独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が発表する「情報セキュリティ10大脅威 2024」のランキングにおいて、テレワークを狙った攻撃が9位に入っています。
テレワークでも手軽にリアルタイムで社内コミュニケーションが取れるビジネスチャットは人気のツールですが攻撃の対象ともなるため、対策が必要です。
そこで今回は、ビジネスチャットが持つセキュリティリスク・起こりやすいセキュリティ事故・ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能・選び方を解説し、おすすめツールを紹介します。
【目次】
ビジネスチャットに潜むセキュリティリスク
はじめに、ビジネスチャットが持つセキュリティリスクを、以下の3点から解説します。
- アカウントの乗っ取り
- マルウェアによる端末感染
- 機密情報の送信による情報漏えい
1つずつ見ていきましょう。
アカウントの乗っ取り
ビジネスチャットが持つセキュリティリスクの1つ目は、アカウントの乗っ取りです。
ビジネスチャットでは、第三者にアカウント情報が漏れたり、パスワードを予測されたりすることで、アカウントの乗っ取りによるなりすましの被害に遭う可能性があります。
アカウントを乗っ取られることで、ビジネスチャットにある添付ファイルなどにもアクセスされてしまう危険性が高まります。
マルウェアによる端末感染
ビジネスチャットが持つセキュリティリスクの2つ目は、マルウェアによる端末感染です。
マルウェアとは、ウイルス・ワーム・トロイの木馬・スパイウェアなど、コンピュータに有害な動作を行う意図を持って作成されたソフトウェア・コードの総称です。
メール・Webサイト・外部メモリーの接続・ソフトウェアのダウンロードなどから感染します。感染すると、デバイスで別の動作をすることでパフォーマンスを落としたり、身に覚えのない挙動が増えたりするという症状が現れます。
機密情報の送信による情報漏えい
ビジネスチャットが持つセキュリティリスクの3つ目は、機密情報の送信による情報漏えいです。
これは一種の人的被害といえます。社内の機密情報を誤って、社外の関係者がいるビジネスチャットで誤送信してしまい、情報漏洩してしまった事例があります。
また、社外の相手とのやりとりではビジネスチャットだけではなくファイルの受送信を行うクラウドストレージに起因するセキュリティトラブルが生じる可能性もあります。
関連記事:ビジネスチャットで実現する業務効率化とは?導入時に押さえたいポイントも解説
ビジネスチャットで発生しうるセキュリティ事故
ビジネスチャットにはさまざまなセキュリティリスクがありますが、リスクを放置した場合どのようなセキュリティ事故が起こりやすいのでしょうか。
ここでは、ビジネスチャットで心配な重大なセキュリティ事故を、以下の3点から解説します。
- ランサムウェアによる攻撃
- 標的型攻撃
- サプライチェーンの弱点を突く攻撃
1つずつ見ていきましょう。
ランサムウェアによる攻撃
ビジネスチャットで心配な重大なセキュリティ事故の1つ目は、ランサムウェアによる攻撃です。
ランサムウェアとはウイルスの一種で、感染することで端末がロックされ、データが暗号化されてしまい、その復旧と引き換えに金銭を要求されるものです。
外部に公開されているサーバーにリモートデスクトップ環境から不正ログインすることで感染させられます。
近年では手口も進化しており、データを暗号化する前に重要情報を窃取し、金銭を支払わなければ情報を公開する、と脅迫する 「二重の脅迫 ( double extortion)」も確認されています。
標的型攻撃
ビジネスチャットで心配な重大なセキュリティ事故の2つ目は、標的型攻撃です。
標的型攻撃とは、特定の組織(官公庁、民間団体、企業等)を狙った攻撃で、主な目的は機密情報等の窃取・業務妨害です。
攻撃者は社会の変化・テレワークの導入などによる働き方の変化に便乗して、状況に合わせた攻撃手法で機密情報等の奪取を行います。実際に、企業の情報・個人情報の漏洩などの被害が出ています。
サプライチェーンの弱点を突く攻撃
ビジネスチャットで心配な重大なセキュリティ事故の3つ目は、サプライチェーンの弱点を突く攻撃です。
サプライチェーンとは、商品の企画・開発から、調達・製造・在庫管理・物流・販売までの一連のプロセスに関連する組織を指します。
サプライチェーンを悪用し、セキュリティ対策が脆弱な企業を踏み台にして、セキュリティ対策の強固な攻撃目標とする本命企業に攻撃をします。
最近では、トヨタ自動車株式会社の関連企業が攻撃を受けたことが判明し、トヨタ自動車株式会社は安全が確認できるまでシステムを止めるという事故が起こっています。
関連記事:ビジネスチャットで情報共有するメリット・デメリット・ポイントを解説!
ビジネスチャットに搭載されている5つのセキュリティ機能
ビジネスチャットの導入は、同時にリスクを背負うことになりますが、そのリスクを回避するための機能はどのような機能でしょうか。
ここでは、ビジネスチャットに搭載されている具体的なセキュリティ機能を、以下の5点から解説します。
- 2段階認証
- メッセージ・ファイルの削除
- 通信データの暗号化
- 機能制限
- メンバー管理
1つずつ見ていきましょう。
2段階認証
ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能の1つ目は、2段階認証です。
2段階認証とは、複数ある認証方法のうち本人確認を2つの方法で行う仕組みをいいます。たとえば、ログイン画面でIDとパスワードを入力したのち、メールに通知された認証コードを入力するなどの方法があります。
万が一、アカウントが乗っ取られたとしても不正アクセスの予防に効果的です。
メッセージ・ファイルの削除
ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能の2つ目は、メッセージ・ファイルの削除です。
ビジネスチャットでは、メールでのやりとりとは異なり、送信後の取り消しが可能です。そのため、誤ってファイルを送信した場合であってもファイルを削除できます。
ただし気づくのが遅れるとダウンロードされてしまう可能性もあり、注意が必要です。
通信データの暗号化
ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能の3つ目は、通信データの暗号化です。
ビジネスチャットでは、SSL・TLSなどの方法で通信データが暗号化されます。
データは第三者にとっては、意味のなさない文字列に変換されるため、第三者がデータの盗み見をすることができなくなるため、ハッキング対策として有効です。
機能制限
ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能の4つ目は、機能制限です。
ビジネスチャットには、管理者で情報漏えいを防止するための機能が搭載されています。
たとえばIPアドレスに制限をかけることで自社以外のアクセスができないようにしたり、社内においても登録端末以外からのアクセスができないようにしたりします。また、ファイルの送受信もできないように設定することができます。
メンバー管理
ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能の5つ目は、メンバー管理です。
ビジネスチャットでは、管理者に指定されている従業員のみに、メンバーの追加・削除の権限を付与することができます。
そのため、管理者が許可することなくメンバーを追加したり削除したりする運用を防ぐことができます。アクセス権限は定期的に見直し、必要最低限の権限のみを付与することが大切です。
関連記事:ビジネスチャットを社外とのコミュニケーションに活用するためのポイント!おすすめツール7選も紹介!!
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ビジネスチャットでのセキュリティ事故を防ぐためのポイント
ビジネスチャットで心配なセキュリティ事故を防ぐためのポイントを、以下の2点から解説します。
- クラウド型よりもオンプレミス型を選ぶ
- セキュリティ対策が万全なシステム・ツールを選ぶ
1つずつ見ていきましょう。
クラウド型よりもオンプレミス型を選ぶ
セキュリティ事故を防ぐためのポイントの1つ目は、クラウド型よりもオンプレミス型を選ぶことです。
クラウド型のビジネスチャットでは、自社以外の企業とデータの保存場所をクラウド上で共有することになります。そのため、万が一のセキュリティリスクの心配があります。
しかしながら、データのバックアップ機能を提供しているツールもあり、万が一データが消失した際に迅速な復旧が可能な利点もあります。
自社に専用のシステムを構築するオンプレミス型であれば、データは自社ですべて管理するうえに、自社のセキュリティ基準に合う強固なセキュリティでデータを守ることが可能です。
顧客の個人情報など、扱いにより慎重さを求められる場合は特にオンプレミス型がおすすめといえます。
関連記事:ビジネスチャットはオンプレミス型・クラウド型のどちらがおすすめ?2種類の違いを徹底比較!
セキュリティ対策が万全なシステム・ツールを選ぶ
セキュリティ事故を防ぐためのポイントの2つ目は、セキュリティ対策が万全なシステム・ツールを選ぶことです。
ビジネスチャットは多くのサービスが展開されているため、選定するときは、自社の導入目的に加えて、自社のセキュリティ基準を満たしているかを慎重に検討する必要があります。
たとえば、国際規格であるISO27001(ISMS)を取得していることなどを導入基準の1つにすることで、よりセキュアなツールの選定につなげられます。
また、企業側の承認を得ずにシステム・ツールを利用するシャドーITはセキュリティ面でのリスクが高いため、利用は避けなければいけません。
また、端末そのものの盗難・紛失による情報漏洩の恐れも高くなります。社員が勝手にツールを利用したりしないように、事前のルール作成が推奨されます。
セキュリティ対策が万全なビジネスチャット8選を紹介
ここでは、セキュリティ対策が万全なビジネスチャット8選を紹介します。
- CrewWorks
- Chatwork
- Talknote
- Slack
- TENWA
- InCircle
- ChatLuck
- WowTalk
1つずつ見ていきましょう。
CrewWorks
CrewWorks(クルーワークス)は、ビジネスチャット、タスク管理、プロジェクト管理、Web会議などを備えたビジネスコミュニケーションツールです。信頼性の高いAWSデータセンターを利用し、厳格なデータ管理、SSL通信暗号化、2要素認証によりセキュリティリスクの軽減を実現しています。また、プライバシーマークとISMS認証に基づく厳格なセキュリティ基準でサービスが提供されています。
CrewWorksの特長
- すべての情報(プロジェクト・タスク・ファイルなど)にチャットルームが常設
- 外部ユーザー招待は無料
- すべての機能が無料トライアル可能
詳細はこちら: https://crewworks.net/
Chatwork
Chatworkは、「中小企業向けのビジネスチャット」というキャッチでありながら、多数の大手企業への導入が進んでいるビジネスチャットです。サーバーとの通信がすべて暗号化されており、国際的なセキュリティ規格を取得していることからセキュリティへの取り組みの信頼が厚いツールといえます。また、第三者機関によるセキュリティ監査もおこなっており細部まで安全管理が行き届いているといえます。
Chatworkの特長
- 国内利用者数No.1を誇っている
- 導入企業は376,000社を突破している
- 制限はあるが無料で利用できるプランがある
詳細はこちら: https://go.chatwork.com/ja/
Talknote
Talknoteは、「組織のチカラを最大化する」ための情報共有プラットフォームです。日々の業務の中で流れてしまいがちな重要な情報を資産として共有することができます。指定されたスマートフォン端末(PC端末は対象外)のみ、Talknoteにアクセスできるよう制限することで、より高いセキュリティ環境での利用が可能です。充実した専任のサポート体制により、自社に合った運用方法を提案してくれます。
Talknoteの特長
- ノート機能により効率的な情報共有が可能
- 飲食・小売・製造業などさまざまな業界1,100社以上が導入
- 14日間無料でのトライアルが可能
詳細はこちら: https://talknote.com/
Slack
Slackは、人それぞれ必要とする情報につながることができるコミュニケーションツールです。「チャンネル」機能を使うと、カテゴリを細かく分類できるため、タスクごとの会話を集約できます。テキストでのコミュニケーションだけでなく、音声通話・動画・ファイル送受信にも対応しているため、最適な方法で柔軟なコミュニケーションが可能です。セキュリティにおいては、ISO27001(ISMS)を取得しているため、レベルの高いセキュリティが期待できます。
Slackの特長
- 世界的な大企業で活用されている
- GoogleのログインIDで利用できる
- 機能の制限はあるが無料で利用できる
詳細はこちら: https://slack.com/intl/ja-jp/
TENWA
TENWAは、クラウド・オンプレミスどちらも対応可能なビジネスチャットです。チャット機能のほか、ファイルの一元管理など、さまざまなシーンで活用できます。セキュリティ機能を強化しており、第三者機関によるセキュリティ診断をはじめ、暗号化・侵入検知システム・Webアプリケーションファイアウォールを標準搭載しています。
TENWAの特長
- セキュアな環境でのコミュニケーションが可能
- スマートフォン・タブレットなどのマルチデバイスに対応している
- 30日間無料でのトライアルが可能
詳細はこちら: https://www.tento.camp/tenwa/
InCircle
InCircleは、日本企業向けに最適化されているビジネスチャットツールです。APIには、政府が採用している高度なセキュリティ技術を搭載し、社員同士・社員とすでに導入済みのICTシステムとを、シームレスにつなげます。自社だけではなく、関連会社のすべての環境で安全かつ円滑なコミュニケーションを実現できます。
InCircleの特長
- 警察の業務で培ったセキュリティノウハウを搭載している
- オンプレミスにも対応可能
- 機能の制限なく20ユーザーまで無料で利用可能
詳細はこちら: https://ksj.co.jp/incircle/
ChatLuck
ChatLuckは、大規模・オンプレミス環境に対応可能なセキュリティに特化したビジネスチャットです。社内外問わずすべてのユーザーを自社で管理できます。また、アクセス権限・ネットワークポリシーの設定・端末認証などでセキュリティリスクを最小限に抑えます。また、SAML認証を用いて安全なシングルサインオン連携を実現します。
ChatLuckの特長
- クラウド・オンプレミスのどちらも対応可能
- 政令市・金融・大手製造・鉄道各社での導入実績がある
- 30日間無料でのトライアルが可能
詳細はこちら: https://www.chatluck.com/
WowTalk
WowTalkは、非常にシンプルな操作性で、初めての利用であっても年齢層を問わずすぐに利用可能なビジネスチャット・社内SNSです。PCだけでなくスマートフォン・タブレットなどマルチデバイスに対応しています。管理者による一元管理が可能で、IP&端末制限・監視ログの取得などの機能によりクローズ環境でのやり取りが実現できます。
WowTalkの特長
- トーク・タイムライン・ビデオ通話機能のほか、タスク管理が可能
- 日・中・英の3ヵ国語に対応している
- 2週間無料でのトライアルが可能
詳細はこちら: https://www.wowtalk.jp/
関連記事:ビジネスチャットとは?おすすめツール7選と活用のメリットや主な機能を比較解説
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まとめ
今回は、ビジネスチャットが持つセキュリティリスク・起こりやすいセキュリティ事故・ビジネスチャットに搭載されているセキュリティ機能・選び方を解説し、おすすめツールを紹介しました。
ビジネスチャットの導入には、さまざまなリスクがつきものです。
特に近年、テレワークの浸透とともに、テレワーク環境を狙った攻撃も増加しており、企業の課題となっていますが、ビジネスチャットは仕事上でスムーズな情報共有を可能にするため、テレワークにおいて欠かせないコミュニケーション手段です。
従業員がセキュアな環境で安心して業務を進められるよう、紹介したサービス内容を参考にセキュリティ面での安全性が高いビジネスチャットを選びましょう。
おすすめのビジネスチャットツール「CrewWorks」
CrewWorks(クルーワークス)は、ビジネスチャット、タスク管理、プロジェクト管理、Web会議などを備えたビジネスコミュニケーションツールです。信頼性の高いAWSデータセンターを利用し、厳格なデータ管理、SSL通信暗号化、2要素認証によりセキュリティリスクの軽減を実現しています。また、プライバシーマークとISMS認証に基づく厳格なセキュリティ基準でサービスが提供されています。
CrewWorksの特長
- すべての情報(プロジェクト・タスク・ファイルなど)にチャットルームが常設
- 外部ユーザー招待は無料
- すべての機能が無料トライアル可能