リスク管理を行うことで、リスクの早期発見・対応策の実施を迅速に行うことができ、リスクが及ぼすプロジェクトへの影響を最小限に抑えられます。
リスク管理は、プロジェクト管理において欠かせない項目といえるでしょう。
そこで今回は、プロジェクト管理で重要なリスク管理の基本概要・リスク管理の手順・押さえておくべきポイントを解説します。
【目次】
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プロジェクト管理で重要な「リスク管理」の基本概要
はじめに、プロジェクト管理で重要な「リスク管理」の基本概要を解説します。
リスク管理とは?
プロジェクト管理において、リスク管理はプロジェクトの進行中に発生する可能性のある問題を予測し、問題を最小限に抑えるための管理手法です。
リスク管理によって、プロジェクトのスケジュール・予算・品質などの指標を維持することができ、プロジェクトの成功に向けた確実な道筋を確立できます。
リスク管理にはリスクを把握する「リスク識別」・リスクが発生した場合の影響の評価をする「リスク評価」・リスクを最小限に抑えるための対策を講じる「リスク対策」・リスク対策が有効であるかを監視し、必要に応じて調整する「リスク監視」のステップがあります。
なお、リスクは、個別リスクとプロジェクト全体のリスクを区分することで、適切な対策を講じることができます。
リスク管理の区分
リスクは、個別リスク・全体リスクに分類できます。ここでは、リスク管理の区分を、以下の2点から解説します。
- 個別リスク
- 全体リスク
1つずつ見ていきましょう。
個別リスク
リスク管理の区分の1つ目は、個別リスクです。個別リスクは、発生するかどうかが不明確な事象ですが、発生することで、プロジェクトが達成すべき目標に影響を与える懸念があります。
特定のタスク・活動に関連しており、それらのタスク・活動に対する対策が必要なリスクをいいます。
たとえば、特定のアクティビティが遅れることによってプロジェクト全体のスケジュールに影響を与える可能性がある場合、そのアクティビティに対して対策を講じます。
全体リスク
リスク管理の区分の2つ目は、全体リスクです。全体リスクは、発生するとプロジェクト全体に影響を及ぼすリスクをいいます。全体リスクには、良い影響を与える事象・悪い影響を与える事象も含み、プロジェクト全体に対する対策が必要なリスクです。
たとえば、プロジェクト全体の予算が上限を超える可能性がある場合、プロジェクト全体の予算からみてコストの調整ができます。
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プロジェクト管理の一部であるリスク管理の手順
プロジェクト管理におけるリスク管理は、重要な管理の1つであるため、手順を明確化することが求められます。
ここでは、プロジェクト管理の一部であるリスク管理の手順を、以下の6点から解説します。
- リスク管理計画の策定
- リスクの特定
- リスクの分析
- リスク対応策の検討
- リスク対応の実施
- 監視・コントロール
1つずつ見ていきましょう。
リスク管理計画の策定
リスク管理の手順の1つ目は、リスク管理計画の策定です。リスク管理の手順の中で、リスク管理計画の策定とは、リスク識別・リスク評価・リスク対策の結果をもとに、リスク管理における戦略を立てることをいいます。
プロジェクトの構想段階でも、リスク管理計画を立てますが、プロジェクトの途中でもスケジュール・予算・品質などを調整・コントロールできます。
なお、プロジェクトは常に状況が変わる可能性があるため、プロジェクト全体の後半部分については、状況に応じて見直しをかける必要があります。
リスクの特定
リスク管理の手順の2つ目は、リスクの特定です。リスクの特定とは、プロジェクトにおけるリスクを明確に洗い出すことをいいます。
プロジェクトの規模・目的・スケジュール・予算・リソースなどを考慮して、プロジェクトを進めるにあたり発生する可能性のあるリスクを特定していきます。すべてを洗い出したら、リスクを登録するシートを作りましょう。
リスクを登録するシートは書式を統一し、ステークホルダー全員に明確に理解されることが求められます。リスクの特定によって、プロジェクトにおいて発生する可能性のあるリスクを明確に把握し、適切な対策を講じることができるようになります。
個別リスクに対しては、責任者を指名し、責任者がリスク対応します。
リスクの分析
リスク管理の手順の3つ目は、リスクの分析です。リスクの発生源や影響を明らかにし、リスクが発生した場合にどの程度の影響を及ぼすかを評価します。
リスクの分析には、リスクの評価・リスクの優先順位付け・リスクの影響分析・リスクの原因分析などの要素が含まれます。
リスクの評価によって、リスクが発生した場合にどの程度の影響を及ぼすかを把握します。そして、リスクの優先順位付けによって、重要度の高いリスクに対して優先的に対応できます。
また、リスクの影響・原因を分析することで、リスクの発生を防ぎ、万が一リスクが起きた場合の対策を打ち出すことが可能です。
リスク対応策の検討
リスク管理の手順の4つ目は、リスク対応策の検討です。ここでは、事前に特定したリスクに対して、どのように対処するかを策定します。
リスク識別・リスク評価・リスク対策の結果をもとに、リスク対応を策定・共有し、組織全体で実施するための手順を明確にします。
リスク対応策は、リスクを最小限に抑えるための対策であることが求められます。プロジェクトによい影響を与える事象の発生確率を高めて、悪影響を与える事象の発生を抑えるような対策にすることが重要です。
リスク対応の実施
リスク管理の手順の5つ目は、リスク対応の実施です。リスク管理計画を適用し、プロジェクトの進行中に発生する可能性のある問題を予測し、それらの問題を最小限に抑えるための対策を実施します。
そのために必要なリソースを確保し、プロジェクトのスケジュール・予算を踏まえて調整をします。
監視・コントロール
リスク管理の手順の最後は、監視・コントロールです。リスク対策が有効であるかを追跡し、必要に応じて調整します。
監視・コントロールには、「リスクの追跡」「リスクの再評価」「リスク対策の調整」「リスク管理計画の改善」などが含まれます。リスクの監視で発生したリスクを測定し、再評価では、どの程度の影響を及ぼすかを評価します。
リスク対策の調整では、発生したリスクの影響度に応じて対策を調整し、リスク管理計画の改善では、リスク管理計画を必要に応じて改善します。
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プロジェクト管理におけるリスク管理で押さえておくべきポイント
プロジェクト管理におけるリスク管理の手順が明確になったら、ポイントを押さえて管理を実施することがおすすめです。
ここでは、プロジェクト管理におけるリスク管理で押さえておくべきポイントを、以下の3点から解説します。
- 事前にリスクの評価をする
- 最適な対策を講じる
- モニタリングを行う
1つずつ見ていきましょう。
事前にリスクの評価をする
ポイントの1つ目は、事前にリスクの評価をすることです。
事前にリスクの評価をすることで、プロジェクトの進行中に発生する可能性のある問題を予測し、それらの問題を最小限に抑えるために行う管理ができます。
リスク管理において、事前にリスクを評価することで、予防策を立てること・リソースの有効活用が可能です。
プロジェクトにおいてリスクはつきものといえます。事前に評価しておけば対応工数を見積もることも可能になり、リスク対策を実施するための時間を確保できます。
最適な対策を講じる
ポイントの2つ目は、最適な対策を講じることです。
最適な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。また、コスト・人材・資源を有効活用することにもつながり、プロジェクトのスケジュールの遵守・品質の維持も期待できます。
対策の有効性が高く、ムリなく対応できる対策を講じることが重要です。
モニタリングを行う
ポイントの3つ目は、モニタリングを行うことです。
リスクの発生について常にモニタリングを行うことが重要です。モニタリングをすることで、リスクの早期発見が可能になり、早い段階で手を打つことができます。
また、リスクがプロジェクトに及ぼす影響も最小限に抑えることが可能になります。モニタリングを行い、必要に応じて対策も見直していきましょう。
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まとめ
今回は、プロジェクト管理で重要なリスク管理の基本概要・リスク管理の手順・押さえておくべきポイントを解説しました。
リスクは、プロジェクトの進行において不確定要素であり、その発生によってプロジェクトのスケジュールや予算、品質などが影響を受ける可能性があります。
リスク管理によって、リスクを予め特定し、評価し、対策を講じることで、プロジェクトの進行においてのリスクを最小限に抑えることができます。
また、プロジェクトの中で発生した問題に対して迅速に対処することができ、最終的な成果物を品質の高いものにできます。リスク管理を徹底し、効率を高めながらプロジェクトを進めましょう。
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