ナレッジの継承は企業活動で必要になる!うまくいかない要因や方法などを解説

ただ、経験豊富なベテラン従業員のナレッジを、思うように自社の業務で活用できていないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
その場合、ベテラン従業員から後輩従業員にナレッジの継承ができているか見直してみましょう。
もしそれが不十分であれば、うまくいかない要因を特定して解決すれば、ベテラン従業員のナレッジをより多くの従業員が活用して企業全体のスキルの底上げにつながります。
そこで今回は、ナレッジを継承する必要性やうまくいかない要因に加え、ナレッジ継承の方法を解説します。
【目次】
ナレッジの継承が必要とされている
ナレッジ(knowledge)は、「知識」・「知見」を意味する英単語です。ビジネスでは「企業にとって役立つ知識」を意味することが多く、商品の開発方法や顧客ニーズに関する情報などが、ナレッジに該当します。
関連記事:ナレッジとは?ビジネスにおける関連用語やノウハウとの違いを徹底解説
ここでは、ナレッジ継承に関する基礎知識について、以下の2点を解説します。
- ナレッジの種類
- ナレッジの継承に役立つSECIモデル
1つずつ見ていきましょう。
ナレッジの種類
ナレッジ継承に関する基礎知識の1つ目は、ナレッジの種類です。ここでは、以下の2点を解説します。
- 形式知
- 暗黙知
1つずつ見ていきましょう。
形式知
ナレッジの種類の1つ目は、形式知です。
形式知は、言葉・数字・図などを使い、明確に表現できるナレッジを意味します。マニュアル・報告書・データベースなどに蓄積された情報などが代表例です。
形式知は、誰でもアクセスでき、共有しやすいことが特徴です。
暗黙知
ナレッジの種類の2つ目は、暗黙知です。
暗黙知とは、言葉や数字などで説明しにくい、経験や勘に基づいたナレッジを意味します。例えば、機械の製品調査や製品品質の判別能力などが代表例です。
暗黙知は、個人に深く根付いていて言語化が難しいため、組織全体で共有することが難しい点が特徴です。
関連記事:暗黙知とは?ナレッジマネジメントで形式知化すべき理由・役立つツールも解説
ナレッジの継承に役立つSECIモデル
ナレッジ継承に関する基礎知識の2つ目は、SECIモデルです。
SECIモデルは、企業内に蓄積された暗黙知を形式知に変換し、組織全体で共有するためのフレームワークを意味します。
▼SECIモデルの流れ
1 |
S |
Socialization(共同化) |
経験を共有し、暗黙知を暗黙知のまま伝えます。 |
2 |
E |
Externalization(表出化) |
暗黙知を言葉や図などで表現し、形式知化します。 |
3 |
C |
Combination(連結化) |
既存の知識と2で得た新しい知識を組み合わせ、新たな知識を生み出します。 |
4 |
I |
Internalization(内面化) |
3で得た形式知を体験し、新たな暗黙知として身につけます。 |
※4の後は1に戻って、プロセスを繰り返します。
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ナレッジの継承で期待される効果
ここでは、ナレッジの継承で期待される効果について、以下の3点を解説します。
- 業務品質の確保
- ノウハウ消失や流出の防止
- イノベーションの促進
1つずつ見ていきましょう。
業務品質の確保
ナレッジの継承で期待される効果の1つ目は、業務品質の確保です。
企業が抱える人材の老齢化に伴い、ベテラン従業員退職に伴うノウハウ喪失が深刻な問題になってきました。
しかし、ベテラン従業員のもつ貴重な経験や知識を後世に継承すれば、企業の生産性や品質の向上につながるでしょう。
関連記事:業務標準化とは?進め方やメリット・デメリットとともに解説
ノウハウ消失や流出の防止
ナレッジの継承で期待される効果の2つ目は、ノウハウ消失や流出の防止です。
昨今は人材の流動性が高まっており、ベテラン従業員の退職や転職により企業の貴重なノウハウが消失・流出するリスクは否めません。
特に、競合他社への転職や海外への流出は、企業の競争力低下に直結する可能性もあるでしょう。
関連記事:ノウハウとは?ビジネスシーンにおける意味や使い方と活用メリットをわかりやすく解説
関連記事:ノウハウを蓄積して業務に活用!役立つツールの種類は?
イノベーションの促進
ナレッジの継承で期待される効果の3つ目は、イノベーションの促進です。
ベテラン従業員のナレッジと若手や他の従業員の新しいアイデアを融合させることで、新たな価値を生み出せるケースもあるでしょう。
よって、ノウハウ継承を積極的に行うことで、企業のイノベーションの促進や競争力の強化を実現できるのです。
ナレッジの継承がうまくいかない要因
ここでは、ナレッジの継承がうまくいかない要因について、以下の3点を解説します。
- 業務の多忙さ
- 共有方法が未確立
- 暗黙知の多さ
1つずつ見ていきましょう。
業務の多忙さ
ナレッジの継承がうまくいかない要因の1つ目は、業務の多忙さです。
ベテラン従業員は、豊富な経験と知識を有する分多くの業務を任されることが多いため、後輩従業員の育成やノウハウの継承に十分な時間を取れないケースも多いでしょう。
また、自分の経験や勘に基づいた暗黙知を意識的に共有することについて、重要性を認識していないケースも少なくありません。
共有方法が未確立
ナレッジの継承がうまくいかない要因の2つ目は、共有方法が未確立であることです。
多くの企業では、新人教育では研修・OJT・マニュアルなどを用いた方法の体系が作られてきました。しかし、ベテラン従業員から後輩従業員へのナレッジ継承については、案外多くの企業で体系的な方法が確立されていません。
ベテラン従業員は適切な継承がわからない上に手間がかかるため、どうしても継承への優先順位が下がるのです。
また、同じような内容でも、誰に教わったかによって理解度が大きく変わることもあるでしょう。
関連記事:ナレッジの効果的な共有方法とは?具体例も含めてわかりやすく解説
暗黙知の多さ
ナレッジの継承がうまくいかない要因の3つ目は、暗黙知の多さです。
前述のとおり、暗黙知は言葉や数字などで他者に伝えることが難しく、形式知と比較してナレッジ継承は簡単にできません。継承にはSECIモデルで形式知に変換することが必要ですが、それには手間がかかります。
顧客対応やトラブルシューティングなど、長年の経験や勘に基づくノウハウは多くの場合暗黙知で、そのこともナレッジ継承の難しさに繋がっています。
関連記事:ナレッジ化を始めよう!メリット・重要ポイント・おすすめツール8選
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ナレッジの継承を成功させる方法
ここでは、ナレッジの継承を成功させる方法について、以下の5点を解説します。
- ナレッジ継承の重要性を周知
- ベテラン従業員への支援制度
- OJTや勉強会の開催
- マニュアル作成
- ナレッジマネジメントツールの活用
1つずつ見ていきましょう。
ナレッジ継承の重要性を周知
ナレッジの継承を成功させる方法の1つ目は、ナレッジ継承の重要性を周知することです。
まずは、全従業員にナレッジ継承の重要性を周知しましょう。従業員は、重要性を見いだせないとなかなかナレッジ継承に取り組んでくれないものです。
そこで、ベテラン従業員には若手育成による業務効率化や品質向上などのメリットがあることを、後輩従業員にはスキルアップや評価向上につながることをそれぞれ伝えましょう。
特に、経営者からのメッセージは従業員のモチベーションアップに効果的です。
ベテラン従業員への支援制度
ナレッジの継承を成功させる方法の2つ目は、ベテラン従業員への支援制度です。
ベテラン従業員の立場に立つと、何も見返りがないとナレッジ継承に積極的になれなくても無理はありません。そこで、評価制度や報酬制度を見直し、ナレッジ継承に関して、ベテラン従業員への支援制度を充実させるようにしましょう。
後輩従業員へのナレッジ継承を正しく評価し、評価制度や報酬制度に反映させることで、モチベーション向上につなげます。
OJTや勉強会の開催
ナレッジの継承を成功させる方法の3つ目は、OJTや勉強会の開催です。
日々の業務に追われていると、ナレッジ継承が後回しにされても無理はありません。
そこで、一定の時間を確保して、ベテラン従業員から後輩従業員にナレッジ継承するOJTや勉強会を開催するようにしましょう。これにより、計画的にナレッジ継承を進められます。
マニュアル作成
ナレッジの継承を成功させる方法の4つ目は、マニュアル作成です。
ベテラン従業員が長年培ってきたナレッジをマニュアルに残すことで、後輩従業員は効率的にナレッジを習得できるでしょう。特にこれまで継承が難しかった暗黙知を形式知化できれば、一層効果を発揮します。
マニュアルがあればOJTの負担も軽減され、教育係となる従業員の負担を軽減することも可能です。
関連記事:社内マニュアルの作成方法!メリット・デメリットと作成時のコツも解説
ナレッジマネジメントツールの活用
ナレッジの継承を成功させる方法の5つ目は、ナレッジマネジメントツールの活用です。
ナレッジマネジメントツールは、従業員のナレッジ・ノウハウを文書として保存でき、必要に応じて検索できるツールを意味します。 ツールの活用により、従業員間の知識共有の促進や、ノウハウの蓄積を図れるでしょう。
その結果、ベテラン従業員から後輩従業員に向けてナレッジ継承を行いやすくなります。
関連記事:ナレッジマネジメントに文書管理ツールは必須?おすすめツール9選も紹介
まとめ
今回は、ナレッジを継承する必要性やうまくいかない要因に加え、ナレッジ継承の方法を解説しました。
ナレッジには形式知と暗黙知があり、共有しにくいとされる暗黙知も、SECIモデルを使えば継承しやすくなるでしょう。
ナレッジの継承にはイノベーションの促進などさまざまな効果がある反面、ナレッジの共有方法が未確立であることなどが原因で、思うように進んでいない企業もあります。
全社的にナレッジ継承の重要性について教育し、勉強会やナレッジマネジメントツールなどナレッジ継承がしやすい仕組みづくりに取り組みましょう。
合わせて読みたい
- 異動や退職によるナレッジの引き継ぎがうまくいかない
- 必要なナレッジにすぐにアクセスできない
- タスク完了までの情報が分散していて、一つのナレッジとして見れない
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