同時にプロジェクト管理では、コストにも目を配らなければなりません。いくら必要なアウトプットを納期に間に合わせたとしても、予算超過では損をします。
これら2つの目的に役立つ手法がEVMです。
そこで今回は、EVMの意味や基本的指標に加え、EVMのメリットを解説します。
【目次】
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プロジェクトの進捗状況を可視化するEVM
ここでは、EVMの基礎知識について以下の2点を解説します。
- EVMの意味
- EVMの基本的指標は4つ
1つずつ見ていきましょう。
EVMの意味
EVMの基礎知識の1つ目は、EVMの意味です。
EVM(Earned Value Management)は、プロジェクトが計画通り進んでいるかを、後述する基本的指標によって管理する手法です。計画と出来高・実績値を比較することで、スケジュール・コスト両面からプロジェクトの進捗状況を把握できます。
関連記事:プロジェクト管理のメリット・デメリット・実施のポイントを徹底解説!
EVMの基本的指標は4つ
EVMの基礎知識の2つ目は、EVMの基本的指標です。
ここでは、以下の4点を解説します。 これらの指標をグラフに落とし込み、時間軸で比較することによりプロジェクトの進捗状況をわかりやすく整理することが可能です。
- PV(Planned Value)
- AC(Actual Cost)
- EV(Earned Value)
- BAC(Budget At Completion)
1つずつ見ていきましょう。
PV(Planned Value)
EVMの基本的指標の1つ目は、PV(Planned Value)です。
PVは出来高の計画値で、ベースラインとも呼ばれます。PVを基準にして、進捗状況を判断できます。
AC(Actual Cost)
EVMの基本的指標の2つ目は、AC(Actual Cost)です。
ACは、現時点でかかったコストの実績を示します。PVとACを比較することで、コスト面での進捗状況を確認できます。
EV(Earned Value)
EVMの基本的指標の3つ目は、EV(Earned Value)です。
EVは、現時点ですでに完了している実績を示します。詳細は後述しますが、EVとPV・ACを比較することで、プロジェクトの進捗状況をコストやスケジュールの観点から把握できます。
BAC(Budget At Completion)
EVMの基本的指標の4つ目は、BAC(Budget At Completion)です。
BACは完成時総予算とも呼ばれ、プロジェクト完了までに必要なコストの合計を意味します。
関連記事:プロジェクト管理の見える化を徹底解説!必要な理由から効果や実施方法まで紹介
プロジェクトマネジメントにEVMを活用するメリット
ここでは、プロジェクトマネジメントにEVMを活用するメリットについて、以下の2点を解説します。
- スケジュールとコストを同時に管理できる
- プロジェクトの進捗状況を精度よく予測できる
1つずつ見ていきましょう。
スケジュールとコストを同時に管理できる
プロジェクトマネジメントにEVMを活用するメリットの1つ目は、スケジュールとコストを同時に管理できることです。
プロジェクト管理では、納期に間に合わないことも予算をオーバーすることも、両方避けなければなりません。
しかし、従来のプロジェクトマネジメント手法では、スケジュールの遅延のみに着目するものがほとんどでした。
一方、EVMではコストの消費状況も把握できるため、プロジェクトの成功に向けてより的確な判断が可能になります。このように、EVMを用いることで、プロジェクトの現状をより多角的に捉えられるでしょう。
関連記事:予実管理がプロジェクト管理で重要な理由・進め方・成功ポイントを徹底解説!
プロジェクトの進捗状況を精度よく予測できる
プロジェクトマネジメントにEVMを活用するメリットの2つ目は、プロジェクトの進捗状況を精度よく予測できることです。
コスト要素を含めることで、プロジェクトの各段階で進捗状況を判断しやすくなるだけでなく、将来の見通しも高い精度で立てやすくなります。
例えば、プロジェクト進捗率が想定より遅れが生じていると判断されるものの、予算進捗がそれ以上に少ない場合は追加の投資で遅れを取り戻せるだろうと予測できます。
このように、EVMはスケジュール・コストの両面から同時にプロジェクトも管理できるため、将来の見通しをより明確に立てられ、早期に的確な対策を取ることにもつながるでしょう。
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プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値
ここでは、プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値を、以下の7点から解説します。
- SV(Schedule Variance)
- CV(Cost Variance)
- SPI(Schedule Performance Index)
- CPI(Cost Performance Index)
- ETC(Estimate To Completion)
- EAC(Estimate At Completion)
- VAC(Variance At Completion)
1つずつ見ていきましょう。
SV(Schedule Variance)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の1つ目は、SV(Schedule Variance)です。
SVはスケジュール差異とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
SV=EVーPV
SVがマイナスの場合は、計画よりもプロジェクト進捗が遅れていることを示します。こまめにSVの数値を確認することで、スケジュールの進捗状況を把握できます。
関連記事:スケジューラーとは?便利な管理ツール5選を紹介!タスク管理をして業務のムダを削減しよう!
CV(Cost Variance)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の2つ目は、CV(Cost Variance)です。
CVはコスト差異とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
CV=EVーAC
CVがプラスであればコストが予算内で、マイナスであればコストが予算超過です。CVがマイナスの場合は、予算調整やコスト抑制対策が必要になります。
関連記事:プロジェクト管理のコスト管理とは?メリット・課題・進め方も詳しく紹介
SPI(Schedule Performance Index)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の3つ目は、SPI(Schedule Performance Index)です。
SPIはスケジュール効率指数とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
SPI=EV÷PV
スケジュールがどの程度進んでいるかを示す指数です。SPIが1であれば計画通りです。1より小さい場合は計画よりスケジュールの進捗が遅れているため、スケジュールを見直しましょう。
関連記事:タスク管理を効率化する7つのコツ!手段やメリットも解説
CPI(Cost Performance Index)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の4つ目は、CPI(Cost Performance Index)です。
CPIはコスト効率指数とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
CPI=EV÷AC
プロジェクトの進捗に対し、コストがどの程度かかっているかを示す指数です。CPIが1を超える場合は、想定したほどのコストは発生していません。反対に1を下回る場合は、想定以上のコストが発生しています。
いずれの場合も、1から大きくかい離する数値であれば、コスト計画を見直すべきでしょう。
ETC(Estimate To Completion)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の5つ目は、ETC(Estimate To Completion)です。
ETCは残作業コスト予測とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
ETC=(BACーEV)÷CPI
過去の実績に基づき現時点から完成までのコストが計算できるもので、コスト管理に便利です。
EAC(Estimate At Completion)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の6つ目は、EAC(Estimate At Completion)です。
EACは完了時コスト予測とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
EAC=AC+ETC
これは、プロジェクト完了時にどの程度コストが必要になるか予測するもので、コスト面での将来予測に有用です。
今後のプロジェクト管理を考える場合にも、大いに参考にすべきでしょう。
VAC(Variance At Completion)
プロジェクトの進捗状況を示すEVMの数値の7つ目は、VAC(Variance At Completion)です。
VACは完了時コスト差異とも呼ばれ、以下の式で計算できます。
VAC=BACーEAC
VACがプラスであれば、当初予算の範囲内に収まっています。一方、VACがマイナスであれば予算超過です。
大きなマイナスであれば作業効率の改善など、コストを抑制する対策が必要になります。
まとめ
今回は、EVMの意味や基本的指標に加え、EVMのメリットを解説しました。EVMでは、基本的指標をグラフ上にプロットしていくことにより、スケジュールとコストの両面でプロジェクトの進捗を可視化できます。
このため、より精確にプロジェクト管理を行える上に、将来予測もしやすくなるでしょう。
EVMでプロジェクトの進捗状況を示す数値を把握していれば、現況を手軽かつ定量的に把握できるため、プロジェクト管理に役立ててみましょう。
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