定期的に予算通りに推移しているか、超過していないかを確認することで、リスク発生時にすぐに調整することができ、プロジェクト全体への影響を少なくできるでしょう。
そこで今回は、プロジェクト管理における予実管理について、重要な理由、進め方、引き起こしがちな失敗、成功ポイントについて解説していきます。
【目次】
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プロジェクト管理における予実管理とは
プロジェクト管理における予実管理について説明します。
まず、予実管理とは予算実績管理の略で、予算と実績を管理することです。たとえば、売上・仕入などの目標に対して、実績が予算通りに推移しているかどうかを確認し、超過しないように管理していきます。
プロジェクト管理における予算管理では、プロジェクトの売上や予算・経費・工数を対象として管理します。
予実管理では、プロジェクトが計画通りに進行しているかを定期的に評価することで、リスクを早期に発見でき、適切な対応策を講じることが可能です。
プロジェクトの遅延やコストオーバー・品質の問題などを未然に防ぐためにも、定期的かつ継続的な予実管理が必要です。
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予実管理がプロジェクト管理において重要な理由
予実管理がプロジェクト管理において重要な理由を、以下の3点から解説します。
- 超過予防
- 効率的な活動実施
- 働きやすい環境作り
1つずつ見ていきましょう。
超過予防
予実管理がプロジェクト管理において重要な理由の1つ目は、超過予防です。
予実管理では、プロジェクトの売上や経費を定期的に管理することで、プロジェクトを進める上で超過するのを防ぎます。
たとえば、収入面・支出面に対して、予算を設定し管理することが挙げられます。超過を防ぐことは、予実管理で設定した工数・費用管理だけでなく、リソースの効率的な使用、プロジェクトのスケジュール維持など、プロジェクト全体に影響します。
適切な予実管理を行うことで、コストだけでなくプロジェクトの品質・スケジュールも間接的にコントロールでき、プロジェクトを成功に導きます。
効率的な活動実施
予実管理がプロジェクト管理において重要な理由の2つ目は、効率的な活動実施です。
プロジェクトでは、不測の事態が発生したり、顧客から追加要望が急に出てきたりなど、計画通りに進まないことも少なくありません。
そのため、予実管理はプロジェクトの中で発生した出来事から影響を迅速に評価し、対策を立てるための枠組みを提供します。
予定と実績を比較することにより、それがプロジェクトにどのように影響するかを評価し、リソースの再配分など、必要な対策を講じて影響を最小限に抑えることが可能です。
予実管理はプロジェクトで発生する不測の事態にも対応し、その影響を最小限に抑えることを可能にします。
働きやすい環境作り
予実管理がプロジェクト管理において重要な理由の3つ目は、働きやすい環境づくりです。
プロジェクトにおいて工数が特定の従業員に偏ると、その従業員に過度な負担がかかり、プロジェクトの品質や進行に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、従業員のストレスを増加させ、健康や満足度にも影響を及ぼし、長期的にはチームの士気や生産性を低下させてしまうかもしれません。
そのため、予実管理を通じて、工数の分配を定期的に確認し、特定の従業員に偏らないような調整や納期の調整などをする必要があります。
予実管理では、工数に偏りがないよう必要な調整を行うことで、プロジェクトメンバーが働きやすい環境を作り、従業員の満足度と生産性を高めることも可能です。
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プロジェクト管理における予実管理の進め方
プロジェクト管理における予実管理の進め方を、以下の5点から解説します。
- 目標設定
- KPI設定
- 分析
- 対策
- 改善
1つずつ見ていきましょう。
目標設定
プロジェクト管理における予実管理の進め方の1つ目は、目標設定です。
プロジェクトを開始する前に、予算目標を設定しましょう。目標がなければ、予算においてプロジェクトチームが何を達成すべきかが曖昧になり、予算において順調に進んでいるのか、そうでないのかを見極めることができません。
予算を定めるときは、過去に似たようなプロジェクトがないかなど、実績を振り返り、どのような目標を設定していたか調査することも必要です。
予実管理における目標設定は、プロジェクトチームが予算において、何を目標として活動するかを定める、プロジェクトの成功のために欠かせない要素です。
KPI設定
プロジェクト管理における予実管理の進め方の2つ目は、KPI設定です。
KPIは、プロジェクトの進行状況と成功を測定するための重要な指標です。コストなど、予実管理における目標達成度を定量的に評価し、予定に対して実績がどれくらいかを明確に示します。
KPI設定を通じて、プロジェクトチームはどの領域がうまくいっているのか、またどの領域で改善が必要なのかを認識できます。
予実管理におけるKPI設定は、コストだけでなくプロジェクト全体の進行状況にも影響する、重要な要素です。
分析
プロジェクト管理における予実管理の進め方の3つ目は、分析です。
分析は、プロジェクトのコストや工数の進捗状況を評価し、予定と実績のギャップを確認していきます。分析を通じて、順調に進んでいるタスクの特定、遅延が発生してボトルネックとなっているタスクはどこかなどを特定します。
人による主観的な分析ではなく、Excelや予実管理システムを利用し、客観的に分析することが効果的です。
予実管理において分析することは、プロジェクトの進捗が順調か、あるいはそうでないところに対して必要な改善策を導き出すことに繋げるためにも、重要な手段です。
対策
プロジェクト管理における予実管理の進め方の4つ目は、対策です。
プロジェクトのコストや工数などを分析した結果をもとに、予算内に計画が収まるよう対策を立てていきます。
たとえば、予算がギリギリの場合は、どこにコストがかかっているのか仮説を立てて原因を特定していき、超過が発生しないようにコストの見直しなどの調整が必要です。
状況によってリソース追加などの対応もあるでしょう。また、予算に余裕がある場合は、そのままにせず、企業の利益をより高める施策もなども検討していきます。
予実管理において対策を立てることは、プロジェクト内での無駄なコストを少なくするためにも重要です。また、人員などを追加する対策実施によって、本来必要とするリソース数を組織にアピールすることも可能です。
改善
プロジェクト管理における予実管理の進め方の5つ目は、改善です。
予実管理は、前述した目標設定〜対策までをPDCAサイクルに当てはめ、改善を続け、予実管理の品質向上を図っていきます。
そうすることで徐々に、精度の高い予実管理を行え、品質も向上し、他プロジェクトへの展開時にも、効率よく予実管理を進められることでしょう。
PDCAサイクルに基づいて予実管理を行い、その品質を継続的に高めていくことは、企業におけるプロジェクト全体を成功させるためにも、重要な活動です。
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予実管理がプロジェクト管理で引き起こしがちな失敗
予実管理がプロジェクト管理で引き起こしがちな失敗を、以下の2点から解説します。
- 目的が曖昧
- 予算粒度が粗い
1つずつ見ていきましょう。
目的が曖昧
予実管理がプロジェクト管理で引き起こしがちな失敗の1つ目は、目的が曖昧であることです。
予実管理における目的やゴールが曖昧なまま予実管理を進めてしまうと、プロジェクトチームはそれぞれ異なる理解を持ったまま進めてしまうでしょう。そのため、途中で方向性がわからなくなり、結果として全体の方向性を見失う可能性があります。
そこで、予実管理では、あらかじめ目標設定を明確にした上で、定期的に進捗を確認することが大切です。プロジェクトの方向が目標からずれていないかを都度確認し、軌道修正していきましょう。
予算粒度が粗い
予実管理がプロジェクト管理で引き起こしがちな失敗の2つ目は、予算粒度が粗いことです。
予算粒度が粗いままプロジェクトを進めていくと、プロジェクトメンバーは、何を目標とすればよいか曖昧になり、モチベーションも低くなる可能性があります。
また、目標があっても、その値に根拠がなければ、達成しようという気持ちも芽生えません。
そのため予実管理で予算を立てるときには、根拠を示した上で、正確な目標値・KPIを立てることが重要です。
関連記事:プロジェクト管理の目標とは?設定が重要な理由・進め方と成功のポイントを解説
予実管理でプロジェクト管理を成功させるポイント
予実管理でプロジェクト管理を成功させるポイントを、以下の4点から解説します。
- 見積精度
- 見える化・共有
- 進捗確認
- システム化
1つずつ見ていきましょう。
見積精度
予実管理でプロジェクト管理を成功させるポイントの1つ目は、見積精度です。
プロジェクトのスコープ・期間・予算などは、初期の見積時に大きく依存しています。見積の精度が低いと、予期せぬ事態が発生したとき、プロジェクト全体の予算超過・期間超過・品質低下など、多くの問題を引き起こす可能性があります。
そのため、見積の精度を高めることは、プロジェクトのリスクを管理することはもちろん、プロジェクト成功に向けても重要です。
プロジェクトで予算を見積もるときは、外注費経費など抜け漏れなく全て取り入れることはもちろん、想定外の事象を考慮して、ある程度のリスクを含めましょう。
リスクを含める時は、外注費にバッファを積むのではなく、社内の工数などの予算を増やして、支払い金額を少なく抑えることも大切です。
予実管理で見積精度を正確にすることは、プロジェクトの予算から期間・品質を適切に管理することにも繋がります。
見える化・共有
予実管理でプロジェクト管理を成功させるポイントの2つ目は、見える化・共有です。
予実管理の予定・実績をプロジェクトメンバーはもちろん、プロジェクトマネージャーや所属上長、主要なステークホルダーにも情報共有して、コスト意識を高めていきましょう。
プロジェクトに関わる全員がコスト意識を持つことで、それぞれが効率的な活動を意識して行動できます。もし超過が起きそうなときには、メンバー間や関係者で協力し、影響が大きくならないように軌道修正するなども可能でしょう。
プロジェクト管理を成功させるために、予実管理において見える化・共有し、全体でコスト意識を高めていくことが重要です。
進捗確認
予実管理でプロジェクト管理を成功させるポイントの3つ目は、進捗確認です。
プロジェクト開始後は、予定と実績の差異チェックを定期的に実施することが大切です。
プロジェクトには、さまざまな要因によって計画通りに進まないことも多くあります。期間・費用・スコープ・品質などの観点で予定と実績の差異が生じると、その影響はプロジェクト全体に及んでしまうでしょう。定期的な進捗確認と予実の差異チェックにより、早期に問題を発見し必要な対策を講じることが大切です。
システム化
予実管理でプロジェクト管理を成功させるポイントの4つ目は、システム化です。
予実管理の精度を高めながら効率よく実施するためには、専用のシステムを導入することをおすすめします。
プロジェクト管理・予算管理の機能が搭載されたシステムでは、高度な予実管理を行えます。従来、人の手を介した作業が効率的になり、予実管理に必要な工数を削減できる可能性も高まるでしょう。
予実管理をシステム化することで人の手を介した管理作業を大幅に削減し、プロジェクト管理を成功につなげます。
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まとめ
今回は、プロジェクト管理の予実管理について解説しました。プロジェクト管理を成功させるためには、予実管理の目標を明確に立てること、従業員一人ひとりが高い意識を持って取り組むことが大切です。
予実管理では、目標・KPI設定・分析・対策・改善とPDCAサイクルを回すことで、精度が高まり、他のプロジェクトにも効率よく展開できるでしょう。
本記事を参考にして、予実管理に取り組んでみてください。
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