そこで今回は、CRMの基本概要と導入のメリット・デメリット、導入ステップを詳しく解説します。CRMの導入を決めかねている方はぜひご覧ください。
【目次】
CRMとは?
ここでは、CRMについて、以下の2点を解説します。
- CRMの概要
- CRMの機能
1つずつ見ていきましょう。
CRMの概要
CRM(Customer Relationship Management)は、日本語では顧客関係管理と訳され、企業と顧客との良好な関係を持続するための経営戦略のことを指します。また、この経営戦略をサポートするITツールのことも、CRMシステムやCRMと呼ばれることがあります。
ビジネスの利益を拡大するためには、自社の顧客を理解することが重要です。顧客の属性や活動履歴、自社との関係性といった情報を集約・分析できるCRMは、営業活動を持続して利益を拡大させるために欠かせないツールと言っても過言ではありません。
CRMの機能
CRMの主な機能には、以下の5点があります。
- 顧客情報の管理
- データの集計・分析
- 営業の進捗や顧客とのやりとりの記録
- メールの自動送信
- 問合せフォームや他の入力フォームの作成
CRMでは、顧客の年齢・性別・住所といった基本情報や購入履歴、問い合わせ履歴などを一括で保存し、管理できます。CRMに蓄積された情報にアクセスすることで、各顧客とのコミュニケーションがスムーズになり、要望にも迅速に応えられるでしょう。
また、CRMに収集されたデータを基に、ビジネスの動向や顧客の行動パターンを分析し、より良いサービス提供やマーケティング戦略の策定に役立てることも可能です。このように、CRMには、顧客満足度を向上させ、業務効率化に役立つ機能が多数備わっています。
CRMを導入するメリット
CRMを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、CRM導入時のメリットについて、以下の4点を解説します。
- 顧客情報を一元化できる
- 最新のデータを情報共有できる
- マーケティング戦略に役立てられる
- 施策のPDCAサイクルを回すのに役立つ
1つずつ見ていきましょう。
顧客情報を一元化できる
CRM導入時のメリットの1つ目は、顧客情報を一元化できることです。CRMの顧客データは、営業担当者だけでなく、マーケティングやカスタマーサービス、上層の管理者とも簡単に共有できます。さらに、各部署がデータを追加できるため、さまざまな視点から顧客情報を1つのプラットフォーム上で分析することも可能です。そのため、営業活動やマーケティングの戦略策定、カスタマーサービスのサポートなど、CRMの顧客情報を多岐にわたる業務で役立てることができるでしょう。
最新のデータを情報共有できる
CRM導入時のメリットの2つ目は、最新のデータを情報共有できることです。現代の市場は変化が速いため、リアルタイムで情報共有することは非常に重要です。CRMシステムでは、顧客データを時系列で更新・参照ができます。そのため、顧客と最後にコンタクトをとった記録や購入履歴、顧客の要望など、最新の情報をチーム全体で共有できるのが特徴です。
最新の顧客データを共有してサービスを最適化することで、顧客満足度の向上が期待できます。競争の激しい市場において、企業の競争力を高めるためにも、最新データの情報共有は、重要な要素となるでしょう。
マーケティング戦略に役立てられる
CRM導入時のメリットの3つ目は、マーケティング戦略に役立てられることです。まず、大量の顧客情報を集約・分析することで、データに基づいた意思決定が可能になります。感覚値ではなく確実なデータを基にした戦略を展開することで、ミスが起こるリスクを低減できるでしょう。
さらに、顧客の購入履歴や興味関心から顧客のセグメントを行い、1人1人にあわせたアプローチがしやすくなります。画一的な営業メールではなく、顧客のニーズに合わせたコミュニケーションができるようになり、購入率や申し込み率の向上が期待できます。また、過去のデータから未来の動きを予測し、戦略を練ることにも活用できるでしょう。CRMは、データを駆動した効果的なマーケティングを実現するために、不可欠なツールといえます。
施策のPDCAサイクルを回すのに役立つ
CRM導入時のメリットの4つ目は、施策のPDCAサイクルを回すのに役立つことです。CRMでは、顧客との関わりをデータ化し、可視化できます。そのため、PDCAサイクルを効果的に実行しやすくなります。CRMを活用したPDCAの例は、下表の通りです。
P (Plan) |
CRMの顧客データを利用して、顧客関係強化のための具体的な戦略やターゲットを設定する |
D (Do) |
CRMツールを活用し、計画した営業やマーケティング活動を実施する |
C (Check) |
CRMの情報を基に、実施した活動の成果や反応を分析・評価する |
A (Act/Adjust) |
CRMの分析結果をもとに、次のステップや戦略を改善・修正する |
PDCAサイクルを効率的に回すことで、顧客満足度の向上や効果的なマーケティング戦略の実行がしやすくなります。CRMの導入は、このサイクルをスムーズに、かつ継続的に行うための強力なサポートツールとなるでしょう。
CRMを導入するデメリット
新しいシステムを導入するときには、デメリットについてもしっかり把握しておきたいものです。ここでは、CRM導入時のデメリットについて、以下の3点を解説します。
- 導入・運用コストがかかる
- データの構築が必要になる
- 効果を実感するまでに時間がかかる
1つずつ見ていきましょう。
導入・運用コストがかかる
CRM導入時のデメリットの1つ目は、導入・運用コストがかかることです。
CRMをゼロから立ち上げる場合、製品により費用は異なりますが、初期導入費や毎月の使用料がかかることを理解しておく必要があります。また、見落としがちですがCRMの運用には、人件費もかかります。部署全体で新しいシステムを導入し、順調に運用まで進めるためには、勉強会や研修の実施をする必要があります。自社で勉強会を実施できない場合は、システムの提供事業者や講師を招いて、実施することもあるでしょう。このように、導入費用や月額の使用料に加えて、CRMの運用にかかるコストも見越して、コストパフォーマンスを検討していく必要があります。
データの構築が必要になる
CRM導入時のデメリットの2つ目は、データの構築が必要になることです。
これまで、紙のデータベースで顧客情報を管理していたのであれば、デジタル化は不可欠です。Excelを利用している場合も同様です。顧客情報を整備するためには、抜けている情報を取りまとめて、新しいデータベースに登録する作業に多くの労力がかかることを理解しておきましょう。
効果を実感するまでに時間がかかる
CRM導入時のデメリットの3つ目は、効果を実感するまでに時間がかかることです。
CRMは、導入直後から、売上が上昇したという結果を期待するのは難しく、日々の情報収集の積み重ねや、その情報を基にした持続的な取り組みをして効果が出るシステムです。CRMを販売や広報活動の場で活用するには、分析が行えるほどの情報量を蓄えるまで時間がかかります。また、具体的な読み取りや改良の計画は、そのデータや分析の結果を基に、担当者が判断・実施する必要があります。そのため、実際に効果を感じるまでには一定の期間が必要となることを理解しておきましょう。
CRMのデメリットを踏まえた上での導入ステップ
ここでは、CRMのデメリットを踏まえた上での導入ステップについて、以下の4点を解説します。
- 求める機能を洗い出す
- 運用コストを確認する
- データは連携しやすいかを確認する
- 運用スケジュールと導入チームを決める
1つずつ見ていきましょう。
求める機能を洗い出す
CRMの導入ステップの1つ目は、必要な機能の洗い出しです。
自社のビジネスの目的に応じて、CRMに求める機能を明確にしていきましょう。まずは、営業活動の内容、キャンペーンの管理、カスタマーサポートの対応状況など、具体的な課題を見つけ出していきます。次に、これらの課題に対して、どのような顧客データを管理・分析するかを考えます。部署内だけでなく、関連部署や取引先などと十分な検討を重ね、最も適切なCRMシステムを導入するための土台をしっかりと築くことが重要です。
運用コストを確認する
CRMの導入ステップの2つ目は、運用コストを確認することです。
多くの場合、CRMにかかる運用コストは、システムの導入時だけでなく、継続的に発生します。ライセンス料・システムのアップグレード・保守・サポートといった関連コストがかかります。この中でも、ライセンス料は、利用者の数やプランの種類に応じて変わります。一部のCRMはユーザー数に応じて課金されるため、将来的なビジネスの拡大を考慮したときのコスト増も見越しておく必要があります。
また、システムのアップデートや保守に関するコストも考慮する必要があります。技術的な問題が生じたときや新機能の追加時には、追加の費用がかかることも少なくありません。導入前にCRMの運用コストを確認し、計画的に導入を進めることで、後々のトラブルや予期せぬ出費を防ぐことができるでしょう。
データが連携しやすいかを確認する
CRMの導入ステップの3つ目は、データが連携しやすいかを確認することです。
例として、顧客の過去の購入データを保存しているシステムとの連動があります。次回のプロモーションや販売活動において過去の購入データは重要な情報であるため、CRMと連携することで、効率的なビジネス展開が期待できます。データの主な統合・連携方法は、人の手でデータを移行する方法と、システムをカスタマイズして自動連動させる手法の2つです。どの手段を選ぶかによって必要な費用や時間、業務プロセスが異なるため、明確なビジョンを持って計画していくことをおすすめします。
運用スケジュールと導入チームを決める
CRMの導入ステップの4つ目は、運用スケジュールと導入チームを決めることです。
CRMの活用範囲は、主に営業チームを中心として、カスタマーサービス、IT部署など、多岐にわたる部門の従業員とともに運営していきます。効率的な導入と運用を実現するために、主な担当者を中心に、関連する従業員でプロジェクトチームや各部門のメンバーを設定し、運用体制を構築しましょう。さらに、個々のメンバーに役割を持たせ、導入のタイムラインや業務改善の方針などを定期的に共有し、計画的に取り組むことが重要です。
まとめ
今回は、CRMの基本概要と導入のメリット・デメリット、導入ステップを詳しく解説しました。CRMは、顧客管理の一元化や、最新データの情報共有、マーケティング戦略の策定や施策のPDCAサイクルを回すことに役立ちます。一方で、結果が出るまでにコストや時間がかかるというデメリットも見逃せません。
導入するときには、本記事で紹介した特徴を踏まえて、自社にあったシステムを選びましょう。
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