そこで今回は、効果的な運用のステップを順を追って説明し、さらに企業の実際の運用事例も解説します。
また、導入後の効果測定方法にも触れ、CRMの運用がどのように実際の成果につながるかも明らかにします。
ぜひCRMを効果的に運用し、既存顧客との強固な関係構築と、売上や利益率の向上にお役立て下さい。
【目次】
CRMの運用方法と手順
ここでは、CRMの運用方法と手順について以下の3点を解説します。
- 顧客情報の分析
- 改善施策の立案・実施
- 効果測定・検証
1つずつ見ていきましょう。
顧客情報の分析
CRMの運用方法と手順の1つ目は、顧客情報の分析です。導入されたCRMシステムを通じて、さまざまな顧客データを簡単に取得することができます。
データの分析を行うことで、顧客のニーズにより即応したサービス提供や、効果的な販売戦略の策定、さらには新しい商品のアイディアを生み出すことが可能になります。
CRMを活用することで、顧客の深い理解を得られ、ビジネス成果を向上させるための方策を練ることができるのです。
関連記事:顧客管理の分析でビジネスを加速!基礎知識から戦略への応用を徹底解説
改善施策の立案・実施
CRMの運用方法と手順の2つ目は、改善施策の立案・実施です。顧客情報の分析結果から明らかになった課題や改善すべきポイントに焦点を当て、実効性のある施策を策定します。
これにより、サービスの品質を向上させ、顧客のニーズに更に応える形での接客やサポートが可能となります。
継続的なCRMの運用と共に、改善施策の立案と実施のサイクルを繰り返すことで、企業は持続的な成長と顧客満足度の向上を実現することができます。
関連記事:CRM施策で業績を飛躍的に伸ばす!事例で学ぶ効果的な戦略と手法
効果測定・検証
CRMの運用方法と手順の3つ目は、効果測定・検証です。具体的な指標、例えば売り上げ、顧客満足度、対応時間などを設定し、実施した改善策が効果的であったかを評価します。
測定結果に基づき、どの施策が機能しているのか、また何を改善するべきかの検証を行います。そして、これらのデータを基に次のアクションプランを策定します。
CRMの運用はこのサイクルの繰り返しで、持続的な成果と顧客満足度の向上を目指します。継続的な評価と反省は、企業と顧客の双方にとって最大の利益を生むための基盤となります。
CRMの運用における注意点
ここでは、CRMの運用における注意点について以下の5点を解説します。
- 顧客データの正確性と整合性
- プライバシーとセキュリティ
- 戦略と目標の明確化
- スタッフのトレーニングとサポート
- 顧客とのコミュニケーション
1つずつ見ていきましょう。
顧客データの正確性と整合性
CRMの運用における注意点の1つ目は、顧客データの正確性と整合性です。間違った情報や古いデータを基にアクションを取ることは、顧客との信頼関係を損ねるリスクを孕んでいます。
不正確な情報に基づくコミュニケーションは、顧客の不信感や不満を生むことがあるため、データのクリーニングと定期的な更新を継続的に行うことが求められます。
これにより、CRMを効果的に運用し、顧客との継続的な絆を深め、関係構築の障害を軽減することができます。
プライバシーとセキュリティ
CRMの運用における注意点の2つ目は、プライバシーとセキュリティです。顧客情報の適切な保護は企業の信頼性を維持するために不可欠です。
まずは情報管理の責任と権限を明確にする管理責任者を設定します。この担当者は、法令や企業の倫理規範に従って、情報を厳格に管理します。
続いて技術の進歩や新たな脅威に迅速に対応するため、セキュリティ対策を常に最新のものに更新します。
さらに個人情報の漏洩を防ぐための組織全体の情報管理と、関連する教育やトレーニングを実施します。これらの措置により、企業の信頼性と顧客情報の保護を両立させることができます。
戦略と目標の明確化
CRMの運用における注意点の3つ目は、戦略と目標の明確化です。CRMもツールの一つであり、その背後にある明確なビジネス目標や戦略がなければ、真の価値を生み出すことはできません。
効果的なCRMの活用には、まずビジネス目標を明確にし、それを実現するための戦略を策定することが求められます。戦略に基づき、具体的なアクションプランを設計し、実行に移す必要があります。
CRMは成功のための一つの手段であり、その成功を保証する鍵は、戦略的な思考と計画的なアクションにあります。
スタッフのトレーニングとサポート
CRMの運用における注意点の4つ目は、スタッフのトレーニングとサポートです。
CRMシステムの特性や利点を十分に発揮するためには、スタッフがその機能や利用方法を熟知していることが求められます。しかし、単にシステムを導入するだけでは、その能力は十分には引き出されません。
適切なトレーニングを提供することで、スタッフがCRMの機能を理解し、最大限に活用できるよう支援することが重要です。
さらにサポート体制を整えることで、スタッフが遭遇する問題や疑問に迅速に対応できる環境を作り出すことが、システムの持続的で効果的な運用を保証します。
顧客とのコミュニケーション
CRMの運用における注意点の5つ目は、顧客とのコミュニケーションです。
CRMは顧客関係の深化を目的とするツールであり、売上の追求だけを目的とするものではありません。このため、顧客に対して過度な販売推進や一方的な情報提供は避けるべきです。
CRMを最大限に活用するには、まず顧客のニーズや期待を深く理解することが必要です。顧客のニーズに応じた価値を提供し、顧客との相互的なコミュニケーションを築くことが大切です。
CRMの真の目的は、顧客との長期的で信頼性の高い関係を築くことにあるため、単に商品を売り込むのではなく、顧客との関係の深化を念頭に置いた運用が必要です。
関連記事:CRMの導入が失敗する原因7つ!防ぐための導入と運用のコツも解説
CRMの運用事例
ここでは、CRMの運用事例について以下の3点を解説します。
- マーケティングの情報となるデータを一元管理
- 電話機能と連携するCRMを運用
- サブスクサービスからの離脱率を改善
1つずつ見ていきましょう。
マーケティングの情報となるデータを一元管理
CRMの運用事例の1つ目は、マーケティングの情報となるデータを一元管理した事例です。
転職や就職支援、人材派遣業を主に行っているA社では、従来のアウトバウンド営業では成果が出にくくなったため、インバウンド営業に注力することを決定しました。
新たにマーケティングチームを立ち上げ、CRMを導入して顧客情報管理やマーケティング活動を一元化しました。
このCRMでは、LPの更新、メール配信、ウェブコンテンツの制作・更新、データ分析などが迅速に行うことができます。
結果、顧客からの問い合わせ件数が5倍になり、Webからの資料ダウンロードやセミナー参加者も増加しました。さらに、CRMを運用することで営業部門への顧客情報の引き継ぎもスムーズに進みます。
顧客のWeb上での行動履歴が見えるため、よりターゲットに合わせた対応が可能となり、成約率もアップしました。
関連記事:CRMでマーケティングを革新!具体的な施策や導入事例を徹底解説
電話機能と連携するCRMを運用
CRMの運用事例の2つ目は、電話機能と連携するCRMを運用した事例です。
地域密着で40年以上の不動産業実績を持つB社は、入居者からの多くの専門的な問い合わせへの対応に負担を感じていました。
この課題を解決するため、電話機能と連携するCRMを導入しました。このCRMには、顧客情報と通話履歴の連携、通話録音、メモ、SMS機能が備わっています。
通話内容を録音やメモで保存することで、情報の共有や後の対応が効率的になったほか、着信時に顧客情報が表示されるメリットもありました。
さらに入居者への更新通知やつながらない顧客への連絡はSMSで効率よく行えるようになり、郵送や再度の電話コスト・手間も大きく削減されました。
関連記事:コールセンターにCRMを導入したい!おすすめ7選も紹介
サブスクサービスからの離脱率を改善
CRMの運用事例の3つ目は、サブスクサービスからの離脱率を改善した事例です。
大手出版社のC社は、出版業界における多様な顧客データの管理やサブスクリプションサイトからの顧客の離脱問題に直面していました。
特に離脱の具体的な理由やその対策の策定に難しさを感じていたのです。このような背景のもと、同社はCRMの導入を決意しました。
結果として、CRMを使用することで離脱の背後にある要因をより詳細に洗い出すことが可能となり、これに基づいた具体的な施策を考案・実行することができるようになりました。
既に課題をきちんと整理していたことが、CRMの効果を最大限に引き出す要因となったと言えるでしょう。
CRMの運用後の効果測定方法
ここでは、CRMの運用後の効果測定方法について以下の5点を解説します。
- 顧客満足度の測定
- 顧客ロイヤルティの分析
- 売上分析
- クリック率などの測定
- 顧客対応時間の測定
1つずつ見ていきましょう。
顧客満足度の測定
CRMの運用後の効果測定方法の1つ目は顧客満足度の測定です。
CRMの導入前後で顧客満足度調査を定期的に実施することで、実際にCRMの活用がどれだけ顧客満足度の向上に貢献しているのかを数値的に把握することができます。
例えば、顧客対応のスピードや質、情報提供のタイミングなど、多岐にわたる要因を客観的に評価することで、CRMの効果を明確にすることが可能です。
このようなアプローチを取ることで、CRMの導入が実際にビジネスにプラスの影響をもたらしているのか、またどの部分が効果的であるのかを明らかにできます。
顧客ロイヤルティの分析
CRMの運用後の効果測定方法の2つ目は顧客ロイヤルティの分析です。
ここでは2つの指標である「リピート率」「推奨率」について紹介します。まず、リピート率は顧客が再度自社の商品やサービスを利用する確率を示します。
高いリピート率は、顧客が製品やサービスに満足していること、または自社のブランドに対する信頼を示すものと言えます。
CRMの導入により、顧客対応やサービスの質が向上している場合、リピート率の上昇が期待できます。
次に、推奨率は顧客が他の人に商品やサービスを推奨する確率を示す指標です。Net Promoter Score (NPS) などの方法で測定されることが多いです。
高い推奨率は、顧客が商品やサービスに非常に満足しており、他人にもそれを勧めたいと感じていることを示しています。
売上分析
CRMの運用後の効果測定方法の3つ目は売上分析です。
売上分析の指標としては、「売上」「クロスセル率」「アップセル率」の3つの指標を紹介します。1つ目の売上は、CRMの最も直接的な成果として現れることが多いです。
CRMのデータ分析を通じて顧客の購買動向や興味を正確に掴むことで、効果的なマーケティングやセールス活動が可能となり、結果的に売上が向上します。
2つ目のクロスセル率は、既存の顧客に別の関連商品やサービスを販売する確率を示す指標です。
CRMを活用することで顧客の興味や購買履歴を詳細に分析し、関連する商品やサービスを提案することで、クロスセルの機会を増やすことができます。
3つ目のアップセル率は、既存の商品やサービスよりも高価なもの、または追加の機能やサービスを既存の顧客が購入する確率を示す指標です。
CRMによって顧客の使用状況や要望を把握することで、タイムリーかつ適切にアップセルの提案が可能となります。
関連記事:顧客管理や売上管理に役立つツールは?選定ポイントも解説
クリック率などの測定
CRMの運用後の効果測定方法の4つ目はクリック率などの測定です。
ウェブサイトやメールキャンペーンの効果を具体的に知るために、ここでは2つの指標をご紹介します。
メールの開封率: 送信したメールがどれだけの人に開封されたかを示す率。これにより、メールの件名や送信タイミングの最適化が行えます。
広告のクリック率 (CTR): 広告が表示された回数に対し、実際にクリックされた回数の比率。CTRは広告の魅力や適切なターゲティングを示す指標として利用されます。
CRMを活用し、これらの指標を定期的にチェックすることで、マーケティング活動の最適化や顧客エンゲージメントの向上策を立案することが可能となります。
顧客対応時間の測定
CRMの運用後の効果測定方法の5つ目は顧客対応時間の測定です。
CRMの運用後、サービス効率の向上を具体的に測定するためには、オペレーション指標の分析が不可欠です。顧客対応時間はその中心的な指標の一つです。
顧客からの問い合わせや要求に対して、企業がどれだけ迅速に反応し、解決に導いたかの時間を示します。
短縮された対応時間は、効率的な業務フローや問題解決スキルの向上を示すものとなります。
CRMのデータ活用により、顧客の過去の履歴や要望、問題点などをすぐに把握し、適切な対応を迅速に行うことができるようになります。
この結果、顧客満足度の向上だけでなく、社内の業務効率も大幅に改善されることが期待されます。
オペレーション指標の分析を通じて、CRMの導入がサービス面でどれだけの効果をもたらしているかを具体的に評価することができます。
関連記事:CRM分析はなぜ重要?代表的手法や役立つツールも解説
まとめ
CRMの運用には、方法と手順の理解、注意点の把握、企業の事例研究、効果測定の技術が欠かせません。
運用方法と手順は、具体的なステップと使用法をルール化し、データの取り扱いやコミュニケーションのミス防止が鍵となります。
企業事例を通して成功と失敗から学び、効果測定でパフォーマンスをきちんと評価します。
これらを適切に組み合わせることで、CRMは自社と顧客との関係を強化し売上の向上につなげることができます。
コミュニケーションツール活用のポイント
コミュニケーションツールを導入し利用しているものの、うまくコミュニケーションが取れないと感じていませんか?
|