【2025年版】プロジェクトマネジメントの基本PMBOKとは?最新動向をわかりやすく解説

しかし、「名前は聞いたことがあるけれど、実際にはよく分からない」「最新版で何が変わったのかを知りたい」と感じている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、PMBOKの基本的な概要から、最新版である第7版の特徴、メリットや注意点も紹介します。
プロジェクト管理の効率化を図りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
プロジェクトマネジメントの基本PMBOKとは
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクト管理におけるベストプラクティス・フレームワークを、包括的にまとめたガイドブックです。
プロジェクトマネジメントに必要な知識が体系的にまとめられています。プロジェクトマネジメント協会(PMI)によって策定され、プロジェクト管理の標準的な指針として世界中で広く利用されています。
PMBOKは、スコープ管理・コスト管理・品質管理・リスク管理など、プロジェクトを成功させるための体系的な知識とプロセスを網羅しており、特に大規模プロジェクトや複雑なプロジェクトにおいて有用です。
定期的に改訂が行われており、最新の第7版は2021年に公開されました。
関連記事:プロジェクト管理に必要な項目を徹底解説!PMBOKを基本から紹介
▼成功プロジェクトのノウハウ、失敗プロジェクトの反省・教訓を次に活かせていますか?
プロジェクトの成功率を向上させたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
プロジェクトの活動の全てを記録し、最大限にナレッジとして活用するための課題と使うべきツールとは?
PMBOK第7版の主な変更点
PMBOK第7版では、従来の単なるプロジェクトにとどまらず、複数のプロジェクトを統括・管理するプログラム・マネジメント、さらには経営資源を最適に配分するプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)にまで視野を広げています。
第7版では、従来のウォーターフォール型からアジャイル型の考え方へと大きくシフトし、多様なプロジェクト管理手法に対応可能な、柔軟性の高いフレームワークへと進化しています。
あわせて、日本語版のページ数も約800ページから約400ページへと大幅に削減されました。
第6版まで採用されていた「5つのプロセス群」の構造は、「12の原理・原則」へと転換されました。
また、「10の知識エリア」も再編され、「8のパフォーマンス領域」へと変更されています。これにより、それぞれのコンテンツの性質も大きく変化しています。
第6版までは、いわば「ハウツー本」としての性格が強かったのに対し、第7版では「バイブル(聖書)」のような位置づけへと変わっています。
PMBOKの構成要素(7版以降)
ここでは、PMBOKの構成要素(7版以降)について、以下の2点を解説します。
- 12の原理・原則
- 8つの行動領域
1つずつ見ていきましょう。
12の原理・原則
PMBOKの構成要素(7版以降)の1つ目は、12の原則です。それぞれの概要を以下に説明します。
- Stewardship(スチュワードシップ)
プロジェクトを請け負ったことに責任を持って行うことです。
例えば、資源や成果物を適切に管理し、倫理的かつ責任を持って遂行します。 - Team(チーム)
お互いを尊重し協力し合うチームを構築することです。
信頼と協力を基盤としたチームを形成し、相互尊重を促進することで高いパフォーマンスを引き出していきます。 - Stakeholders(ステークホルダー):ステークホルダー(利害関係者)との連携
利害関係者との効果的なコミュニケーションと協力を図り、期待やニーズを正確に把握していきます。
- Value(価値)
価値の創造に焦点を当てることです。
ステークホルダーにプロジェクトの成果を提供できるよう、価値の創造に焦点を当てて取り組みます。 - Systems Thinking(包括的思考)
システムの相互作用を認識して対応することです。
プロジェクトの全体像を把握し、各要素の相互作用を理解することで、全体最適を図ります。 - Leadership(リーダーシップ)
リーダーシップを示すことです。
ビジョンを示し、メンバーを支援し導くことで、プロジェクトの成功をリードします。 - Tailoring(テーラリング)
状況に応じた調整や仕立て直しを図ります。
プロジェクトの特性や状況に応じて手法やプロセスを柔軟に調整することで、最適化を図ります。 - Quality(品質)
品質をプロセスと結果に組み込みます。
プロジェクトの全体を通して品質を確保し、プロセスと成果物の両面で高い品質を追求します。 - Complexity(複雑さ)
事態の複雑さに対処、適応することです。
複雑な状況に柔軟に対応し、問題を解決するための適応力を持つことが求められます。 - Risk(リスク)
リスク(好機と脅威の不確実性)に対処することです。
リスクを積極的に識別し、好機を活用しながら脅威を最小限に抑えるなどの管理を行います。 - Adaptability and Resiliency(適応性と回復力)
適応性と回復力を備えることです。
変化する環境に適応し、問題から迅速に立ち直る回復力を備えることで、プロジェクトの継続的な成功を支えます。 - Change(変化)
変化することであるべき未来を達成することです。
持続的な改善とイノベーションを推進し、プロジェクトの目的達成に向けて変化を積極的に受け入れます。
前述した通り、PMBOK第7版では、従来のウォーターフォール型からアジャイル型の考え方へと大きくシフトしています。
アジャイルソフトウェア開発宣言(Manifesto)では、4つの価値と12の原則が掲げられています。
これに対し、PMBOK第7版では、プロジェクトマネジメントにおける具体的な行動指針として、上記12の原理・原則(プリンシプル)を提示しているのです。
8つの行動領域
PMBOKの構成要素(7版以降)の2つ目は、8つの行動領域です。
従来の「10個の知識エリア」という概念がなくなりました。8つの行動領域では、「12の原理・原則」を意識しながら、チーム・ステークホルダーそれぞれの観点である8つの活動領域を定め、何を考慮すべきかを定義しています。
8つの行動領域は以下の通りです。
- Stakeholders(ステークホルダー)
- Team(チーム)
- Development Approach and Life cycle(開発アプローチとライフサイクル)
- Planning(計画)
- Project work(プロジェクトワーク)
- Delivery(デリバリー)
- Measurement(測定)
- Uncertainty(不確実性)
これらはそれぞれ独立した要素でありながら、相互に関連し合うことで一体となって機能し、プロジェクトにおける成果の達成を支えていきます。
▼成功プロジェクトのノウハウ、失敗プロジェクトの反省・教訓を次に活かせていますか?
プロジェクトの成功率を向上させたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
プロジェクトの活動の全てを記録し、最大限にナレッジとして活用するための課題と使うべきツールとは?
PMBOKの構成要素(6版まで)
ここでは、PMBOKの構成要素(6版まで)について、以下の2点を解説します。
- 10の知識エリア
- 5つのプロセス群
1つずつ見ていきましょう。
10の知識エリア
PMBOKの構成要素(6版まで)の1つ目は、10の知識エリアです。
10の知識エリアには以下があります。
- 統合マネジメント
統合マネジメントは、プロジェクト全体の方針を定め、目標やプロセスの調整・管理を行う分野です。
その名の通り、他の9つの知識エリアを統合し、プロジェクト全体を包括的にマネジメントする役割を担っています。 - スコープマネジメント
スコープマネジメントは、プロジェクトの実施範囲を明確に定め、目標達成に必要な成果物やタスクを定義することで、成功の確率を高めることを目的とした分野です。
プロジェクトの成否に大きな影響を与える要素であり、10の知識エリアの中でも最も重要な項目のひとつとされています。 - スケジュールマネジメント
スケジュールマネジメントは、プロジェクトを成功に導くために、スケジュールの管理や時間の使い方を最適化し、生産性の向上を図る分野です。
単なるスケジュール管理にとどまらず、時間あたりの成果を最大化するためのマネジメントである点が重要なポイントです。 - コストマネジメント
コストマネジメントは、プロジェクトの予算を策定します。そのコストを継続的に監視・管理することで、予算内での目標達成を確保することを目的としています。
- 品質マネジメント
品質マネジメントは、プロジェクトのプロセスおよび成果物における品質を管理・確保するための分野です。
ここでいう「品質」とは、成果物がクライアントの要求に合致し、かつ目的に対して適切に使用できる状態であることを意味します。 - 資源マネジメント
資源マネジメントは、プロジェクトを成功に導くために、人材や物的資源の調達・管理を行い、プロジェクト遂行に適したチームを編成する分野です。
- コミュニケーションマネジメント
コミュニケーションマネジメントは、ステークホルダーとの円滑な情報のやり取りを実現するために、コミュニケーションを計画・管理する分野です。
- リスクマネジメント
リスクマネジメントは、プロジェクトの進行中に発生する可能性のあるリスクを識別し、適切に管理するための分野です。
リスクを回避するばかりでは、機会損失を招くこともあるため、リスクを一律に「マイナスなもの」と捉えるべきでなく、プロジェクトにとって最適なバランスでリスクを管理・調整することが大切です。 - 調達マネジメント
調達マネジメントは、プロジェクトの遂行に必要なサービスやプロダクトの調達を計画・管理する分野です。
調達先の選定から、納品の進捗管理、検収に至るまで、調達に関する一連のプロセスを包括的に管理します。 - ステークホルダーマネジメント
ステークホルダー・マネジメントは、プロジェクトに関わる利害関係者に対して、必要な情報を適切に収集・保管・伝達することを管理する分野です。
プロジェクトには、社内外を問わず多様なステークホルダーが存在するため、ニーズや期待を管理するなどそれぞれとの関係を円滑に保つことが重要です。
関連記事:プロジェクト管理のコスト管理とは?メリット・課題・進め方も詳しく紹介
関連記事:品質マネジメントのすべて!効果的な手法と事例で学ぶ品質向上の秘訣
関連記事:プロジェクト管理のカギを握る「リスク管理」を徹底解説!
5つのプロセス群
PMBOKの構成要素(6版まで)の2つ目は、5つのプロセス群です。立ち上げ・計画・実行・監視、コントロール・終結のプロセスがあります。
それぞれの概要を以下に説明します。
- 立ち上げ(Initiating)
プロジェクトの開始にあたって、その実施を正式に認可するプロセスです。
プロジェクトの目的・目標・スコープ・予算・成果など、必要な情報を明確に定義し、プロジェクト憲章の作成とステークホルダー(利害関係者)の特定を行います。 - 計画(Planning)
プロジェクトの目的や目標を達成するために、作業計画を立案・作成するプロセスです。
スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスクなどをはじめ、20もの詳細なプロセスが定義されています。
計画段階では、目標の明確化と洗練に加え、プロジェクト実行時の一連の行動の流れについても具体的に規定します。 - 実行(Executing)
計画に基づき、人員や資源を調整してプロジェクトを実行し、プロジェクト達成に向けて成果物を作成するプロセスです。
チームの指揮・指導を行い、リソースを管理していきます。途中結果次第では計画の見直しやベースラインの再設定が必要となることもあります。 - 監視、コントロール(Monitoring and Controlling)
プロジェクトの進捗を追跡し、パフォーマンスを測定・評価することで、計画に対する逸脱を特定し、必要に応じて修正を行うプロセスです。
プロジェクト実施中の作業が計画と乖離していないかを継続的に監視・確認し、差異が発生した場合には速やかに是正措置を講じます。 - 終結(Closing)
所定のプロセスがすべて完了していることを検証し、プロジェクトまたはフェーズを正式に終了させるプロセスです。
成果物の引き渡しや関係者の合意を得て、必要な文書を整理・保存します。
プロジェクトマネジメントにPMBOKを活用するメリット
ここでは、プロジェクトマネジメントにPMBOKを活用するメリットについて、以下の3点を解説します。
- スムーズなコミュニケーション
- プロジェクトの成功率の向上
- 柔軟なカスタマイズ
1つずつ見ていきましょう。
スムーズなコミュニケーション
プロジェクトマネジメントにPMBOKを活用するメリットの1つ目は、スムーズなコミュニケーションです。
PMBOKは、プロジェクトマネジメントにおける用語や概念を体系的に標準化しており、全世界で共通のフレームワークとして広く認知されています。
これにより、プロジェクトの関係者が同じ用語や概念を共有できるようになり、誤解や混乱を防ぎやすくなります。
プロジェクトに関与するステークホルダーやチームメンバーが多様な場合でも、PMBOKの用語とプロセスを「共通言語」として活用すれば、情報の伝達・意思決定をスムーズに行えるのです。
例えば、スコープ管理やリスクマネジメントといった重要な概念が明確に定義されていれば、各メンバーが同じ理解のもとに議論を進められます。
PMBOKを活用することで、プロジェクトにおけるコミュニケーションの効率と精度が向上し、円滑なプロジェクト運営が可能となるのです。
プロジェクトの成功率の向上
プロジェクトマネジメントにPMBOKを活用するメリットの2つ目は、プロジェクトの成功率の向上です。
PMBOKは、世界中の多様な業界や組織において蓄積された成功事例や、実績に基づいたベストプラクティスを集約したガイドラインで、信頼性が高く、幅広いプロジェクトに適用できる汎用性があります。
特に、未経験の分野や難易度の高いプロジェクトにおいても、PMBOKが提供する体系的なプロセスとフレームワークを参照すれば、成功への道筋を明確に描けます。
スコープの定義・スケジュール作成・リスク管理・品質管理などの重要な要素を漏れなくカバーすることで、計画通りにプロジェクトを進めやすくなるでしょう。
また、PMBOKのフレームワークを活用することで、進捗を測定し、必要に応じて調整を行うための基準も明確になります。
これにより、問題の早期発見や対処ができ、プロジェクトの成功率を高められるでしょう。
関連記事:プロジェクト管理を成功に導く11の手法とは?特徴から実施方法まで徹底解説
柔軟なカスタマイズ
プロジェクトマネジメントにPMBOKを活用するメリットの3つ目は、柔軟なカスタマイズです。
PMBOKは、特定の業界やプロジェクト規模に限定されるものではなく、あらゆる業種やプロジェクトタイプに対応できる、汎用的なフレームワークとして設計されています。
特にPMBOK第7版以降では、従来のプロセス重視から「原理・原則重視」へとシフトし、プロジェクトに柔軟に適用できるようになりました。
小規模なプロジェクトから大規模で複雑なプロジェクト、さらにはアジャイル型やハイブリッド型のプロジェクト管理にも対応しています。
これにより、PM(プロジェクトマネージャー)は自社のニーズに合ったマネジメント手法を取り入れやすく、効率的かつ効果的にプロジェクトを進められるようになるのです。
関連記事:プロジェクト管理におけるアジャイル型とは?導入メリットと5つの手法
関連記事:プロジェクト管理を行うプロジェクトマネージャーの仕事・必要な能力・スキルを徹底解説
プロジェクトマネジメントにPMBOKを活用する時の注意点
PMBOKをプロジェクトマネジメントに活用する時の注意点は、「PMBOKはあくまでガイドラインであり、組織の特性やプロジェクトの性質に合わせて柔軟に適用することが重要である」という点です。
PMBOKは、世界中の成功事例に基づいて体系化された標準的な手法やプロセスを提供していますが、すべてのプロジェクトに対して一律に適用できるわけではありません。
特に、業界特有の要件や企業文化、プロジェクトの規模や複雑さによって、適用すべきプロセスやツールは異なる場合があります。
PMBOK第7版以降では「テーラリング(状況に応じた調整や仕立て直し)」という概念を強調しており、標準的な手法をそのまま適用するのではなく、プロジェクトのニーズに合わせて最適化することが推奨されています。
例えば、小規模なプロジェクトに対してはプロセスを簡略化したり、大規模なプロジェクトではより詳細な計画と管理を取り入れたりといった調整が必要です。
PMBOKを盲目的に適用するのではなく、状況に応じた柔軟なアプローチを取ることで、最大の効果を引き出せるでしょう。
▼成功プロジェクトのノウハウ、失敗プロジェクトの反省・教訓を次に活かせていますか?
プロジェクトの成功率を向上させたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
プロジェクトの活動の全てを記録し、最大限にナレッジとして活用するための課題と使うべきツールとは?
まとめ
今回は、プロジェクトマネジメントの標準ガイドブックPMBOKについて紹介しました。
PMBOKは、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスを体系化したガイドブックです。最新の第7版では柔軟な適用を重視する構成へと進化しました。
プロジェクトの特性に合わせたカスタマイズが容易になり、より効率的な管理が可能です。PMBOKを効果的に活用することで、スムーズなコミュニケーションや成功率の向上が期待できる一方で、状況に応じた柔軟な対応も必要です。
プロジェクト管理をさらに効率化するには、専用ツールの活用も検討しましょう。
特におすすめなツールはCrewWorks(クルーワークス)です。
CrewWorks(クルーワークス)は柔軟なプロジェクト管理をサポートするツールで、プロジェクト管理機能のほか、ビジネスチャット・タスク管理・Web会議・ファイル共有など、ビジネスに必要な機能が揃ったオールインワンツールです。組織のパフォーマンス最大化に役立ちますので、ぜひ導入を検討してみてください。
プロジェクト管理ツールのチェックリスト【決定版】~導入を失敗しないための必須10項目~
プロジェクト管理ツールの導入を検討している経営者~担当者向けに、導入時に押さえておくべき重要ポイントを解説した資料です。選定基準から導入後のサポートまで、効率的にプロジェクト管理ツールを導入するためのチェックポイントを確認できます。
|
