そこで今回は、プロジェクト管理における進捗管理の意味や必要な理由、課題になる点を解説します。
【目次】
プロジェクト管理で必要な進捗管理
ここでは、プロジェクト管理の進捗管理に関わる基礎知識について、以下の2点を解説します。
- 進捗管理の意味
- プロジェクト管理で進捗管理が必要な理由
1つずつ見ていきましょう。
進捗管理の意味
基礎知識の1つ目は、進捗管理の意味です。進捗管理とは、プロジェクトマネージャ(PM)が責任者として、各プロジェクトメンバーが担当するタスクの進捗状況を確認し、作業計画との差を把握することです。
これによりプロジェクトの遅れやリスク、今後の作業予定をいち早く把握でき、プロジェクトの遅延や品質低下を防げるでしょう。また、取引先からの信頼醸成や納期遅延、トラブルを未然に防止することでのコスト削減にもつながるはずです。非IT分野の業務管理でも、進捗管理の必要性があると言えます。
プロジェクト管理で進捗管理が必要な理由
基礎知識の2つ目は、プロジェクト管理で進捗管理が必要な理由です。以下の一覧表に、3つまとめました。
スケジュールとタスクの進捗状況を容易に把握 |
各タスクやプロジェクトの進捗状況を可視化し、それらを容易に把握 |
早期にプロジェクトの課題を発見 |
プロジェクトを進める過程でトラブルや課題はつきものだが、進捗管理を行うことで問題点にいち早く気付いて適切な対策を講じられる |
作業を効率化 |
タスクの優先順位や手順を明確化することで、作業を効率化できる |
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プロジェクト管理の進捗管理でよくある4つの課題
ここでは、プロジェクト管理の進捗管理でよくある課題について、以下の4点を解説します。
- 進捗率の定義の共有
- チーム間の信頼構築
- タスク量の正確な把握
- ゴール設定の共有
1つずつ見ていきましょう。
進捗率の定義の共有
プロジェクト管理の進捗管理でよくある課題の1つ目は、進捗率の定義の共有です。進捗率を各メンバーが客観的に算出できるよう進捗率の定義をメンバー間で共有しましょう。各メンバーが主観的に進捗率を判断していると、プロジェクトマネージャーとメンバーの間でタスク完了の基準が異なるかもしれません。
その場合、メンバーはタスク完了と認識していても、プロジェクトマネージャーの基準ではタスク完了ではないという状況も出てきてしまい、スケジュール通りの進捗が難しくなります。
チーム間の信頼構築
プロジェクト管理の進捗管理でよくある課題の2つ目は、チーム間の信頼構築です。トラブルはプロジェクトの進捗に影響を与えるものです。しかし、チーム間の信頼関係が構築できていないと、他のメンバーにはなかなかミスなどの悪い報告をしにくいものです。
そのため、チーム間の信頼構築を十分に行い、さまざまなトラブルが発生しても相談しやすい雰囲気・環境を醸成し、速やかに連携しながらフォローし合いトラブルの解決を進めることが大切です。
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タスク量の正確な把握
プロジェクト管理の進捗管理でよくある課題の3つ目は、タスク量の正確な把握です。各メンバーが想定するタスク量と実際に必要なタスク量にずれが出ることはよくあります。まずは、タスクを完了するまでの行動が具体的になるまで細分化することが、タスク量を把握する上でのコツになります。また、メンバーによってタスクの作業量に対する工数の算定方法が異なると、各メンバーのタスク進捗を正確に認識できなくなります。
そのため、プロジェクトマネージャーは、工数の算定方法を明確にし、メンバーに共有しましょう。これにより、すべてのメンバーが同じ基準で進捗率を把握できるようになるはずです。
ゴール設定の共有
プロジェクト管理の進捗管理でよくある課題の4つ目は、ゴール設定の共有です。プロジェクトにおけるゴールを明確にし、メンバーで共有しましょう。
すべてのメンバーが1つのゴールに向かって協力する雰囲気を醸成できるとともに、プロジェクト成功にどれぐらいのタスクが必要なのかがわかりやすくなります。また、メンバーそれぞれがゴール達成に不要なタスクを理解し、無駄な労力を費やすリスクを軽減できるでしょう。
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プロジェクト管理の進捗管理を成功させる4つのポイント
ここでは、プロジェクト管理の進捗管理を成功させるポイントについて、以下の4点を解説します。
- 確実な現状把握
- 工数の見積
- 計画と実績の比較
- 改善策の立案
1つずつ見ていきましょう。
確実な現状把握
プロジェクト管理の進捗管理を成功させるポイントの1つ目は、確実な現状把握です。
現時点でプロジェクト全体を俯瞰し、プロジェクトを構成する各タスクについて、それぞれの進捗状況を明らかにしましょう。その中で、今後の作業において、遅延を発生させうる要因や課題などをできる限り抽出することでリスクの洗い出しを行いましょう。
トラブルが発生しても、すでにリスクとして想定していた内容であれば、速やかに対処できる可能性が高まります。
工数の見積
プロジェクト管理の進捗管理を成功させるポイントの2つ目は、工数の見積です。
残作業や現在判明しているプロジェクトの課題などを総合的に判断し、残りのプロジェクト工数を見積もりましょう。プロジェクトを進めていくうちに、当初想定していなかった項目の追加やタスクの抜け漏れ、想定外のトラブルが発生することは決して珍しくありません。それらを十分反映させて、なるべく正確な見積を行いましょう。
計画と実績の比較
プロジェクト管理の進捗管理を成功させるポイントの3つ目は、計画と実績の比較です。
計画工程表とこれまでの実施結果を比較することで、計画と実績の差を把握しましょう。両者の差がほとんどなければ問題ないと考えられますが、明らかに計画と比較して実績に遅れが生じている場合は、改善策を立案・実行しなければなりません。
改善策の立案
プロジェクト管理の進捗管理を成功させるポイントの4つ目は、改善策の立案です。
現状とその課題を解決すべく、改善策を立案します。スケジュール調整やリソースの追加などが改善策として挙げられます。一方で、場当たり的な対応に終始しないように、進捗遅れの根本的原因を調査し、再発をしないための改善も進めましょう。
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プロジェクト管理で進捗管理を行う主な手法
ここでは、プロジェクト管理で進捗管理を行う手法について、以下の4点を解説します。
- 日報
- ガントチャート
- カンバン方式
- プロジェクト管理ツール
1つずつ見ていきましょう。
日報
プロジェクト管理で進捗管理を行う手法の1つ目は、日報です。
プロジェクトメンバーが日報で進捗状況を記載することは、進捗管理を進める上で有効な手段の1つです。進捗状況だけでなく、計画通りに進んでいない場合にメンバーが原因や対策を自分なりにどのように考えているかも記載させましょう。ただし、日報を作成すること自体が負担となり、タスク対応の時間が奪われてしまっては本末転倒です。日報の作成・確認が過度な負担にならないように配慮しましょう。
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ガントチャート
プロジェクト管理で進捗管理を行う手法の2つ目は、ガントチャートです。
ガントチャートは、横軸に時間を、縦軸にプロジェクトを構成する各タスクの開始日と終了日を、それぞれ示したグラフです。横棒グラフの形状になります。作業工程が時系列で視覚的に分かりやすくなり、それぞれのタスクの所有日数が把握できるため、タスク管理が行いやすくなります。また、各タスクの進捗実績をガントチャートに記入すれば、プロジェクト全体の状況もわかりやすくなるでしょう。
関連記事:ガントチャートの作り方を解説!注意点・おすすめツールも紹介
カンバン方式
プロジェクト管理で進捗管理を行う手法の3つ目は、カンバン方式です。
カンバン方式とは、プロジェクトを構成するタスクを、1つ1つカードに記入する方式です。元々トヨタ自動車が製造現場の効率アップのため開発した方式ですが、製造業に限らずプロジェクト管理に広く用いられています。タスクをカードに書き出すことで、プロジェクトに必要なタスクの洗い出しが可能になります。
また、それらのカードをホワイトボードなどに張り出し、それらのカードを「作業中」、「完了」など現在の状況を示す枠に割り振れば、進捗報告がなくても各タスクの進捗状況が一目瞭然です。
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プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理で進捗管理を行う手法の4つ目は、プロジェクト管理ツールです。
プロジェクト管理ツールを利用すれば、多くの場合オンライン上で日報やガントチャートなどを効率的に作成できます。そのため、プロジェクトのタスク状況を容易にリアルタイムで確認・共有できます。また、プロジェクト管理ツールによっては、タスク管理ツール機能やチャットツール機能を備えている製品もあります。権限設定を細かく設定できるサービスもあり、特定のメンバーにのみに必要な情報共有ができます。
また、クラウドで提供されているプロジェクト管理ツールは、リモートワーク下でも円滑にプロジェクト管理を行うことができます。
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まとめ
今回は、プロジェクト管理における進捗管理の意味や必要な理由、課題になる点を解説しました。プロジェクトを進行する上では進捗管理を確実に行うことで、プロジェクトの課題にいち早く気づいて対策を立案できる上に、作業の効率化も期待できます。
プロジェクト全体で統一の基準でタスクの進捗率を計測し、それをチームメンバー同士で共有することで、チーム内でプロジェクト全体の進捗状況を理解できるでしょう。プロジェクト管理を成功に導きたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、プロジェクト管理で進捗管理を行うには、日報やガントチャートを紙やExcel(エクセル)で作ることも有効ですが、自社の管理方法や目的に合わせてプロジェクト管理ツールを活用してみてもよいでしょう。
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