しかし、文書管理が適切に行われていないと、管理にかかる工数やコストが増加し、業務効率の低下や生産性の低下に繋がる可能性があります。
また、近年はITの進化が目覚ましく、文書も電子化が進んでいます。文書管理は、保存・保管・活用・廃棄の流れがスムーズに進むように運用する必要があり、運用方法が課題となっている企業も少なくありません。
そこで今回は、文書管理の基本概要・注目されている理由・スムーズに行うために電子化をおすすめする理由を紹介します。
【目次】
文書管理とは?
文書管理とは、業務上で発生する紙媒体・電子媒体の文書を、保存・保管・活用・廃棄のフェーズに合わせた管理をすることを指します。組織の中には、個人が管理する文書と共有管理が必要な文書があります。
個人が管理する文書はデスクトップや社内サーバーの個人フォルダをはじめ、USBなど個人のルールに従った管理がされています。
一方、共有管理が必要な文書は、社内サーバーの決まった場所で管理がされていますが、部署ごとに管理方法やルールが違うことがあるため、共有されていたとしても簡単にはアクセスできない可能性があります。
文書管理をする目的は、必要な文書に効率よくスムーズにアクセスすることであり、文書の漏えいを防ぐことです。個人が管理する文書と共有管理が必要な文書に対して、企業は明確な基準を設けていない場合が少なくありません。
そのため、個人が管理する文書の中に、企業にとって共有すべきナレッジなど有益な情報が、埋もれたままになる可能性があります。
反対に、下書き段階で共有することで業務に混乱をきたす可能性のある文書が、共有管理をしている文書に紛れてしまうこともあります。
このような課題に対して文書管理では、組織にある文書に対して管理のための統一ルールを定め、文書がいつでも有効に活用できる状態にしておく必要があります。
関連記事:文書管理のルール作りを徹底解説!作成のポイントや必須項目を解説
文書管理に注目が集まる3つの理由
文書管理に注目が集まる理由は、以下の3つです。
- 業務効率が向上する
- 企業の信頼性が高まる
- コスト削減につながる
1つずつ見ていきましょう。
業務効率が向上する
文書管理に注目が集まる理由の1つ目は、業務効率が向上するためです。文書管理を行うと、必要な文書にスムーズなアクセスができるようになるため、業務効率が向上します。
組織で文書を扱う上で「文書を探す」時間はムダな時間といえます。文書管理が行われていれば、この時間を削減することが可能です。
また、いつでも誰でも必要な文書にアクセスできるようにすることで、ナレッジの共有と浸透が期待できます。社員全体にナレッジが行き渡ることで、業務の属人化を防ぐとともに個々の業務のレベルアップが可能です。
企業の信頼性が高まる
文書管理に注目が集まる理由の2つ目は、企業の信頼性が高まるためです。文書管理を徹底することで、情報漏えいをはじめ文書の改ざん・紛失を防ぐことが可能です。
万が一、守秘義務のある文書が漏えいしてしまった場合、企業は損害賠償や信頼の失墜など大きな損失を被る懸念があります。
また、顧客とトラブルが発生したときに、過去のやり取りの内容・社内の議事録等を保管していれば、根拠に基づいた説明ができます。
文書管理は企業の信頼性が向上するとともに、自社のコンプライアンス強化にもつながります。
関連記事:文書管理のセキュリティを高めるには?5つのトラブルと4つの対策を紹介
コスト削減につながる
文書管理に注目が集まる理由の3つ目は、コスト削減につながることです。文書管理は業務の効率を向上させると同時に、管理にかかる手間を軽減できます。
また、文書管理にシステムを導入すれば、文書保管に必要なスペースのコスト削減にもつながります。
例えば過去の文書に対して、保管期限を設けずに管理をしていた場合、スペースを拡大し続けなければならず管理コストが増加してきます。
しかし、文書管理において定めたルールに従って、期限を過ぎたら廃棄をすれば、空いたスペースを有効に活用できます。
特に文書管理システムであれば、文書を管理する場所がクラウドストレージとなり大幅に場所のコストを削減できるでしょう。また、保管期限も管理できるため、保存から廃棄までのサイクルを効率よく回すことができます。
関連記事:文書管理方法を適切に行うためにやるべきことは?分類やメリットを徹底解説
法律で求められる文書管理
組織で扱う文書の中には、法定保存文書に該当する文書があります。法定保存文書とは、法律に保存期間が定められた文書のことを指します。
例えば商法・会社法・労働基準法などです。法律で定められた保存期限は最低限の期限で、その期限は法律によって変わります。
万が一この期限が守られない場合、法律によって罰則を科せられることがあります。
以下、企業で管理する書類の保存期間・起算日の一例を見てみましょう。
文書名 |
保存期間 |
起算日 |
根拠となる法律 |
---|---|---|---|
株主総会議事録 |
10年 |
株主総会の日 |
会社法第318条 |
取締役会議事録 |
10年 |
取締役会の日 |
会社法第371条 |
取引証憑書類 |
7年 |
その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日 |
法人税法施行規則第59、67条 |
源泉徴収に関する書類 |
7年 |
提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日 |
所得税法施行規則第76条 |
健康診断個人票 |
5年 |
作成日 |
労働安全衛生規則第51条 |
監査報告・会計監査報告 |
5年 |
定時株主総会の日の1週間(取締役会設置会社にあっては、2週間) |
会社法第442条 |
社会保険に関する書類 |
2年 |
完結日(退職日など) |
健康保険法施行規則第34条、厚生年金保険法施行規則第28条 |
法人税法施行規則 | e-Gov法令検索
所得税法施行規則 | e-Gov法令検索
労働安全衛生規則 | e-Gov法令検索
健康保険法施行規則 | e-Gov法令検索
厚生年金保険法施行規則 | e-Gov法令検索
関連記事:文書管理を行うときに気を付けるべき保存期間について徹底解説
文書管理をスムーズに行うためには電子化がおすすめ!
文書管理をスムーズに行うためのポイントは、文書の電子化です。新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、テレワークを推進している企業は少なくありません。
そのため、対面で文書を取り交わす場面が減少し、代わりに文書を電子化しメールやアプリケーションを使った契約の割合が増えていくことが考えられます。文書管理を電子化することで、管理に割いていた工数の削減が期待できます。
導入するシステムによっては、検索性が高く文書を一元管理することで素早く目的の文書にたどり着けたり、決裁の承認に便利なワークフローの機能が搭載されていることがあります。
文書管理の電子化にあたっては、自社の運用に合うシステムを検討し導入することがおすすめです。
関連記事:文書管理の電子化とは?実施方法からメリット・注意点まで詳しく解説
文書管理をスムーズに行うためにおすすめな手段
文書管理をスムーズに行うためにおすすめな手段は、以下の3つです。
- 文書管理システム
- ファイルサーバー
- ファイリングシステム
1つずつ見ていきましょう。
文書管理システム
文書管理をスムーズに行うためにおすすめな手段の1つ目は、文書管理システムです。文書管理システムとは、電子化した文書を管理するシステムです。
多機能なシステムが多く出ていますが、特に文書の検索性に優れ、文書を探し出す時間を短縮できることが特徴です。
また、外部システムとの連携が可能なシステムの場合、会計ソフト・営業支援ソフトなどと連携し、より効率的に業務を進められます。
他にも、文書の保管期間への対応ができるため、文書のライフサイクルの自動化が可能になります。
ただし、既存の紙文書のスキャニングが発生したり、システム導入のためのコストがかかるため、費用対効果の検証が必要です。
関連記事:文書管理システムのおすすめ13選を紹介!ツールを活用してスムーズに業務を進めよう
ファイルサーバー
文書管理をスムーズに行うためにおすすめな手段の2つ目は、ファイルサーバーです。ファイルサーバーとは、複数人で共有・管理できるコンピューター上にあるファイルの保管庫を指します。
そのファイルサーバーを利用して、電子化した文書を社員が共有・保存します。
システムを導入するよりもコストを押さえることができますが、文書管理システムと比較すると機能が少なかったり、アクセス制限などの設定に手間がかかることがデメリットといえます。
関連記事:オンラインストレージおすすめ7選を紹介!機能・メリット・導入時に確認すべきポイントも解説
ファイリングシステム
文書管理をスムーズに行うためにおすすめな手段の3つ目は、ファイリングシステムです。ファイリングシステムは、紙文書をファイルで管理することです。
これまでに広く活用されてきた方法で、保管場所があればキャビネット・ファイルを準備するだけでコストを押さえた運用ができます。
しかし、保管場所がなければファイルを保管するための物理的な場所が必要となり、文書が増えれば場所を拡大する必要があります。
そのため、保管場所のコストがかかります。また、過去の文書を探すために保管庫へ行ったり、取り寄せたりと時間と手間を必要とすることがデメリットといえます。
まとめ
今回は、文書管理の基本概要・注目されている理由・スムーズに行うために電子化をおすすめする理由を紹介しました。
文書管理が適切に行われることで、業務効率が向上し、社員の生産性アップが期待できます。効率よく行うための方法として、文書管理システムの導入を検討することがおすすめです。
文書が電子化されればシステムを使って一元管理が可能です。社員にとっては、必要な文書を探し出すための時間を短縮することで、業務上の負担が減ることにもつながります。
ストレスの少ない文書管理を進め、生産性高く業務を行える環境を実現しましょう。
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