「仕事で少し困っているけど質問していいのかわからない」「担当者が急に休んだため顧客からの問い合わせに対応できない」「仕事を引き継いだけど、前任の担当者が残した記録が少なく顧客のニーズがとらえにくい」など、過去の知見や経験を生かした記録がないと、効率の良い仕事が行いにくい状態になります。
このようなときに有効な方法がナレッジ共有です。ナレッジ共有が浸透することで企業の課題解決につながります。今回は、ナレッジ共有の基礎知識と得られる効果・成功のポイントを解説します。
【目次】
ナレッジ共有とは何か?
ナレッジ共有とは組織または組織に属する人の中に蓄積された経験や知識といった情報を、その組織内で共有することです。
ここでは3つの観点から解説します。
- そもそもナレッジとは?
- 暗黙知・形式知とは?
- 今なぜナレッジ共有が必要なのか?
1つずつ見ていきましょう。
そもそもナレッジとは?
まずは、ナレッジ(knowledge)とは何かを解説します。ナレッジは知識や情報・知見という意味です。ビジネスにおいては、価値ある知識・情報に加えて過去の経験・事例の記録など、組織にとって有益な情報を指します。
ナレッジに組み合わせて使う言葉としては、ナレッジベース・ナレッジワーカー・ナレッジマネジメントなどがあります。ナレッジベースとは企業の中にある知見をまとめて共有される独自のデータベースです。
またナレッジワーカーとは、専門的なスキルと豊富な知識で企業の価値を高める仕事をする人を指します。このナレッジベースとナレッジワーカーを有効に活用する経営手法がナレッジマネジメントです。
企業に蓄積されたナレッジの価値は高く、活用することで業務の属人化を防ぎ効率的な経営が期待できます。
暗黙知・形式知とは?
ナレッジは大きく分けて、暗黙知と形式知の2つに分類されます。1つずつ解説します。
暗黙知
暗黙知とは、個人に帰属する過去の経験による知見で、これまで言語化されていない知識を指します。
個人の主観をともない、伝えたときの捉え方が十人十色であるため、正確に落とし込むことが困難です。
現在、企業においては社員の成長のために、他の社員の成功事例・上司が積み上げてきた知見などを全員で共有することが重要視されています。
そのため、これまで暗黙知として語り継がれてきた知見を、今後は社員の誰もがアクセスできる形にして共有することが求められています。
形式知
形式知とは、個人の主観に基づく知識・経験を、文章や図などに起こし言語化された知見を指します。
例として、営業部門で売上を伸ばしている優秀な社員の知識・経験・行動・作業内容などをマニュアル化・資料化し、部門全体で有益な知識として保存・共有することが挙げられます。
ナレッジには暗黙知と形式知という2つの概念が存在すると言われて以降、暗黙知をどのように形式知化するかが企業の課題の1つとなっているケースが少なくありません。
個人の主観に基づく属人的なノウハウを形式知として共有し、運用できれば、企業の生産性を高めるだけではなく、顧客満足度の向上につながることが期待できます。
関連記事:ノウハウとは?ビジネスシーンにおける意味や使い方と活用メリットをわかりやすく解説
今なぜナレッジ共有が必要なのか?
今、ナレッジ共有が必要な理由として、新型コロナウイルス感染症拡大によりリモートワークが浸透したことが挙げられます。
リモートワークでは、仕事の相談ができる社員が近くにいないことから、わからないことを一人で抱えてしまうという課題があります。
チャットやWeb会議などの機会はありますが、「このような簡単なことを聞いてもいいのだろうか」とできる限り自分で解決しようとしてしまう社員もいるでしょう。このような状況は、業務効率を低下させます。
しかし企業では常に、課題を解決し業務効率化を進めて生産性を向上させることが求められています。こうした状況に有効な方法の1つがナレッジ共有なのです。
ナレッジ共有が進まない場合、過去にやり遂げた困難な業務のノウハウが社員個人に帰属してしまいます。そのため、新しい担当者はまた1からノウハウ収集を始めなければならず、無駄な時間が発生します。
また、過去にもあったような質問を新任担当者が繰り返してしまうと、質問を受ける他の社員の業務効率が低下することが問題になります。
一つひとつは、日々の業務の中で起こる「小さなこと」かも知れませんが、この状態が継続すると企業の損失が大きくなりかねません。
ナレッジが情報共有されることで、社員はいつでも気軽にナレッジにたどり着くことができ、無駄な時間を削減することができます。その分、業務が効率化し生産性が向上・改善すれば売上アップが期待できます。
関連記事:ナレッジの効果的な共有方法とは?具体例も含めてわかりやすく解説
ナレッジ共有で得られる効果
ナレッジ共有をすることでどのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、以下の3つの効果について解説します。
- 業務の属人化を防ぐことができる
- 業務の効率化が進む
- 業績アップが期待できる
1つずつ見ていきましょう。
業務の属人化を防ぐことができる
ナレッジ共有で得られる効果の1つ目は、業務の属人化を防ぐことができることです。
ナレッジ共有では、暗黙知を形式知化することが可能です。個人の中だけにあった経験・知識が言語化されることで、業務が人に属さない状況を作ることができます。
そのため、担当者が不在の場合に顧客から連絡が入ったときに、誰も対応できないという事態を防ぐことができます。
また、人の出入りが激しい業種であっても、パフォーマンス低下の防止が可能です。
業務の効率化が進む
ナレッジ共有で得られる効果の2つ目は、業務の効率化が進むことです。
ナレッジを共有することで、必要とされる情報がスピーディーに共有できます。ナレッジベースで共有すれば、社員が必要とするときに簡単に情報へのアクセスが可能で、社員同士で行う伝達よりも正確で確実に伝わることが期待できます。
また、過去の成功事例を一連のフローに起こして新入社員・新任担当者に共有することで、ベテラン社員の時間を削ることなく効率の良い教育が可能です。そのため、企業全体の業務効率化が加速すると言えます。
業績アップが期待できる
ナレッジ共有で得られる効果の3つ目は、企業の業績アップが期待できることです。
例えば顧客からのクレームが入ったときに担当者が不在で対応できなかったとしたら、顧客はライバル企業へ心変わりしてしまう可能性があります。
また、企業の担当者を変更する場合、前任の担当者の知見が言語化されないままであれば、新任担当者は顧客のニーズに応えることが難しくなるでしょう。
ナレッジ共有を行えば、業務効率化によるスピードアップが可能になるだけでなく顧客への対応力が向上することが期待できます。
関連記事:社内コミュニケーションを活性化させる3つのポイントと6つの施策とは?
ナレッジ共有を成功させるためのポイント
企業のナレッジは全員が共有できる状態にする必要があります。ではナレッジ共有を成功させるためのポイントは何でしょうか。ここでは3つの観点から解説します。
- 専任担当者を配置する
- ナレッジ共有の目的を浸透させる
- ナレッジ共有ツールを有効に活用する
1つずつ見ていきましょう。
専任の担当者を配置する
ポイントの1つ目は、専任の担当者を配置することです。ナレッジ共有を個々人が業務の片手間で行うと、スムーズに進まない可能性があります。
また個人の裁量に任せると、各個人の判断が反映されてしまうため、うまくいかないことが考えられます。ナレッジ共有を企業のプロジェクトと位置づけて進めるためには、専任の担当者を配置すると良いでしょう。
おすすめは、ナレッジリーダーを任命し育成することです。ナレッジリーダーは、明確にされた企業のナレッジ共有の目的に基づき、必要なナレッジを洗い出します。
そして暗黙知を形式知化できるよう定義を行います。ナレッジリーダーを置くことで、ナレッジ共有の導入がスムーズになるはずです。
ナレッジ共有の目的を浸透させる
ポイントの2つ目は、ナレッジ共有の目的を浸透させることです。ナレッジ共有を行うにあたり、まず「何のために」という「目的」を明確にする必要があります。
例えば、業務効率化・業務可視化など企業にとって解決すべき課題を挙げていきます。
その上で「各個人の中で蓄積しているナレッジの形式知化」や「ナレッジへのアクセス環境を整える」などわかりやすい言葉で社員に伝えると良いでしょう。
ナレッジ共有の目的を平易な言葉で伝えることで、社員への浸透がスムーズに進むことが期待できます。
ナレッジ共有システム・ツールを有効に活用する
ポイントの3つ目は、ナレッジ共有システム・ツールを有効に活用することです。
管理する顧客数が多くない場合は、Excel導入が簡単・便利ですが、既存の顧客数を伸ばして売上向上を目指すなら、早い段階からシステム・ツールに切り替えることがおすすめです。
ナレッジ共有に役立つシステム・ツールとして、FAQシステム・グループウェア・社内Wikiなどがあります。
現状を把握した上で目標を定め、目標を達成するためにどのような手段でナレッジ共有を行うことが有効かを検討・整理する必要があります。自社の状況と設定した目的に合う機能が集約された最適なナレッジ共有システム・ツールの選定・導入を進めましょう。
作り込まれた有料ツールから簡易的な無料ツールまで幅広く提供されており、以下の記事で具体的に紹介をしています。
関連記事:ナレッジ共有ツールのおすすめ13選を徹底解説!得られる効果や導入のポイントも紹介
まとめ
ナレッジ共有では、個人の中にある知見・スキルを言語化し、社員であれば誰でも簡単にナレッジへアクセスできることが求められます。ナレッジ共有が進めば、業務の効率化が進み企業の売上向上につながることが期待できます。
効果が高いナレッジ共有を進めるためにはナレッジリーダーと呼ばれる専任の担当者を置き、社員への浸透を図ることがおすすめです。
また、同時にどのような形でナレッジ共有を行うことが効率化につながるかを検討することも大切です。ナレッジ共有システム・ツールの導入はその手段の1つとなります。
ナレッジ共有を進め、企業の業績アップにつなげていきましょう。
5分でわかる2024年ビジネスコミュニケーション利用実態調査
この資料はビジネスコミュニケーションツールの導入状況やコロナ前後での導入状況の変化、またツール利用者の悩みや不満点といった生の声を確認できます。
|