コミュニケーションコストが高い!問題とコスト削減方法を解説

ただ、コミュニケーションに余計な手間がかかると、業務に支障が出ることもあるでしょう。
そこで重要なのが、「コミュニケーションコスト」です。
詳細な内容は後述しますが、ブルックスの法則によると、メンバーが多くなるほどコミュニケーションコストが増大する傾向にあります。
また、コミュニケーションコストがかかる人の特徴や下げる方法について把握していると、コミュニケーションコストが課題になっている場合でも的確に対処できます。
そこで今回は、コミュニケーションコストの意味や高いことによって生じる問題に加え、その下げ方を解説します。
【目次】
コミュニケーションコストとは
コミュニケーションコストとは、職場での情報共有や意思疎通に必要な時間や労力です。ビジネスを進める過程では、社内外の関係者とのコミュニケーションが必ず発生します。
ただ、そのコミュニケーションに手間がかかりすぎると業務に支障が出かねません。
ここでは、コミュニケーションコストに関する基礎知識について、以下の2点を解説します。
- ブルックスの法則
- コミュニケーションコストの計算方法
1つずつ見ていきましょう。
ブルックスの法則
コミュニケーションコストに関する基礎知識の1つ目は、ブルックスの法則です。
ブルックスの法則とは、「チームメンバーが増加するほどコミュニケーションに必要な時間や手間が膨らみ、かえってプロジェクトの完了が遅れる」とする法則です。
この法則に沿って考えると、単純に人手を増やせば作業が早く終わるとは限りません。むしろ調整や情報共有の負担が重くなることで、全体の効率が悪化する可能性もあるでしょう。
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コミュニケーションコストの計算方法
コミュニケーションコストに関する基礎知識の2つ目は、コミュニケーションコストの計算方法です。
ブルックスの法則では、人数増加に伴いコミュニケーションコストが増大すると先ほど解説しました。具体的には、コミュニケーションにかかる負担は関係人数の2乗に比例して増加すると言われています。
例えばメンバーが3倍になれば、情報共有や調整にかかる時間は9倍になります。
作業を細分化して分担することには限界があり、全員が同じレベルで内容を理解できるよう、説明や調整は避けられないからです。
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コミュニケーションコストがかかる人の特徴
ここでは、コミュニケーションコストがかかる人の特徴について、以下の3点を解説します。
- 情報内容の把握に時間がかかる
- 役割を理解できていない
- 話がよく脱線する
1つずつ見ていきましょう。
情報内容の把握に時間がかかる
コミュニケーションコストがかかる人の特徴の1つ目は、情報内容の把握に時間がかかることです。
コミュニケーションコストが高いと、他の人と比べて情報を理解するまで多くの時間を要します。通常であれば簡潔な説明で済む内容でも、背景や経緯を含めた詳細な説明が欠かせません。
話の前提となる情報から順序立てて説明しなければならないため、結果的にやり取りに多くの時間と労力がかかるでしょう。
ただし、口頭でのやり取りが苦手でも文章なら理解しやすいなど、コミュニケーション方法を工夫することで改善できるケースもあります。
役割を理解できていない
コミュニケーションコストがかかる人の特徴の2つ目は、役割を理解できていないことです。
自分が組織でどのような役割を期待されているか把握していなければ、上司への報告や部下への指示が必要以上に複雑になり、コミュニケーションコストが増大しかねません。
例えば、営業担当者であれば商談結果や受注量などの成果を報告すべきところを、出社してから呼ばれるまでの経緯を長々と説明してしまうこともあるでしょう。
このように、報告内容に余分な情報が含まれることで会話が長引き、他の従業員よりもコミュニケーションに時間がかかります。
話がよく脱線する
コミュニケーションコストがかかる人の特徴の3つ目は、話がよく脱線することです。
話がよく脱線して、会話の中で自分の話題を優先する人や、無駄話を挟むことが多い人も、コミュニケーションコストがかかります。
そのような場合は円滑な意思疎通が困難で、関係ない話が先に出てきて、必要な情報を得るまでに余計なやり取りが生じるためです。
コミュニケーションコストが高いと生じる問題
ここでは、コミュニケーションコストが高いと生じる問題について、以下の3点を解説します。
- 業務効率が低下する
- チーム同士でうまく連携できない
- 意思決定が遅延する
1つずつ見ていきましょう。
業務効率が低下する
コミュニケーションコストが高いと生じる問題の1つ目は、業務効率が低下することです。
コミュニケーションコストが膨らむと、本来の業務に割くべき時間やエネルギーまでコミュニケーションにかけなければなりません。特に、過度な会議や不要な確認作業が増えると、生産性を大幅に損なうことになるでしょう。
また、煩雑なやり取りが増えるほど従業員の精神的負担も増加し、モチベーション低下につながります。
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チーム同士でうまく連携できない
コミュニケーションコストが高いと生じる問題の2つ目は、チーム同士でうまく連携できないことです。
コミュニケーションコストが高いと、部署間の調整やチーム内連携に余計な時間と労力が必要になります。
例えば、会社の自部署では既に導入済みのツールと同機能のシステムについて、他部署が重複して検討することもあるでしょう。
これは縦割り組織特有の情報共有不足が原因で、本来避けられるはずの重複投資や作業効率の悪化につながりかねません。
関連記事:情報共有がチームワークを高める!具体的な手段やコツを解説
意思決定が遅延する
コミュニケーションコストが高いと生じる問題の3つ目は、意思決定が遅延することです。
組織の意思決定には現場状況の正確な把握が欠かせませんが、コミュニケーションコストが高いと情報収集だけで多大な時間が必要です。
さらに、部署間での意思疎通にも時間がかかると、最終的な判断が大幅に遅れます。
その結果、限られた時間内で下せる決定数が制限されるため、事業やプロジェクト全体の進捗に深刻な影響を与え、競争力の低下につながりかねません。
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コミュニケーションコストがかかる要因
ここでは、コミュニケーションコストがかかる要因について、以下の5点を解説します。
- コミュニケーション手法が統一されていない
- 不要な情報まで発信している
- 非効率な手法を活用している
- コミュニケーションがオープンになっていない
- 前提条件が共有されていない
1つずつ見ていきましょう。
コミュニケーション手法が統一されていない
コミュニケーションコストがかかる要因の1つ目は、コミュニケーション手法が統一されていないことです。
組織内でコミュニケーション手段が統一されていないと、情報伝達時に無駄な時間とコストが発生しかねません。
例えば、上司への報告でチャットとメールが混在しており使い分けも明確でないと、情報の見落としやタイムラグの原因になります。
また、既に報告済みの内容を再度伝える必要が生じたり、重要な情報が散逸したりするリスクも高まるでしょう。
不要な情報まで発信している
コミュニケーションコストがかかる要因の2つ目は、不要な情報まで発信していることです。
情報を十分整理せず、不要な情報まで発信していると、余計な情報までやり取りする分コミュニケーションコストが増大します。
典型例は、複数の担当者が同じ内容を重複して報告することや、必要以上に詳細な情報を共有することです。
このような場合、情報発信側に余計な負担がかかる上、受信側も要点の把握に時間を要するため、全体的な業務効率が著しく低下します。
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非効率な手法を活用している
コミュニケーションコストがかかる要因の3つ目は、非効率な手法を活用していることです。
例えば体質が古い組織では、今でも紙媒体によるやり取りが珍しくありません。
しかし、デジタル上だけで十分情報のやり取りが可能な内容についても紙に印刷していると、情報共有効率が低下し、コミュニケーションコストがかかります。
また、Web会議システムや電話で十分な話でも対面での対話にこだわると、移動が必要な分余計なコミュニケーションコストがかかるでしょう。
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コミュニケーションがオープンになっていない
コミュニケーションコストがかかる要因の4つ目は、コミュニケーションがオープンになっていないことです。
コミュニケーションがオープンでなければ、情報の偏りが発生します。
具体的には、少人数のミーティング内容が部署全体に共有されないケースや、1対1の連絡手段に依存するケースでは、特定の人だけが重要な情報を把握することになりかねません。
このように情報格差が発生すると、組織全体の連携が阻害されて、結果的に無駄な確認作業や重複業務を招くでしょう。
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前提条件が共有されていない
コミュニケーションコストがかかる要因の5つ目は、前提条件が共有されていないことです。
組織固有の価値観や前提情報が共有されていない状態では、相手が伝えたい内容を正しく解釈してくれないリスクが高まります。
例えば、新商品開発時に企業理念が浸透していないと、各担当者が独自の解釈で会議に臨むため議論がまとまらないことになりかねません。その結果、無駄な話し合いが増えて意思決定の遅延を招くでしょう。
コミュニケーションコストを組織全体で下げる方法
ここでは、コミュニケーションコストを組織全体で下げる方法について、以下の2点を解説します。
- コミュニケーションを促進する雰囲気づくり
- コミュニケーションを円滑化する仕組みづくり
1つずつ見ていきましょう。
コミュニケーションを促進する雰囲気づくり
コミュニケーションコストを組織全体で下げる方法の1つ目は、コミュニケーションを促進する雰囲気づくりです。
例えば、企業理念を全社で共有すれば各従業員が会社の方針を深く理解し、共通の価値観を持てます。これにより、日常業務では認識違いが減少し、スムーズな情報交換が可能になるでしょう。
また、ギスギスしていない職場環境を構築することで、従業員同士が気軽に質問・相談できる雰囲気が生まれます。
心理的安全性が高く誰もが遠慮なく発言できる環境では、必要な情報が迅速に共有されるため、無駄な確認作業や業務の重複を減らせるでしょう。
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コミュニケーションを円滑化する仕組みづくり
コミュニケーションコストを組織全体で下げる方法の2つ目は、コミュニケーションを円滑化する仕組みづくりです。
ナレッジマネジメントを導入すればベテラン従業員の経験や知識を体系化でき、申請手続きやツールの使用方法などを一元管理すれば他従業員への確認作業が不要になります。
また、チャットやプロジェクト管理ツールなどのデジタルツールを有効活用すれば、従来の電話やメールより迅速かつ手軽に情報を交換できるでしょう。
関連記事:ナレッジマネジメントシステムとは?導入メリット・デメリットと選び方
関連記事:無料で使えるビジネスチャットサービス8選!選び方も解説
さらに、コミュニケーション手法に関する従業員教育を徹底することも重要です。
▼コミュニケーション手法に関する従業員教育で、特に教えるべき内容の例
- 5W1Hを明確にした情報整理スキル
- 相手の話を正確に理解する傾聴力
- 組織内で自身が担う役割の把握
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労働時間の57%はコミュニケーションに費やしている!コミュニケーションコストを簡単に削減できるおすすめツールとは?
まとめ
今回は、コミュニケーションコストの意味や高いことによって生じる問題に加え、その下げ方を解説しました。 コミュニケーションコストとは、職場での情報共有や意思疎通に必要な時間や労力です。
コミュニケーションコストがかかる人の特徴には、情報内容の把握に時間がかかることや、役割を理解できていないことなどがあります。
また、コミュニケーションコストが高いと、チーム同士の連携や業務進捗などにも支障が出かねません。
コミュニケーションコストが高い場合は、コミュニケーション手法や共有されている情報について見直しましょう。また、雰囲気づくりや仕組みづくりも重要です。
コミュニケーションツール活用のポイント
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