しかし、近年CRMが急速に普及し注目されている中で、成功事例もありますが半数以上が失敗に終わるというデータもあり、自社ではCRMの導入に失敗したくないと考えている人も多いでしょう。
そこで今回は、CRM導入が失敗する7つの原因、失敗を防ぐための導入と運用のコツを解説します。
【目次】
CRMの導入が失敗する原因7つ
ここでは、CRMの導入が失敗する原因について、以下の7点を解説します。
- 導入目的が曖昧だった
- 自社にあわないツールだった
- 比較せずにツールを選んだ
- 現場の従業員が活用のメリットを見いだせない
- 導入自体が目的になっていた
- システムを評価する指標がない
- 運用管理者が決まっていない
1つずつ見ていきましょう。
導入目的が曖昧だった
CRMの導入が失敗する原因の1つ目は、導入目的が曖昧だったことです。
目標がはっきりしていない、また目的が曖昧なままシステムを選択し導入してしまうと、システムをうまく使いこなせず、期待通りの効果が得られないため、費用対効果が低くなってしまいます。
また、目標や戦略を立てていないと、運用も曖昧になってしまいます。
高い資金を投じ、時間をかけてCRMを導入しても、結局は「顧客名簿リスト」や「お問い合わせの記録」としてしか活用されないのでは、One to Oneマーケティングを得意とするシステムを最大限に有効活用できているとは言えません。
事前に、CRMの導入目的を明確にしておくことが重要です。
自社にあわないツールだった
CRMの導入が失敗する原因の2つ目は、自社にあわないツールだったことです。
CRMごとに特有の機能や特性があるため、どの企業でもマッチするわけではありません。選定するときには、カスタマイズ性・拡張性のあるツールを選ぶ必要があります。
また、従業員がツールを使いこなせるか、セキュリティ対策が十分に行われているかどうかも重要なポイントです。
導入前のデモやトライアルを利用し、検証を行うことで、自社に最適なCRMツールを選定でき、導入後の効果を最大化できるでしょう。
比較せずにツールを選んだ
CRMの導入が失敗する原因の3つ目は、比較せずにツールを選んだことです。
一口にCRMといっても、さまざまなシステムが各社から提供されています。基本的な機能は似ていても、操作性やパフォーマンス、価格や使用法、また外部ツールとデータ連携できるかどうかはツールによって異なります。
また、複数のCRMを比較検討することで、それぞれの長所や短所が理解できるようになります。
複数の企業から見積を取り、機能と価格のコストパフォーマンスを意識しながら選ぶことが大切です。
現場の従業員が活用のメリットを見いだせない
CRMの導入が失敗する原因の4つ目は、現場の従業員が活用のメリットを見いだせないことです。
経営層がCRM導入に前向きだったとしても、現場も同様に熱心であるとは限りません。CRMを活用しようとすると、データ入力を継続して行い、顧客データベースを充実させる必要があります。
ただし、データの入力は、現場の従業員が行う必要があり、特に営業部門の協力が必要になります。
既存の業務に加えて、手間がかかるデータ入力は負担になってしまい、CRMの導入が進まないケースがあります。
CRMのメリットや特長を社内全体で共有できていないと、コストをかけて新規導入したとしてもCRMの利用にも消極的になってしまうでしょう。
導入自体が目的になっていた
CRMの導入が失敗する原因の5つ目は、導入自体が目的になっていたことです。
CRMは業務の効率化や売上や利益の安定を目指すときに大きな役割を果たすツールですが、その能力を最大限に引き出すためには、機能を深く知り、適切に活用していく必要があります。
導入するだけでなく、顧客データからニーズを把握・分析し、データを基にした施策立案や実行などに活用し、顧客との良好な関係を構築し促進するツールです。
そのため、CRMは効率改善を支援するツールであり、最終的なゴールとは言えません。導入後の狙いを明確に持つことで、CRMの導入自体が目的になる事態を防げるでしょう。
システムを評価する指標がない
CRMの導入が失敗する原因の6つ目は、システムを評価する指標がないことです。
導入した後に何を成し遂げるべきか、目標がぼやけていると、システムの効果や成果を正確に計測できなくなってしまいます。
適切な評価基準を定めずに導入してしまうと、システムの有益性や効率の向上度合いを正確に評価することが難しく、投資効果の検証はもちろん、必要な改善点も見過ごされることがあります。
そのため、導入前にクリアな目標と評価基準を立て、どの指標を用いて導入効果を判断するかを事前に決めておくことが重要です。
適切なデータの収集・蓄積と分析体制を構築し、定期的な検証と改善のサイクルを確立することで、CRMの導入による成果を最大化できるでしょう。
運用管理者が決まっていない
CRMの導入が失敗する原因の7つ目は、運用管理者が決まっていないことです。
CRMシステムの操作、調整、問題解決などを担う管理者が不在、あるいははっきり決まっていない場合、システムをフルに活用できません。
管理者がいないことで、システムのアップデートや改良が遅れたり、従業員へのサポートや説明が不十分になったりする恐れがあります。
そのため、CRMの導入前にシステムの管理者を決定し、役割や責任を明確にさせておくことが大切です。
管理者には勉強会や研修などの教育を行い、システム利用の促進と円滑な運用をサポートする体制を強化することで、導入後の成功が期待できるでしょう。
関連記事:CRMのデメリットは?メリットと導入ステップも解説
失敗を防ぐためのCRM導入のコツ
ここでは、失敗を防ぐためのCRM導入のコツについて、以下の4点を解説します。
- 導入目的を明確にする
- 活用方針と評価指標を定める
- 現場の従業員がツールを選ぶ
- サポート体制のあるツールを選ぶ
1つずつ見ていきましょう。
導入目的を明確にする
失敗を防ぐためのCRM導入のコツの1つ目は、CRMを導入するときの目的を明確にすることです。
「業務の効率化」「サービスの品質向上」「マーケティング情報への活用」など、自社の課題や目標を明確に設定しましょう。
これにより、具体的なニーズにあったCRMシステムを選定し、効果的に活用できるようになります。
例えば、業務効率化を目指す場合、作業フローの整理や自動化機能ができるシステムを選んだ方が有利です。
一方で、マーケティング活動にCRMを利用する場合は、顧客の購入履歴や嗜好データをレポートで可視化し分析できる機能や、顧客一人ひとりに最適なタイミングと内容でメールを自動配信しアプローチが実施できる機能を搭載したシステムを導入した方が良いといえます。
また、営業部門とマーケティング部門の連携やデータ入力の手間を削減したい場合は、SFAとのデータ連携が可能な製品を選択するのが良いでしょう。
自社の目標に基づいて、適切な機能を備えたCRMツールを選び、効果的な運用を図りましょう。
活用方針と評価指標を定める
失敗を防ぐためのCRM導入のコツの2つ目は、運用管理者やルールを決めておくことです。
このとき「CRMのデータはどのように活用するか」という活用方針を事前に設定しておくことが大切です。
例えば、セールス部門では、潜在的な顧客(リード)の獲得や営業活動の作業効率の向上、マーケティング部門では、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化やカスタマーサクセスや顧客満足度の向上などが挙げられます。
CRMの活用法は部門によって異なるため、企業全体のマーケティング戦略を考慮しながら、各部門で効率的なCRMの活用方法を決定しましょう。
関連記事:CRMを活用して何ができる?実例7選やポイントも解説
現場の従業員がツールを選ぶ
失敗を防ぐためのCRM導入のコツの3つ目は、現場の従業員がツールを選ぶことです。
CRMツールの利用者は、主に営業担当者やマーケティング担当者であるため、ツールの選定段階では、現場のリーダーが参加するようにしましょう。
実際に使用する人が選ぶことで、実用性の高いものを選び定着させることが可能です。
また、現場のリーダーは、新入社員から経験豊富な人材まで、簡単に操作でき実際の業務で活用できるかを判断しましょう。
サポート体制のあるツールを選ぶ
失敗を防ぐためのCRM導入のコツの4つ目は、サポート体制のあるツールを選ぶことです。
導入後のアシスタント、トレーニング、アップデートが可能なツールかを確認することが大切です。
ベンダーからの適切なサポートがないものを選ぶと、システムに生じるトラブルや変更に対応できなくなってしまいます。
トラブルが発生した際に、メールでしかサポートを受けられなかったりすぐ回答がもらえないと、長期にわたりシステムが値用できなくなる状況が続く可能性があるため、手厚いサポートがあるツールを選ぶ必要があります。
過去の実績や顧客の満足度などのレビューをよくチェックし、安心して利用できるツールを選びましょう。
サポート体制が整ったツールを選ぶことで、順調に運用でき、CRMツールのメリットを最大限に活かすことが可能になります。
関連記事:顧客管理(CRM)ツールとはなにか?おすすめのツール10選を徹底解説!メリットと選定のポイントも紹介
失敗を防ぐためのCRM運用のコツ
ここでは、失敗を防ぐためのCRM運用のコツについて、以下の3点を解説します。
- 運用管理者やルールを決めておく
- スモールスタートで始める
- 自社にあったシステムにカスタマイズする
1つずつ見ていきましょう。
運用管理者やルールを決めておく
失敗を防ぐためのCRM運用のコツの1つ目は、運用管理者やルールを決めておくことです。
運用管理者は、CRMの使用方法を社内全体に教え、問題の解決をサポートする役割を担当しましょう。
また、顧客情報の入力の統一ルールなど、社内の使用ルールを明確にし情報共有しておくことで、データの品質が保たれ精度が向上します。
そして、定期的に使用感をアンケートし、改善の余地がある場合は迅速に対応していく仕組みを作ることも大切です。CRMシステムの実用性が高まり、組織全体の生産性向上が期待できます。
運用の初期段階で社内の運用方法を確立しておくとよいでしょう。
スモールスタートで始める
失敗を防ぐためのCRM運用のコツの2つ目は、スモールスタートで始めることです。
全社で一斉にCRMの利用をはじめるのではなく、期間を決めてまずは特定の部署や一部のチームから導入をはじめましょう。現場のフィードバックを活かしながら、段階的に導入することが重要です。
一気に導入すると、操作や活用方法の疑問や不満が生じても、サポートできる従業員がいない状況に陥り混乱してしまいます。
そのため、最初はスモールスタートで始め、徐々に拡大していくことをおすすめします。
企業特有の使い方や注意点を共有しながら、スムーズに全体へ全体に展開していくことができるでしょう。
自社にあったシステムにカスタマイズする
失敗を防ぐためのCRM運用のコツの3つ目は、自社にあったシステムにカスタマイズすることです。
多くのCRMツールは、企業のニーズや業務フローに合わせて機能のカスタマイズが可能です。しかし、カスタマイズするときにはバランスが重要です。
全ての要望に合わせた過度なカスタマイズは、システムの複雑化を招き、結果的にメンバーの利用難度が高まる恐れがあります。
基本的な機能から始め、徐々に必要な機能を追加していく方法をおすすめします。
実際の業務フローに沿って適切にカスタマイズしていくことで、CRMツールを効果的に活用し、業務効率化につながるでしょう。
関連記事:CRM運用成功へのステップ、事例で学ぶ注意すべき点や効果測定のコツ
まとめ
今回は、CRM導入が失敗する7つの原因、失敗を防ぐための導入と運用のコツについて解説しました。
CRMの導入は、よくある失敗の原因を避け、現場の声を取り入れながら導入を進めていくことが大切です。
自社にあった形でCRMを導入することで、CRMの価値を最大限に引き出し、業務効率化とビジネス拡大が実現できるでしょう。導入前に準備し、計画を立てておくことで、成功につながりやすくなります。
あなたの企業でもCRM導入の計画が進んでいるなら、ぜひ今回の記事を参考にして失敗を避け、成功への一歩を踏み出しましょう。
「顧客管理(CRM)ツールとはなにか?おすすめのツール10選を徹底解説!メリットと選定のポイントも紹介」では、CRMツールについて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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