・整理する
社内マニュアルの作成方法の3つ目は、情報を収集・整理することです。
業務内容を正確に説明・解説するためには、業務内容の把握は欠かせません。作成者自身の業務内容に加え、可能な限り関連する部署やワークフローに関わる人々からも情報を集めましょう。
業務の全体像を把握し、内容の正確性を向上させるためです。また、情報を収集するときには、必要な資料やデータもあわせて集めておくことをおすすめします。
情報収集と整理の質がマニュアルのわかりやすさを左右するため、重要なプロセスです。
構成を作る
社内マニュアルの作成方法の4つ目は、構成を作ることです。
マニュアルの作成目的に基づいて、個別の項目を設定していきます。
例えば、営業チーム向けのマニュアルなら、テーマは「営業活動の効率化」で、「顧客リストの作成」「初回訪問時のプレゼンテーション」「フォローアップ」「契約締結の手順」といった具体的な業務が項目となります。
また、個別の項目ごとに、その作業で「何を達成したいのか」を具体的に示し、理念や考え方を付け加えていくのもよいでしょう。
全体のテーマと項目ごとのテーマを関連付けながら構成を作成すると、わかりやすく実用的なマニュアルに仕上がります。
マニュアルを作る
社内マニュアルの作成方法の5つ目は、マニュアルを作ることです。
情報を集め、理念や考え方と照らしあわせて整理し、図表を使ってわかりやすくする作業です。念入りに確認していくと細かい部分が気になり、終わりが見えなくなることもあります。
そのため、どこかで「完成」と区切ることが重要です。 マニュアルは一度完成させたら終わりではなく、実際の運用の中で改変していくものです。
例えば、プロジェクトやワークフローの終了時点を一旦の完成点とし、その後、運用の中で発見される改善点を随時反映していくとよいでしょう。
配布・運用する
社内マニュアルの作成方法の6つ目は、配布・運用することです。
完成したマニュアルは、新しく業務に就く人だけでなく、これまで同じ業務を担当してきた人にとっても、自分の業務を見直す重要なきっかけとなります。
作成者がマニュアルの利用者でもある場合は、率先して内容に沿ったワークフローを実行することで、他の従業員の見本となるでしょう。
マニュアルの配布後は、全員がマニュアルに基づいて業務を進めることで、組織全体が一つの方向性に向かって動きやすくなります。
さらに、業務の生産性向上やミスの減少も期待できます。
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社内マニュアルを作成するメリット
ここでは、社内マニュアルを作成するメリットについて、以下の3点を解説します。
- 工数を削減できる
- 業務の標準化ができる
- 教育を効率化できる
1つずつ見ていきましょう。
工数を削減できる
社内マニュアルを作成するメリットの1つ目は、工数を削減できることです。
社内マニュアルを作成することで、工数削減が期待できます。業務の手順やルールが明確に文書化されるため、従業員が迷うことなく作業を進められるようになります。
そのため、特定の従業員に確認を求める時間や、手順の理解に費やす時間も減らせるでしょう。
業務の標準化ができる
社内マニュアルを作成するメリットの2つ目は、業務の標準化ができることです。
マニュアルがあることで各業務の属人化を防ぐことができ、誰もが一定の基準で業務を実行できるようになります。
業務が属人化している場合、「特定の人にしか業務が進められない」「担当者によって対応の質や量が異なる」といった問題が生じることがあります。
しかし、マニュアルを活用することで業務の流れや手順を明確にし、質を一定以上に保つことが可能です。
また、マニュアルは実務にあたる従業員だけでなく、指導や評価を行うマネジメント層にとっても有益です。
従業員の業務達成度を基準に照らして可視化できるため、適切な指導や評価が可能になるでしょう。
関連記事:業務標準化とは?進め方やメリット・デメリットとともに解説
教育を効率化できる
社内マニュアルを作成するメリットの3つ目は、教育を効率化できることです。
マニュアルに業務の手順やポイントが詳細に記載されているため、新入社員や異動者への指導が体系的かつ効率的に行えます。
従業員が自分で必要な情報をマニュアルから学べるため、教育担当者は、繰り返し同じ説明をする必要はありません。
このとき、動画や図解を活用したマニュアルであれば、理解を深めやすく実践的なスキルも身に付くでしょう。
教育コストを削減しつつ質を向上させる点でも、マニュアルは欠かせないツールです。
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社内マニュアルを作成するデメリット
ここでは、社内マニュアルを作成するデメリットについて、以下の2点を解説します。
- 作成の手間がかかる
- 臨機応変な対応がしづらくなる
1つずつ見ていきましょう。
作成の手間がかかる
社内マニュアルを作成するデメリットの1つ目は、作成の手間がかかることです。
業務内容や手順を正確に整理し、文書化するには多くの時間と労力がかかります。業務が複雑な場合や関係者が多い場合、情報の収集や確認作業は膨大になることも少なくありません。
作成後も定期的な更新が必要になるため、改訂する手間も発生します。マニュアル作成の負担は、小規模な組織やリソースが限られている場合に重くのしかかることがあります。
そのため、マニュアル作成を前提として、リソース配分を考える必要があるでしょう。
臨機応変な対応がしづらくなる
社内マニュアルを作成するデメリットの2つ目は、臨機応変な対応がしづらくなることです。
業務の手順やルールを標準化する目的で作成されるため、マニュアルに従うことが基本となります。
しかし、すべての業務がマニュアルでカバーできるわけではないため、想定外の事態や新しい状況に直面した場合、柔軟な対応が難しくなることがあります。
そして、従業員がマニュアルに頼りすぎると、自ら考えて解決する力や独自の判断が発揮できないことも珍しくありません。
また、マニュアルが厳密であるほど、例外的な対応や改善を提案しにくい雰囲気が生まれることもあります。
結果的に、組織全体の対応力や柔軟性が低下するリスクがあります。マニュアルはあくまでガイドラインとして活用し、可変性を保つ運用が不可欠です。
社内マニュアルを作成するときのコツ
ここでは、社内マニュアルを作成するときのコツについて、以下の5点を解説します。
- わかりやすく簡潔に書く
- 専門用語を使わない
- 図や表を用いる
- 改訂を前提としておく
- ITツールを活用する
1つずつ見ていきましょう。
わかりやすく簡潔に書く
社内マニュアルを作成するときのコツの1つ目は、わかりやすく簡潔に書くことです。
マニュアルは多くの従業員が利用するため、誰が読んでも理解しやすい文章を心がけましょう。
長すぎたり余計な情報が多かったりするマニュアルでは、重要な情報を見つけられず、誰にも使われなくなってしまいます。
マニュアルの目的は業務を効率化することにあるため、簡潔かつ的確に情報を伝えることを心がけましょう。
専門用語を使わない
社内マニュアルを作成するときのコツの2つ目は、専門用語を使わないことです。
マニュアルは幅広い従業員が利用するため、特定の部門や業務に特化した専門用語を使うと、内容が理解できません。
特に、新入社員や異動したばかりの従業員は専門用語に馴染みがない場合が多く、業務の習得に時間がかかってしまいます。
誰もが理解できる平易な言葉で説明することを心がけましょう。 どうしても専門用語を使う必要がある場合は、意味をわかりやすく補足説明することが大切です。
例えば、「〇〇(専門用語)とは△△のことです」といった形で解説を加えると、理解しやすくなります。
書き方を工夫していくことで、誰にとっても使いやすいマニュアルが完成するでしょう。
図や表を用いる
社内マニュアルを作成するときのコツの3つ目は、図や表を用いることです。
視覚的な情報は文字だけの説明よりも直感的に理解しやすいため、手順やプロセスを説明するときに役立ちます。
例えば、フローチャートを用いると、業務の流れや選択肢が一目で把握できます。
また、表を使えば、複数の情報を比較しやすくなり、情報の整理やポイントの明確化に役立つでしょう。業務内容によっては、画像や写真を挿入することも効果的です。
ただし、図や表を用いるときは、見やすさを重視し、過剰に装飾を施したり複雑にしすぎたりしないよう注意しましょう。
改訂を前提としておく
社内マニュアルを作成するときのコツの4つ目は、改訂を前提としておくことです。
業務内容や手順は時間とともに変わることが多いため、最初に作成したマニュアルがいつまでも通用するとは限りません。
変更が生じたときにはすぐに反映できるように、改訂しやすい構成やフォーマットにしておくことが大切です。
章やセクションごとに内容を分け、修正が必要な箇所をわかりやすくしておきましょう。
また、改訂履歴を記録しておけば、更新内容を追跡でき、利用者が最新情報を簡単に把握できます。改訂のタイミングを設定しておくことで、更新を忘れずに運用できます。
ITツールを活用する
社内マニュアルを作成するときのコツの5つ目は、ITツールを活用することです。
ITツールを活用すると、作成を効率化できます。例えば、専用のマニュアル作成ソフトやクラウド型のドキュメント共有ツールを使えば、複数人で同時に編集したり、バージョン管理をスムーズに行えたりします。
また、検索機能があるツールを活用すれば、利用者が必要な情報を迅速に見つけられるようになるでしょう。
マニュアルの作成時間を短縮すると同時に、内容の充実度を高めるためにも、ITツールの使用は欠かせません。
まとめ
今回は、社内マニュアルの作成法や、作成のメリット・デメリットを詳しく解説しました。
社内マニュアルの作成には、業務の効率化や標準化、教育の簡略化などのメリットがあります。
一方で、作成に時間や手間がかかることや、臨機応変な対応が難しくなるといったデメリットも見逃せません。作成するときには、改訂を前提に設計し、ITツールを活用しましょう。
本記事で紹介したポイントを意識して、社内の課題解決や業務改善に役立つマニュアルを作成してみてください。
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