日々の業務の中で「もっとスムーズに顧客情報を取り扱いたい」「受注の流れを一目で確認したい」と感じたことがある人は多いでしょう。受注管理と顧客管理は、深く関連しているものの、目的や機能には大きな違いがあります。
そこで今回は、受注管理と顧客管理の違い、CRMで一元管理する5つのメリットを詳しく解説していきます。
【目次】
受注管理と顧客管理の違い
受注管理と顧客管理の違いは、具体的に何なのでしょうか。ここでは、受注管理と顧客管理の違いについて、以下の3点を解説します。
- 対象
- 目的
- 主な機能
1つずつ見ていきましょう。
対象
受注管理と顧客管理の違いの1つ目は、対象です。
受注管理は、主に顧客からの注文に関する管理を指します。商品やサービスの注文の受付、注文の進捗状況のトラッキング、配送・納品のスケジューリングなど、注文の受付から納品までの一連のプロセスを効率的かつ正確に管理していきます。
受注管理を適切に行うことで、納期通りに在庫を確保することも可能です。
一方、顧客管理は、企業の顧客やクライアントに関する情報や顧客との関係を管理することを指します。
適切に顧客管理をしていくことで、顧客と長期的に良好な関係を構築でき、リピート注文や申し込みを伸ばすことができます。
このように、受注管理は「注文」に焦点を当てた管理で、顧客管理は「顧客」そのものと顧客との関係性に焦点を当てた管理だと言えます。
目的
受注管理と顧客管理の違いの2つ目は、目的です。受注管理の主な目的は、受け取った注文を効率的かつ迅速に処理することです。
注文内容の確認をし、在庫の管理、配送手配を経て、請求・決済までを行っていきます。
受注管理の最終的なゴールは、顧客が期待する納期や品質で、商品やサービスを提供することです。効率的に受注プロセスを踏んでいけば、企業の収益性や顧客満足度の向上につながるでしょう。
一方、顧客管理の目的は、顧客との長期的な関係を築き、関係を深めていくことです。自社の顧客のニーズや嗜好、購入履歴などの情報を収集・分析し、顧客情報に応じてサービスやマーケティング活動を行っていきます。
顧客管理の最終目標は、顧客ロイヤルティの向上や再購入率の増加、口コミによる新規顧客の獲得です。
主な機能
受注管理と顧客管理の違いの3つ目は、主な機能です。受注管理は、注文の受付から納品までの業務を担います。受注管理の主な業務内容は、下表の通りです。
受注管理の項目 |
業務内容 |
---|---|
注文受付・確認 |
顧客からの注文情報の受付、確認 |
在庫管理 |
在庫の確認・在庫の調整 |
出荷・配送手配 |
製品の梱包、出荷手続き、配送業者との連携 |
請求・決済 |
受注伝票の作成、請求手続き、決済処理 |
顧客管理の主な業務内容は、下表をご覧ください。
顧客管理の項目 |
業務内容 |
---|---|
顧客情報の管理 |
顧客の基本情報、連絡先、購入履歴などのデータベース化 |
顧客のセグメンテーション |
顧客を特定の属性や行動に基づきグループ化 |
顧客対応履歴のトラッキング |
顧客とコンタクトを取った記録や追跡 |
マーケティングキャンペーン管理 |
メールマーケティングやプロモーション活動の計画・実行 |
クレーム・苦情管理 |
顧客からの意見やクレームの受付・対応 |
このように、受注管理では「商品やサービスの提供」に関する業務を担い、顧客管理は、「顧客との関係維持」に関する業務が中心です。
受注管理と顧客管理のシステム上の関係性
これまで解説した通り、受注管理と顧客管理は目的も機能も異なりますが、必要な顧客情報や販売履歴には深い関わりがあるため、同じシステムで統合して行うこともあります。
例えば、顧客管理システムに保存されている顧客情報は、受注管理での注文処理時には欠かせません。新規の注文を処理するときや配送時には、顧客の連絡先と送付先住所が必要になります。
また、顧客にどのような対応をしたかという履歴も、受注管理と顧客管理の両方に関係があります。
特定の顧客の注文履歴や、顧客から受けた要望の履歴などは、購入後のフォローや新たな販促活動を行うときに役立つためです。
このように、受注管理と顧客管理を通して得た顧客情報を組み合わせることで、サービスの品質向上が見込めます。
そのため、受注管理と顧客管理を連携・統合して行うことで、よりスムーズかつ効果的な運営につながるでしょう。
受注管理に顧客管理システムを活用する5つのメリット
ここでは、受注管理に顧客管理システムを活用するメリットについて、以下の5点を解説します。
- 顧客対応の向上
- オペレーションの効率化
- 最新データによる意思決定
- 受注件数の見通しを立てられる
- アップセルとクロスセルの機会
1つずつ見ていきましょう。
顧客対応の向上
受注管理に顧客管理システムを活用するメリットの1つ目は、顧客対応の向上です。
顧客管理システムでは、顧客の基本情報・購入履歴・取引履歴などを一元的に管理できます。顧客情報を受注管理にも活用すれば、より良い顧客対応ができるようになります。
例えば、化粧品の販売店やブランドがCRMを使用していると仮定しましょう。
一人のお客様から新しいファンデーションの注文が入ったときには、CRMを活用して、そのお客様が過去に購入したスキンケア製品の種類、または肌のタイプなどの情報をすぐに確認できます。
このとき、CRMに蓄積された購入履歴で敏感肌用の商品だった場合は、新しいファンデーションが敏感肌にも適しているかどうかを確認し、必要に応じて注意点を伝えるなどの対応が行えます。
このようにCRMを活用することで、顧客の細かい好みやニーズを把握し、それに基づいた質の高いサービスを提供できるでしょう。
オペレーションの効率化
受注管理に顧客管理システムを活用するメリットの2つ目は、オペレーションの効率化です。
顧客情報や注文履歴を一つのシステム内で一元管理することで、情報の検索や参照が迅速に行えます。
顧客情報の入力や更新を一か所で行うことで、同じデータの複数回の入力や、システム間でのデータの不整合を防ぐことができます。入力などの作業ミスを削減することで、業務効率化が実現できるでしょう。
また、受注情報と顧客データが連動しているため、注文確認・在庫確認・請求伝票の作成などの業務を自動化しやすいのもメリットです。そのため、受注管理に顧客管理システムを統合すれば、業務の流れがスムーズになり、時間やコストの節約が見込めます。
最新データによる意思決定
受注管理に顧客管理システムを活用するメリットの3つ目は、最新データによる意思決定です。
CRMでは市場の変動や顧客の動向がリアルタイムで把握できるため、迅速にビジネス戦略を修正・調整できます。
CRMでは顧客の購入履歴やフィードバックがリアルタイムで更新されるため、情報を基に最新の顧客のニーズや要望を的確に捉えることができます。
受注管理に顧客管理システムを組み合わせ、常に最新のデータを元に効果的な意思決定を下すことで、企業の競争力を向上させられるでしょう。
受注件数の見通しを立てられる
受注管理に顧客管理システムを活用するメリットの4つ目は、受注件数の見通しを立てられることです。
顧客管理システムは過去の顧客の購入履歴や頻度、季節性などのデータを蓄積しています。CRMの顧客データを分析すれば、将来の受注件数の傾向やパターンの予測が可能です。
例えば、食品業界では、季節性やトレンド、賞味期限など、多くの変動要因が存在するため、リアルタイムのデータ分析は非常に価値が高いと言えます。
夏の暑さが予想以上に厳しいときには、アイスクリームや冷たい飲料の需要が急増することも珍しくありません。現在の気象データと過去の販売データを基に、今、どの商品の受注が伸びそうなのかの予測が立てられます。
そこで、製造計画やプロモーション戦略を迅速に変更するなどの施策を行っていけば、売り上げを伸ばすことができます。リアルタイムのデータ分析は、ビジネスの機動性や効率性を大きく向上させるための重要な要素と言えるでしょう。
アップセルとクロスセルの機会
受注管理に顧客管理システムを活用するメリットの4つ目は、アップセルとクロスセルの機会を増やせることです。
ビジネスでは大量の商品が取り扱われ、多くの顧客と取引をすることもあるため、担当者の記憶や感覚に頼ることはできません。
そこで、顧客管理システムを活用すると、各顧客が過去にどの商品を購入したか、またどのような頻度や量で購入しているかという情報を取得できます。
過去の取引データを参照することで、より高品質の商品や関連商品の提案も可能です。
このように、CRMのデータにより顧客のニーズや嗜好を深く理解できるため、アップセルやクロスセルの機会を増やすことが可能となり、売り上げの向上を実現できるでしょう。
まとめ
今回は、受注管理と顧客管理の違い、CRMで一元管理するメリットについて解説しました。受注管理と顧客管理はビジネスにおける2つの重要な要素であり、それぞれが異なる目的と機能を持っています。
受注管理は、商品やサービスの注文を処理するのに焦点を当てているのに対し、顧客管理は企業と顧客との関係を深めるための情報を中心に管理します。
しかし、両者とも顧客情報が欠かせないことから、受注管理と顧客管理をCRMシステムの導入で一元管理すると、多くのメリットがあります。
具体的には、顧客対応の向上、オペレーションの効率化、最新データによる意思決定のサポート、アップセルやクロスセルの機会増加、そして受注件数の見通しがしやすくなることなどが挙げられます。
業務効率と顧客関係を良好に保っていくためにも、CRMシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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