そこで今回は、プロジェクトマネジメントにおける成果物についてと、成果物管理のステップ、成果物管理の4つの注意点を解説します。
【目次】
プロジェクト管理における成果物とは
プロジェクト管理における成果物とは、どのようなものを指すのでしょうか。ここでは、以下の3点を解説します。
- 成果物の定義
- 成果物の例
- 納品物との違い
1つずつ見ていきましょう。
成果物の定義
まずは成果物とは何かを理解する必要があります。「成果物」とは、プロジェクトを完遂した結果として、得られたものや制作されたもののことを指します。プロジェクトの分野や業種により、具体的に何を指すかは異なります。システム開発を例に挙げると、システム開発の制作工程の中で作成されたプログラムや設計書などが、成果物に該当します。
成果物の例
プロジェクト管理において、成果物となるものには、文書・データ・製品・図面などさまざまな形態のものがあります。例えば、以下のようなものが該当します。
- 企画書・見積書・計画書
- Webサイトの構築プログラム
- システム方式の機能設計書
- デザイン会社に外注した制作物
- クライアントと締結した契約書
- クライアントの要請で作成した納品物の付帯品
- 制作のための社内向け課題管理表
プロジェクトの作業や処理の「結果・証拠」にあたるものは、制作者や目的にかかわらず、成果物です。プログラムなどの完成品以外にも、制作のための企画書や、クライアントとの契約に欠かせない契約書も、成果物の1つだと言えます。
さらに、成果物には、クライアントへ提出したものだけでなく、社内向けの課題管理表なども該当します。プロジェクトを進めるうえで、必要な作業や処理をしたことの結果や証拠となるものは、すべて成果物です。
納品物との違い
成果物と似た言葉に、納品物があります。納品物とは、クライアントに提出するもののことを指します。納品物も成果物の一部ですが、成果物がすべて納品物になるとは限りません。
成果物の種類は、中間成果物・最終成果物・受領物の3つに分けられます。多くのプロジェクトでは、最終成果物が納品物になるというのが一般的です。しかし、クライアントから「途中経過と最終納品物の差分を検証したいので、中間地点の報告書を提出してほしい」と要請された場合には、中間成果物も納品物の1つとなります。
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プロジェクトマネジメントにおける成果物管理のステップ
プロジェクトマネジメントを円滑に進めるためには、成果物の管理が欠かせません。ここでは、成果物管理のステップとして、以下4点を解説します。
- リストアップする
- 管理ルールを決める
- スケジュールに落とし込む
- 運営する
1つずつ見ていきましょう。
リストアップする
成果物管理のステップの1つ目は、成果物をリストアップすることです。プロジェクトの目的や目標から成果物を精査し、リスト化します。
例えば、システム開発プロジェクトであれば、「システムを開発して、現状の問題を解決すること」が目的にあたります。そこから、開発工程ごとの成果物が何かを把握しましょう。プロジェクトの工程ごとに、見積書や企画書、ソフトウェア・ネットワークの設計書、システムテスト報告書などの成果物を一覧化します。
納品物だけでなく、プロジェクト完遂までに必要な、進捗管理表や課題管理表なども抜けもれなくリストアップしておきましょう。
管理ルールを決める
成果物管理のステップの2つ目は、管理ルールを決めることです。リストアップした成果物の管理方法を策定しましょう。成果物を、どのような形態でどこに保管するかを決定し、プロジェクトに携わるメンバーに共有します。
成果物をデータでやり取りする場合は、データのフォーマット・ファイルの命名ルール・保存フォルダの階層まで、詳細にルール化しておくことが大切です。成果物の制作者が、保存先やデータの管理方法に迷わずに済むよう、格納先の準備を整えておきましょう。
スケジュールに落とし込む
成果物管理のステップの3つ目は、スケジュールに落とし込むことです。具体的な最終成果物の最終数量や工程から計画を立て、進捗状況を測る基準やルールを策定します。例えば、ドキュメントの成果物であれば「1か月に1万枚作成していき、半年のページ数6万枚を達成する」といった具合です。
数量以外にも、「2週間で1工程ずつ進める」など、成果物の完成段階別に分ける方法もあります。スケジュールの遅延を防ぐためには、業務内容にあわせて、成果物を具体的にイメージしながら進捗計画を立てていくことが大切です。
運営する
成果物管理のステップの4つ目は、運営することです。成果物のリスト化・管理ルールの作成・進捗のスケジューリングを終えたら、運営のフェーズに入ります。成果物が、管理ルールに則って制作されているかを確認します。
プロジェクトが円滑に進まない場合は、策定したルールに不備・不足はないかをチェックし、変更や補足を行いながら対応します。また、スケジュール通りの進行ができなかった場合、遅延している原因を洗い出し、改善していきましょう。
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プロジェクトマネジメントにおける成果物管理の4つの注意点
プロジェクトマネジメントで成果物管理を行うときの注意点に関して、以下4点を解説します。
- 成果物を明確化する
- 成果物を関係者と共有する
- 進捗報告をする
- 完了後に振り返りをする
1つずつ見ていきましょう。
成果物を明確化する
プロジェクトマネジメントの成果物管理の注意点の1つ目は、成果物を明確化することです。
プロジェクトの目標や計画を定めるのと同様、「成果物が何であるか」をしっかり定めましょう。成果物を明確に決めることで、プロジェクトの立ち上げ時から、チームメンバーが目標と達成するまでの道すじを把握できます。
プロジェクトの成果物を明確にするには、「このプロジェクトで達成したいことは何か」「どの状態になったら成功になるのか」「外部のクライアントもしくは社内のチームに示したい最終的な結果は何か」を考えてみましょう。
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成果物を関係者と共有する
プロジェクトマネジメントの成果物管理の注意点の2つ目は、成果物を関係者と共有することです。
成果物はプロジェクトの目標を達成するために作成されたものであり、関係者にとってはプロジェクトの成功を測る重要な指標となるためです。
プロジェクトの成果物が定まったとしても、クライアントやプロジェクトメンバーから賛同を得なければ、結果として意味のないものになってしまいます。また、成果物を共有することで、関係者間のコミュニケーションを促進し、協力してプロジェクトを進めることができます。プロジェクトマネジメントツールを用いて、効率的にファイルやデータを共有するのもおすすめです。
進捗報告をする
プロジェクトマネジメントの成果物管理の注意点の3つ目は、進捗報告をすることです。
プロジェクトの成功に向けて、進行状況を正確に把握するために進捗状況の把握は必要不可欠だと言えます。
進捗報告をするためには、スケジュール・コスト・品質・リスク・問題などの情報を収集するため、必要に応じてプロジェクトマネージャーが行動を起こすことができます。進捗報告によりプロジェクトチームとステークホルダー間の透明性を高めることで、プロジェクトの成功につながる共通理解を築くことができるでしょう。
完了後に振り返りをする
プロジェクトマネジメントの成果物管理の注意点の4つ目は、完了後に振り返りをすることです。
振り返りのプロセスでは、プロジェクトが達成した成果や失敗・課題・課題解決方法、または同様のプロジェクトの将来の改善点など、プロジェクトに関する詳細な情報を提供します。完了後の振り返りは、プロジェクトが成功したかどうかを判断するのにも役立ちます。
振り返りをまとめた資料は、プロジェクトの関係者、マネージャー、チームメンバーなどの関係者に共有すると、今後のプロジェクトに活かせるような、有益な知見が得られるでしょう。振り返りのプロセスには、改善点を特定し、プロジェクトのパフォーマンスを向上させるために必要なアクションプランを策定するという重要な意味があります。
振り返りは、プロジェクトマネジメントにおいて継続的改善のために不可欠なプロセスであり、次のプロジェクトの成功のためにも重要な役割を果たします。
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まとめ
今回は、プロジェクトマネジメントにおける成果物についてと、成果物管理のステップ、成果物管理の4つの注意点を解説しました。
成果物は、プロジェクトを完遂した結果として、得られたものや制作されたもののことを指し、納品物とは区別されます。プロジェクトを成功に導くためには、成果物を明確に定め、適切に管理していくことは欠かせません。本記事を参考に、プロジェクトマネジメントにおける成果物管理を進めましょう。
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