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文書管理を行うときに気を付けるべき保存期間について徹底解説
文書管理を行うときに気を付けるべき保存期間について徹底解説
企業活動を行ううえで、文書の発生は避けられません。文書には、法律で定められた保存期間があるものもあり、適切な管理方法を自社で策定することが求められます。文書の保存期間を把握し、合理的な方法での管理を実現することで、スムーズな文書管理が実現できるといえます。

そこで今回は、文書管理を行うときに必要な保存期間の概要・求められる保存期間・保存期間終了後に破棄するときの注意点・保存期間を把握する方法を解説します。

【目次】

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文書管理を行うときに必要な保存期間の基本概要

文書管理を行うときに必要な保存期間の基本概要

はじめに、文書管理を行うときに必要な保存期間の基本概要を説明します。

  • 「保存」とは?
  • なぜ保存が必要なのか

1つずつ見ていきましょう。

「保存」とは?

文書管理において「保存」とは、1年以上にわたり管理が必要な文書を指します。文書には作成・活用・保管・保存・破棄というライフサイクルがあり、「保存」はその工程の1つです。似た工程に「保管」があります。保管は業務で頻繁に使用するために、すぐに確認ができる状態にしておくことをいいます。一方、保存は、頻繁には使用せず企業の倉庫や指定された場所に置いておくことをいいます。

保存が必要な文書は、企業の活動期間に応じて増えていきます。決裁済みの取引に関する文書・過去の決算書などは処分可能ですが、文書には法律において保存期間が決まっているものがあります。万が一、提出を求められた場合に速やかに対応可能なように適切な管理が必要です。

なお、保存期間を守らず文書を廃棄してしまった場合、法律によって過料などの罰則が科せられます。企業としての信頼にも関わるため、文書管理においての保存には細心の注意が必要なのです。

なぜ保存が必要なのか

文書管理において保存が必要な理由は、企業で取り扱う文書には法律で定められた期間において保存義務があるためです。また、法律で定められていなくても、訴訟が起こった場合の立証・万が一破産する場合の書類提出などがあるため、保存は必要です。

業務を進めるうえで発生する文書は、会社法・法人税法、金融商品取引法・安全衛生法(安全衛生規則)によって、保存期間が定められているものがあります。たとえば、経理で使用する領収書・振込通知書・請求書・見積書など、取り引きが口約束ではなく当事者同士の合意で行われたことの証拠となる文書が該当します。また、取締役会・株主総会の議事録は、企業の運営が正しく行われていることを示す文書であり同様です。

なお、法律で保存を定めていない文書の場合は、自社で文書管理方法のルールを定めて管理することをおすすめします。そのとき、ルールは社内で統一すると良いでしょう。

文書管理で求められる保存期間一覧

文書管理で求められる保存期間一覧

文書管理を行うときには保存期間を把握することが重要です。ここでは、文書管理で求められる保存期間を表にして一覧で紹介します。

  • 永久保存
  • 保存期間30年間
  • 保存期間10年間
  • 保存期間7年間
  • 保存期間5年間
  • 保存期間3年間
  • 保存期間2年間
  • 保存期間1年間

1つずつ見ていきましょう。

永久保存

永久保存を推奨する文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

総務・庶務

登記、訴訟の関連文書

株主名簿、社債原簿

行政庁からの許可書・通達

会計監査関連文書

社報、社内報、重要刊行物

知的所有権関係文書

重要統計文書

社内規則、関連文書

儀式や祭典関連文書

権利・財産関連文書

契約関連文書

製品開発・設計関連書類

関連会社に関する文書

外部団体加入、脱退に関連する文書

人事

労務・人事・給与・社会保険関連文書

労働協約関連文書

人事関連関連文書

表彰、懲戒関連文書

経理

株式増資関連文書

固定資産関連文書

中長期予算・年次予算関連文書

決算関連文書

保存期間30年間

保存期間30年間の文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

なし

人事

特別管理物質の製造や取扱業務に常時従事し、または従事した労働者の特定化学物質健康診断個人票

 

電離放射線健康診断個人票

除染等電離放射線健康診断個人票

作成日

 

 

同上

 

特定化学物質障害予防規則第40条

 

 

電離放射線障害防止規則第57条

※除染電離規則第21条

経理

なし

保存期間10年間

保存期間10年間の文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

株主総会議事録

取締役会議事録

監査役会議事録

監査等委員会議事録

指名委員会等議事録

※重要会議記録

※満期または解約となった契約書

製品の製造、加工、出荷、販売の記録

株主総会の日

取締役会の日

監査役会の日

監査等委員会の日

指名委員会等の日

作成日

満期、解約の日

引き渡し日

会社法第318条

会社法第371条

会社法第394条

会社法第399条11項

会社法第413条

 

 

製造物責任法第5条・6条

人事

なし

 

 

経理

計算書類・附属明細書

会計帳簿・事業に関する重要文書

作成日

帳簿閉鎖の日

会社法第435条

会社法第432条

※は法定ではありませんが、実務を行う上で10年が妥当とされている文書です。

保存期間7年間

保存期間7年間の文書は、以下の通りです。

関連文書

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

なし

人事

じん肺健康診断記録・エックス線写真

粉じんの濃度測定記録・測定結果の評価記録

作成日

同上

じん肺法第17条 

粉じん障害防止規則第26条-第26条2項

経理

1.取引に関する帳簿

2.決算関連文書

3.証憑書類

4.電子取引の取引情報に係る電磁的記録

1~4:閉鎖の日の属する事業年度終了の日

1~3:法人税法施行規則第59・67条

4:電子帳簿保存法第7条

保存期間5年間

保存期間5年間の文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

事業報告

 

有価証券届出書・有価証券報告書および添付書類・訂正届出書の写し

 

産業廃棄物管理票の写し

 

産業廃棄物処理の委託契約書

契約期限を伴う覚書・念書・協定書

定時株主総会1週間前の日

 

提出日

 

写しの受領日

 

契約終了日

契約期間終了日

会社法442条

 

金融商品取引法第25条

 

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第8条4項3

 

同上

同上

人事

従業員の身元保証書

誓約書等の書類

作成日

身元保証二関する法律第1・2条

経理

監査報告

 

会計監査報告

 

会計参与が備えおくべき計算書類・附属明細書・会計参与報告

株主総会1週間前の日

 

同上

 

同上

 

会社法第442条

 

会社法第378条

 

会社法第442条

 

保存期間3年間

保存期間3年間の文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

四半期報告書・半期報告書およびその訂正報告書の写し

提出日

金融商品取引法第25条

人事

労働者名簿

 

賃金台帳

雇入れ、解雇、退職に関する書類

労災保険に関する書類

 

労働保険の徴収、納付等の

関係書類

 

派遣元管理台帳・派遣先管理台帳

身体障害者等であることを明らかにすることができる書類

死亡・退職・解雇の日

 

最後に記入した日

退職・死亡の日

完結日

 

完結日

 

契約完了日

最後に記入した日

 

 

労働基準法第109条

労働基準法施行規則第56条

同上

同上

労働者災害補償保険法施行規則第51条

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第72条 

労働者派遣事業法第37条及び第42条

障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第43条 

経理

なし

保存期間2年間

保存期間2年間の文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

なし

 

 

人事

雇用保険に関する書類

健康保険、厚生年金保険に関する書類

完結日

同上

雇用保険法施行規則第143条

健康保険法施行規則第34条

厚生年金保険法施行規則第28条

経理

なし

 

 

保存期間1年間

保存期間1年間の文書は、以下の通りです。

関連部署

文書名

起算日

根拠条文

総務・庶務

臨時報告書・自己株券買付状況報告書および、訂正報告書の写し

提出日

金融商品取引法第25条

人事

なし

 

 

経理

なし

 

 

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保存期間が過ぎ文書管理対象から外れて破棄するときの注意点

保存期間が過ぎ文書管理対象から外れて破棄するときの注意点

決められた保存期間が終了した場合の文書については、文書の作成→保管→保存→破棄という文書のライフサイクルに従って「破棄」の工程に進みます。

ここでは、保存期間が過ぎ、破棄するときの注意点を説明します。

  • 情報が漏れないようにする
  • マイナンバーが記載された文書は特に注意する

1つずつ見ていきましょう。

情報が漏れないようにする

破棄するときの注意点の1つ目は、情報が漏れないようにすることです。

企業が作成する文書には、個人情報・機密情報が入っているケースが少なくありません。そのため、外部に漏れないよう、シュレッダー・溶解などの方法で速やかに廃棄処理を行う必要があります。文書が電子化されている場合は、閲覧・編集可能者以外に情報を持ち出されないように削除することが求められます。

シュレッダーによる廃棄は手軽に処理できる反面、廃棄する文書が多いと時間がかかります。また、修復される可能性も考えられます。また、溶解は手間がかかりませんが、業者に任せるため確実に廃棄が行われたかを確認できない・業者が勝手に情報を取得する可能性があるなどのデメリットがあります。

文書を廃棄する方法は、自社で適切な方法を検討し定める必要があります。

マイナンバーが記載された文書は特に注意する

破棄するときの注意点の2つ目は、マイナンバーが記載された文書は特に注意することです。

企業では、入社時にマイナンバーカード・申請書の写しを求めたり、扶養控除等申告書・雇用保険被保険者資格取得届など、マイナンバーが記載された文書を取り扱います。マイナンバーが記載された文書に応じて保存期間が変わりますが、いずれも保存期間が経過したら速やかに廃棄しなくてはならないことが、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」第20条によって示されています。

文書管理によって保存期間を簡単に把握する方法

文書管理によって保存期間を簡単に把握する方法

文書管理を適切に行うことによって、保存期間を簡単に把握することが可能です。ここでは、文書管理によって保存期間を簡単に把握する方法を解説します。

  • 文書管理台帳を作成する
  • ツールを活用する

1つずつ見ていきましょう。

文書管理台帳を作成する

保存期間を簡単に把握する方法の1つ目は、文書管理台帳を作成することです。

Excelなどの表計算ソフトを活用して文書管理台帳を作成しましょう。文書管理台帳には、文書の「分類」「文書名」「保管場所」「作成者」「作成日」「保存期間」「保存満了日」「参照条文」を入力しておくと、保存期間の管理がスムーズです。

ただし、法改正により保存期間が変わる可能性も考えられます。そのため常に法改正の情報を把握し、法改正が行われたら保存期間・保存満了日の変更を忘れずに行うことが重要です。

ツールを活用する

保存期間を簡単に把握する方法の2つ目は、ツールを活用することです。

文書を電子化し、「e-文書法」や「電子帳簿保存法」など法律の要件を満たすことで、ツール上の保存が可能です。ツールで管理することで保存期間が正確に把握でき、場所の削減・管理の負担軽減にもつながるなどメリットも大きいといえます。

ただし、すべての文書を電子化する場合、過去の文書をスキャンしたり、業者に依頼するにあたって検討を行ったりする必要があるため、そのための工数を確保する必要があります。電子化が進めば一元管理が可能になり、保存期間の管理がスムーズになるためおすすめな方法といえます。

まとめ

まとめ

今回は、文書管理を行うときに必要な保存期間の概要・求められる保存期間・保存期間終了後に破棄するときの注意点・保存期間を把握する方法を解説しました。文書の保存期間は、法律によって定められていたり、法律による定めがなくても企業活動を行ううえで、保存期間を定めることが推奨されていたりする場合があります。

保存期間を適切に管理するためには、文書管理台帳などを作成して記録を残すことが重要です。よりスムーズに行うために、ツールの活用も検討すると良いでしょう。

文書のライフサイクルの適切な管理は、企業の信頼の向上につながります。

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この記事を書いた人
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