昨今、社外の顧客とのコミュニケーションだけではなく、社内におけるコミュニケーションが減少している企業も少なくありません。
この社内におけるコミュニケーションは今、インナーコミュニケーションと呼ばれ注目を集めています。
そこで今回は、社内活性化のためのインナーコミュニケーションの基本概要・メリット・効果的な施策や事例を解説します。
【目次】
インナーコミュニケーションとは?概要と注目の背景を解説
インナーコミュニケーションという言葉は、どのようなことを意味するのでしょうか。ここでは、インナーコミュニケーションの基礎知識として、以下2つの観点から解説します。
- インナーコミュニケーションの概要
- 今なぜ注目されているのか?
1つずつ見ていきましょう。
インナーコミュニケーションの概要
インナーコミュニケーションとは、組織内部の力を高めるためのコミュニケーション全般を指します。企業において、社員がそれぞれの方向を向いて仕事を進めているだけでは生産性を上げることが難しく、個人だけではなく企業の成長にもつながらないでしょう。
しかし、インナーコミュニケーションを掲げることで、社員同士の情報交換・スキルの共有など関係性が深まることが期待できます。
また、「この仕事は何のためにやるのか」という目的や個々の価値観をすり合わせることができれば、一体感が高まります。
インナーコミュニケーションが目指すのは、企業にとっては生産性の向上ですが、社員にとっては仕事を楽しくやりがいのあるものにするための手段といえます。
関連記事:社内コミュニケーションを活性化させる3つのポイントと6つの施策とは?
今なぜ注目されているのか?
インナーコミュニケーションが注目されている理由は、テレワーク普及によるコミュニケーションの不足にあります。新型コロナウイルス感染症拡大にともないテレワークの普及が拡大しました。
働き方に大きな変化が現れたことでコミュニケーションの方法も変わってきています。対面でのインナーコミュニケーションが限られ、同僚に相談したり雑談したりすることが気軽にできなくなり、仕事を進めるうえでの質問も、気軽にはできない状況に陥ったのです。
テレワークが増えることでコミュニケーションが減少するという課題が見えてきたことから、円滑なインナーコミュニケーションが図れるような施策が必要となっています。
企業が、生産性を向上させ利益につなげていくためにも、良好なインナーコミュニケーションを育むことが重要です。
関連記事:社内コミュニケーションはなぜ必要なのか?メリット・デメリット・方法・企業事例を紹介!
インナーコミュニケーションを活性化させる3つのメリット
インナーコミュニケーションを実施することで、どのような効果が期待できるのでしょうか。インナーコミュニケーションのメリットとして、以下3つの観点から解説します。
- 社員のモチベーション低下を防ぐ
- 新入社員の早期活躍が期待できる
- テレワークでのコミュニケーション不足を解消できる
1つずつ見ていきましょう。
社員のモチベーション低下を防ぐ
インナーコミュニケーションのメリットの1つ目は、社員のモチベーション低下を防ぐことです。
インナーコミュニケーションがスムーズな場合、社員は転職や離職を考えることは少ないといえます。また、社内の環境においては風通しが良いため、長く働き続ける社員が増えるでしょう。
良好な人間関係の元、社員は高いモチベーションで仕事ができるため、会社へのエンゲージメントも高まることが期待できます。
新入社員の早期活躍が期待できる
インナーコミュニケーションのメリットの2つ目は、新入社員の早期活躍が期待できることです。
近年は終身雇用制度が崩れつつあり、長い職業生活の中で転職という選択をする人が増えています。そのため新入社員だけではなく中途入社の社員も多い傾向があります。
インナーコミュニケーションが機能している企業であれば、中途入社者であっても風通しがよく、安心して働くことができます。
仕事もスムーズに教えられる職場環境が整備されているため、即戦力として育て上げることができます。
テレワークでのコミュニケーション不足を解消できる
インナーコミュニケーションのメリットの3つ目は、テレワークでのコミュニケーション不足を解消できることです。
そのためにはインナーコミュニケーションを、意図的かつ戦略的に行う必要があります。例えば、デジタル社内報を発行するという施策を実施するとします。
デジタル社内報があれば、オフィス以外の場所から社内の最新情報を手に入れることができ、さらに、社員がどのような働き方・過ごし方をしているのかを垣間見る機会になるでしょう。
対面でのインナーコミュニケーションが限られている今、オンラインやツールを活用しながら施策を検討することをおすすめします。
関連記事:テレワーク時代のコミュニケーションとは?課題の克服とチーム活性化の工夫
インナーコミュニケーションの効果的な実施方法
社内活性化へのメリットが期待できるインナーコミュニケーションですが、効果的な実施方法はあるのでしょうか。インナーコミュニケーションの効果的な実施方法の例を以下に3つ紹介します。
- 社員食堂
- 社内報
- 社内ポータルサイト
1つずつ見ていきましょう。
社員食堂
インナーコミュニケーションの効果的な実施方法の1つ目は、社員食堂です。社員食堂は企業が社員のために運営する場所で、ランチタイムはもちろん、朝食・夕食までフォローしている企業もあります。
企業の福利厚生の一環でもあり、外食するよりも安価な価格で社員に食事が提供されます。
普通にランチを食べられるだけでなく、ランチミーティングを開催したり、他部署の人とランチ交流会をしたりする活用法があります。
また、イベント企画として、終業後、定期的にバーとして営業し、お酒を提供するケースもあります。
中には、サプライズで社長が参加することもあり、社長や経営陣と社員が無礼講でひざを突き合わせて語り合う場を醸成することができます。
社内報
インナーコミュニケーションの効果的な実施方法の2つ目は、社内報です。
社内報は、企業の経営層からのメッセージをはじめ、新入社員・中途入社社員の紹介・有志の活動の紹介などを行うことが多くあります。
しかし企業の規模が大きくなればなるほど、情報が行き渡りにくくなる傾向があります。このような場合にデジタル社内報を実施することで、社内外関係なくいつでも社内の情報を共有できます。
例えば、社内報の特集として、テレワークで社員がどのように働いているのかを発信するような企画は、読む社員に親近感を持たせるとともに、工夫している点などを他の社員も取り入れることが可能です。
社員同士の目線が合うことで、企業の一体感を醸成できる施策といえます。
関連記事:読まれる社内報とは?目的・人気のテーマ・運用のポイントを徹底解説!
社内ポータルサイト
インナーコミュニケーションの効果的な実施方法の3つ目は、社内ポータルサイトです。社内ポータルサイトとは、社員が閲覧できるネットワーク上のサイトです。
具体的には社内SNSなどが挙げられ、企業の情報共有・コミュニケーション促進をサポートすることができます。
最新の情報を社員に発信できるというメリットがある一方で、ツールによっては更新に手間がかかる可能性があるというデメリットがあります。
社内ポータルサイトを運営するにあたり、パッケージを活用することをおすすめします。プログラミング言語を知らない初心者であっても、簡単に構築・運用が可能です。
鮮度の高い最新の情報を社員に届けるためには、運用をシステム担当者に任せるのではなく、どの部署でも簡単にアクセスし更新できるようなツールの導入をおすすめします。
関連記事:社内ポータルサイトとは?基本概要・運用するメリット・押さえておくべきポイントを解説!
インナーコミュニケーションの実施事例
社内活性化のためのインナーコミュニケーションは、実際どのように実施されているのでしょうか。最後にインナーコミュニケーションの実施事例を3つ紹介します。
- 社員60名超えのオンライン忘年会
- 社内アワード・表彰制度
- 社内留学制度
1つずつ見ていきましょう。
社員60名でオンライン忘年会
インナーコミュニケーションの実施事例の1つ目は、社員60名越えのオンライン忘年会です。
経営支援や採用支援などを行うA社では、「雑談の減少」という課題への対策として、全社の社員が揃うオンライン忘年会を企画しました。A社では、雑談は組織力の一端を担う重要な機会とし、雑談ができる場としてオンライン忘年会を設定しました。
強制参加ではなかったものの、60名以上が参加するという大規模な企画となりました。少人数にわかれてテーマや興味のあるものについて会話するなど、雑談を交わすことで、インナーコミュニケーションを高める良い機会になりました。
社内アワード・表彰制度
インナーコミュニケーションの実施事例の2つ目は、社内アワード・表彰制度です。
企業と必要な人材をつなぐマッチング支援サービスを提供するB社は、設立から2年で急成長を遂げ、社員数も2倍になりました。採用時から「自立」を目標として掲げているB社では、月に1度、一番成長した社員を表彰しています。
数値化された成果ではなく、自分の成長に最も向き合うことのできた社員をリーダーが選出し、その理由とともに提出します。その後、3名のファイナリストから全員投票で選出するという流れです。
「自立」という言葉の下で社員が一丸となりながらも、それぞれのアプローチで取り組むことは、組織力を高めるインナーコミュニケーションにつながっています。
社内留学制度
インナーコミュニケーションの実施事例の3つ目は、社内留学制度です。
社内留学制度とは、普段所属する部署と異なる部署で業務を体験することを指します。料理レシピサービスを展開するC社では、社員の希望に応じて2ヶ月間他部署へ出向き、実際に仕事を体験できる制度があります。
社員が社内留学制度を活用することで視野を広げ、新しいアイデアや挑戦につながることを企画の意図としています。
また、普段かかわりのない社員と時間を過ごすことで、自然とインナーコミュニケーションが活発になることが期待できます。
関連記事:社内コミュニケーションを活性化させた成功事例10選!施策を行うときの注意点も解説
まとめ
今回は、社内活性化のためのインナーコミュニケーションの基本概要・メリット・効果的な施策や事例を解説しました。
インナーコミュニケーションが活発になることで、社員は高いモチベーションを維持し楽しく仕事をすることができます。また、そのような社員が働く企業は、生産性の向上が期待できます。
自社に必要なインナーコミュニケーションの施策は、自社に適した形にカスタマイズすることが重要です。事例を参考にしながら、社内活性化が期待できるインナーコミュニケーションに取り組むことをおすすめします。
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