そこで今回は、プロジェクト管理の目的・技法・進め方・必要な知識について詳しく解説します。
【目次】
プロジェクトマネジメントにおけるプロセス管理の目的
プロジェクトマネジメントにおいてはプロセス管理をしていくことが大切です。プロセス管理を行う目的としては、以下の2つがあります。
- プロジェクトを安定して成功させるため
- 成果物の品質を担保するため
1つずつ見ていきましょう。
プロジェクトを安定して成功させるため
プロジェクトマネジメントにおけるプロセス管理の目的の1つ目は、プロジェクトを安定して成功させるためです。
これまでのプロジェクトマネジメントでは、納品物の品質や結果が重視され、プロセスはあまり着目されていませんでした。しかし、プロジェクト進行中に起こるさまざまな課題を解決していくためには、個々のプロセスが重要だというのが今の考え方の主流です。プロジェクトの結果はプロセスの積み重ねだとも言えるため、安定して成功させるためにはプロセスの管理が欠かせません。
成果物の品質を担保するため
プロジェクトマネジメントにおけるプロセス管理の目的の2つ目は、成果物の品質を担保するためです。
成果物の質の低下を防ぐためには、品質管理プロセスや基準を明確化し、品質のチェックを行っていく必要があります。継続的に品質の高い成果物を生産し続けるためには、プロセス管理が欠かせません。プロジェクトチームが品質の標準を安定的に満たせるよう、手順を確立していくことが大切です。
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プロジェクト管理技法「PMBOK」による49のプロセス
プロジェクト管理技法として世界的に広く認知されているものに、PMBOKがあります。PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメントに関わる知識やノウハウを体系的にまとめたものです。米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)によって作られました。PMBOKのフレームワークでは、プロジェクト管理におけるプロセスを、5つのグループと10種類の知識エリアに分類しています。
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プロジェクト管理における5つのプロセス
プロジェクト管理技法PMBOKにおけるプロセスには、以下の5つがあります。
- 立ち上げ
- 計画立案
- 実行
- 監視・制御
- 完了
1つずつ見ていきましょう。
立ち上げ
プロジェクト管理における1つ目のプロセスは、立ち上げです。プロジェクト成功のための基盤を築くために、プロジェクトの開始前に行われます。
立ち上げのプロセスでは、プロジェクトの目的や目標・期間・予算・プロジェクトメンバーなどを定め、プロジェクトの大枠を決めていきます。まず、プロジェクトに関わる情報を明確にして、プロジェクト憲章を作成します。同時に、ステークホルダー(利害関係者)管理の分野として、取引先やスポンサーの特定も行っていきます。
計画立案
プロジェクト管理における2つ目のプロセスは、計画立案です。計画立案は、スケジュール・コスト・リスク管理・品質管理など、あらゆる分野を明確に定めていく重要なプロセスです。
例えば、リスク管理においてはリスクの特定・評価・対応策の策定を行い、実行のフェーズに移れるようにしていきます。計画立案はプロジェクトを成功させるために大切なプロセスであるため、十分な時間をかけて計画を立てていく必要があるでしょう。
実行
プロジェクト管理における3つ目のプロセスは、実行です。実行では、プロジェクト計画で策定した作業を実施していきます。
タスクの実行だけでなく、ステークホルダーとの情報共有や資源の管理、品質管理なども行っていきます。実行プロセスを適切に実施していくことは、品質を確保し、納期を守りながら成果物を完成させていくために重要です。
監視・制御
プロジェクト管理における4つ目のプロセスは、監督・制御です。監督・制御のプロセスでは、プロジェクトの状況を定期的にモニタリングし、計画通りに進んでいるかどうかを確認していきます。
これには、進捗状況の把握・品質管理・リスク管理・変更管理などが欠かせません。監督・制御は、プロジェクトの計画や目標を達成するために重要なプロセスで、問題が生じれば解決策を講じ、軌道修正しながらプロジェクトを進行していきます。
完了
プロジェクト管理における5つ目のプロセスは、完了です。完了のプロセスでは、それぞれのタスクがすべて完了しているかどうかを検証し、問題がなければプロジェクトの終了を公に伝えます。また、プロジェクトチームで正式な終了文書を作成し、プロジェクトが成功したかどうかを評価するのも、完了のプロセスでの重要なタスクです。
なお、成果物や実行の結果を保管しておくと、次のプロジェクトに役立てることができます。
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プロジェクトのプロセス管理に必要な10種類の知識
プロジェクト管理技法PMBOKにおけるプロセス管理に必要な知識は、以下の10種類があります。
- 総合マネジメント
- スコープマネジメント
- スケジュールマネジメント
- コストマネジメント
- 品質マネジメント
- 資源マネジメント
- コミュニケーションマネジメント
- リスクマネジメント
- 調達マネジメント
- ステークホルダーマネジメント
1つずつ見ていきましょう。
総合マネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の1つ目は、総合マネジメントです。
プロジェクトマネジメントにおけるプロセスは、プロジェクトを実行するために必要な活動であり、個々のプロセスは相互に関連しています。総合マネジメントでは、この関連性を把握し、各プロセスを統合して、全体を調整するための知識エリアです。スケジュール・コスト・リスク・品質など、他の9つの知識エリアで行われるプロセスでの成果物を統合し、プロジェクト目標を達成するための戦略を策定していきます。
スコープマネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の2つ目は、スコープマネジメントです。
スコープマネジメントとは、プロジェクトの目的を定義した上で、必要な成果物や作業を特定し、目標達成を目指すためのプロセスのことを言います。具体的には、プロジェクトの目的を明確に定義し、成果物を特定していきます。スコープを明確に定義することで、プロジェクトに必要なリソースや時間、コストの最適化が行えます。
スケジュールマネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の3つ目は、スケジュールマネジメントです。
スケジュールマネジメントは、プロジェクトの目標達成に必要な活動を、時間的な観点から計画・実行・制御する知識エリアです。プロジェクトのQCD(品質・コスト・納期)に直結するため、プロジェクト管理において非常に重要な役割を果たします。
スケジュールマネジメントは、プロジェクトの納期に関わる分野です。具体的には、活動のリストアップ・活動の優先順位付け・活動の期間・見積もり・スケジュールの作成・スケジュールの管理などを行っていきます。
コストマネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の4つ目は、コストマネジメントです。
プロジェクトのQCDの中でも、コストに関する分野を管理する知識エリアです。コストマネジメントには、プロジェクトの予算や費用計画の策定、予算の監視・コントロール、コストの見積もりや分析、コストに関する意思決定などが含まれます。
コストマネジメントを適切に行うことで、プロジェクトの予算を最適化し、リスクに対処するための備えを行いながら品質や納期を確保できます。コストマネジメントは、ステークホルダーとのコミュニケーションやリスクマネジメントにも関連するため、プロジェクトの成功に不可欠な知識エリアの1つです。
品質マネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の5つ目は、品質マネジメントです。
品質マネジメントは、プロジェクトの品質を確保するために必要な知識エリアです。具体的には、品質目標を定義し、品質計画を策定し、品質基準に則った管理を行っていきます。
品質目標や要件を満たすためには、予算配分を行い、品質基準に合わせた品質管理活動を行うことが欠かせません。また、品質監視や品質検査などの評価を定期的に行い、問題点を発見し、改善していくことで、品質の向上にもつながるでしょう。
資源マネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の6つ目は、資源マネジメントです。
ここでいう資源とは人的資源と物的資源のことであり、プロジェクトで使用するツールの費用や、プロジェクトメンバーが作業する時間などが該当します。資源マネジメントは、チームビルディングやコミュニケーションの向上など、プロジェクトチームの運営にも深く関係しており、プロジェクトを成功させるために非常に重要な項目です。
コミュニケーションマネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の7つ目は、コミュニケーションマネジメントです。
コミュニケーションマネジメントは、プロジェクトに関わるステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に進めることで、プロジェクトの進捗管理や問題解決、方針の共有などを適切に行うための知識エリアです。適切なコミュニケーションがなければ、プロジェクトの進行に支障をきたすことも少なくありません。プロジェクトを成功させるためには、重要な知識エリアです。
リスクマネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の8つ目は、リスクマネジメントです。
プロジェクトにおいて発生する可能性のあるリスクを特定し、リスクに対する予防策や対応策を策定していく知識エリアです。リスクマネジメントでは、リスクの特定・評価・対策の計画・実行・モニタリングなどを実施します。
リスクマネジメントは、プロジェクトに潜むリスクを事前に察知し、適切な対応策を講じるために行います。プロジェクトの成果物の品質やスケジュール、コストなどを管理する上で欠かせないものだと言えます。
調達マネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の9つ目は、調達マネジメントです。
調達マネジメントは、プロジェクトに必要なツールや製品を、外部から取得するために必要な知識エリアです。調達マネジメントには、調達の計画・実施・管理などのプロセスが含まれます。また、契約の交渉や業者の選定、契約書の作成なども行っていきます。調達マネジメントを適切に行うことで、プロジェクトに必要な製品やサービスを適切な品質・コスト・納期で確保することができるでしょう。
ステークホルダーマネジメント
プロジェクト管理のプロセス管理に必要な知識の10個目は、ステークホルダーマネジメントです。
ステークホルダーマネジメントでは、ステークホルダー(利害関係者)のニーズを理解し、それに合わせた適切なコミュニケーションを行うことが大切です。ステークホルダーの例としては、スポンサー・顧客・チームメンバー・取引先など、さまざまな利害関係者が挙げられます。
ステークホルダーマネジメントは、ステークホルダーがプロジェクトに関心を持ち、積極的に関与するように促すためにあります。そのためにも、プロジェクトに関わるステークホルダーを特定し、プロジェクトに関する情報や意思決定を適切に共有していくことが大切です。
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まとめ
今回は、プロジェクト管理の目的・技法・進め方・必要な知識について詳しく解説しました。プロジェクトを成功に導くためには、スケジュール・コスト・品質などのプロセスを適切に管理していく必要があります。
本記事で紹介した5つのプロセスグループと10種類の知識を理解し、それぞれのプロセスを実行するために必要な活動を行っていきましょう。
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