退職などで担当従業員がいなくなると、業務の品質・作業時間が大幅に低下しかねないからです。どの従業員が担当しても一定水準以上の業務を遂行できるようにするため、業務の標準化が求められます。
しかし、業務標準化の手順や進め方のポイントを理解していなければ、業務を適切に行えないでしょう。
そこで今回は、業務標準化の意味やメリット・デメリットに加え、その進め方やポイントを解説します。
【目次】
業務標準化とは
ここでは、業務標準化に関する基礎知識を以下の3点から解説します。
- 意味
- 種類
- 業務平準化との違い
1つずつ見ていきましょう。
意味
業務標準化に関する基礎知識の1つ目は、業務標準化の意味です。
業務標準化は、どの従業員でも、いつでも同じように業務を遂行できるように、既存業務の手順を最適な内容に整備し、可視化することです。
業務標準化により業務の進行方向や判断基準を社内で統一できるため、業務品質の確保や属人化防止などの効果を期待できます。
関連記事:プロジェクト管理の標準化とは?必要な理由・標準化するための注意すべきポイントを詳しく解説!
種類
業務標準化に関する基礎知識の2つ目は、業務標準化の種類です。ここでは、以下の2点から解説します。
- 業務フローの標準化
- タスクの標準化
1つずつ見ていきましょう。
業務フローの標準化
業務標準化の種類の1つ目は、業務フローの標準化です。
業務フローの標準化では、業務全体の流れを整理して最適なものを立案します。既存の業務フローには、多くの場合課題があるものです。それらの課題を解決することで、よりよい業務フローの作成を目指します。
タスクの標準化
業務標準化の種類の2つ目は、タスクの標準化です。
タスクの標準化では、業務フローにおける個々の作業内容・方法を均一化します。現行のタスクの流れを可視化し、最適な方法を立案することで、タスクの標準化を実現できます。業務マニュアルを作成すれば、再現性を確保できます。
関連記事:タスク管理とは?効率的な実施方法からおすすめのツール8選をまとめて比較・解説
業務平準化との違い
業務標準化に関する基礎知識の3つ目は、業務平準化との違いです。
「業務平準化」は、一部の従業員に負担が集中することを回避し、全従業員に均等に業務を割り振ることを意味します。一方、「業務標準化」は業務の方法を均一化することです。
業務標準化ができていないと、後述する属人化が起こりやすくなり、業務平準化が進めにくくなります。業務平準化を実現する上で業務標準化は重要なポイントです。
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業務標準化の目的
ここでは、業務標準化の目的を以下の3点から解説します。
- 業務の品質を安定させる
- 業務の属人化を防ぐ
- 業務を効率化する
1つずつ見ていきましょう。
業務の品質を安定させる
業務標準化の目的の1つ目は、業務の品質を安定させることです。
業務標準化では、業務プロセスを見直します。その際、業務効率だけでなく品質確保の面でも効果的なプロセスを設定するため、業務品質の安定化につながるのです。
細かな作業内容が従業員によってバラバラになると、業務品質にバラツキが生じかねません。それを防ぐことも、業務標準化の大事な目的です。
関連記事:プロジェクト管理での品質管理において押さえるべきポイントを徹底解説!
業務の属人化を防ぐ
業務標準化の目的の2つ目は、業務の属人化を防ぐことです。
業務の属人化が発生すると、特定の従業員しか仕事のノウハウや進捗状況などを把握していないため、その従業員が不在時には業務の品質低下や進捗遅れにつながりかねません。
しかし、業務の標準化を行うことで、業務のノウハウや進捗状況をメンバー間で共有でき、業務の属人化を防止できるのです。
関連記事:業務の属人化とは?原因・リスクと改善するための5つのステップを解説
業務を効率化する
業務標準化の目的の3つ目は、業務を効率化することです。
業務の標準化を行う過程で、既存業務の問題点を抽出できます。無駄なプロセスや工程のムラも把握できます。これらの問題点や課題を是正することで、業務プロセスを効率化できるのです。
多くの従業員が標準化された業務に取り組む過程でスキルが向上すれば、一層の業務効率化につながるでしょう。
関連記事:ビジネスチャットで実現する業務効率化とは?導入時に押さえたいポイントも解説
業務標準化のメリット
ここでは、業務標準化のメリットを以下の3点から解説します。
- 従業員の負担を軽減できる
- 生産性が向上する
- 人材育成をしやすくする
1つずつ見ていきましょう。
従業員の負担を軽減できる
業務標準化のメリットの1つ目は、従業員の負担を軽減できることです。
業務標準化を通じ、業務の属人化防止が可能になります。これにより、比較的余裕がある従業員が標準化された業務を実施できるようになるため、従業員の負担を軽減できるでしょう。
また、業務の引き継ぎが容易になる点も、業務標準化のメリットです。
生産性が向上する
業務標準化のメリットの2つ目は、生産性が向上することです。
業務標準化を実施する過程で業務全体のフローを見直すため、業務の効率化につながります。また、作成した業務フローやマニュアルを共有することで業務の属人化防止が可能になる点も、生産性向上につながるでしょう。
関連記事:生産性向上が企業活動で求められている!取り組み方や成功のポイントも解説
人材育成をしやすくする
業務標準化のメリットの3つ目は、人材育成をしやすくすることです。
業務標準化の過程で、これまで暗黙知になっていたナレッジを形式知化できます。これにより、業務の引き継ぎ・指導が行いやすくなるため、人材育成をしやすくなるでしょう。
このことは、人材不足や人材の流動性向上が企業活動の課題になっている昨今、大きな意味をもちます。
関連記事:暗黙知とは?ナレッジマネジメントで形式知化すべき理由・役立つツールも解説
業務標準化のデメリット
ここでは、業務標準化のデメリットを以下の2点から解説します。
- 標準化に不向きな業務もある
- 従業員のモチベーションを下げるリスクがある
1つずつ見ていきましょう。
標準化に不向きな業務もある
業務標準化のデメリットの1つ目は、標準化に不向きな業務もあることです。
専門性が必要な業務や個人の経験・スキルが大きく求められる業務は、標準化に不向きと言えます。
また、実施期間などが限られており、業務標準化の効果とその手間を比較した際に明らかに手間が多い場合は、無理に業務標準化を実行する必要はありません。
従業員のモチベーションを下げるリスクがある
業務標準化のデメリットの2つ目は、従業員のモチベーションを下げるリスクがあることです。
業務の標準化を行うことで仕事の自由度が減少し、かえって従業員のモチベーション低下につながるケースもあるかもしれません。
それを防ぐためには、上層部の一存で一方的に業務標準化を進めるのではなく、現場とのコミュニケーションを徹底し、業務標準化の必要性などを十分に説明する必要があります。
業務標準化の進め方
ここでは、業務標準化の進め方を以下の5点から解説します。
- 業務の現状把握を行う
- 優先的に標準化すべき業務を明らかにする
- 現状の業務フローを洗い出す
- 業務フローを再構築・マニュアル化する
- PDCAサイクルを回して改善を怠らない
1つずつ見ていきましょう。
業務の現状把握を行う
業務標準化の進め方の1つ目は、業務の現状把握を行うことです。
業務の現状把握を行うために、例えば以下のポイントを定量化してみましょう。
- 業務工数
- 業務頻度
- 業務難易度
生産性に課題がある業務や属人化が見られる業務についても、担当者へのヒヤリングなどを通じて洗い出すことがおすすめです。
優先的に標準化すべき業務を明らかにする
業務標準化の進め方の2つ目は、優先的に標準化すべき業務を明らかにすることです。
企業活動では多くの業務を行う必要があるため、全ての業務について標準化を進めることは、コストや時間の面で現実的ではありません。
業務の優先度や難易度などを踏まえ、優先的に標準化すべき業務を明らかにしましょう。
現状の業務フローを洗い出す
業務標準化の進め方の3つ目は、現状の業務フローを洗い出すことです。
現状の業務フローを洗い出すために、フローチャートの作成がおすすめです。フローチャートにより業務全体を可視化でき、業務の標準化に支障となっているポイントも見つけやすくなります。
業務フローを再構築・マニュアル化する
業務標準化の進め方の4つ目は、業務フローを再構築・マニュアル化することです。
現状の業務フローから、現在行っている業務と合っていない部分や非効率な部分を見つけ出し、再構築しましょう。
さらにマニュアル化までできれば、業務全体の流れに加えて詳細な業務内容も整理できるため、一層の業務標準化につながるでしょう。
関連記事:文書管理マニュアルの作り方!作成時のポイントも詳しく解説
PDCAサイクルを回して改善を怠らない
業務標準化の進め方の5つ目は、PDCAサイクルを回して改善を怠らないことです。
業務標準化に向けた取り組みは、単に実行して終わりにしてはいけません。大切なことは、業務標準化を行った上で課題を克服すべくPDCAサイクルを回すことです。
これにより、業務標準化の効果は一層大きくなります。
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ビジネスコミュニケーションツールです。
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業務標準化のポイント
ここでは、業務標準化のポイントを以下の3点から解説します。
- 業務標準化の目的を関係者間で一致させる
- 現場のアイデアを取り入れる
- ITツールを用いる
1つずつ見ていきましょう。
業務標準化の目的を関係者間で一致させる
業務標準化のポイントの1つ目は、業務標準化の目的を関係者間で一致させることです。
業務標準化の目的は、作業時間短縮や品質向上など、いくつかの目的が考えられます。関係者間でそれらの目的に齟齬が生じると、業務標準化に向けた取り組みが滞りかねません。
最初に業務標準化の目的を定め、それを関係者間で一致させておくことが大事です。
関連記事:社内の情報共有は課題解決に必須!役立つツールの種類や促進成功事例も解説
現場のアイデアを取り入れる
業務標準化のポイントの2つ目は、現場のアイデアを取り入れることです。
実際に業務を担う現場の従業員が、経営層や外部からは見えにくい知見を有することは珍しくありません。そのような現場の知見や現場からのアイデアを活用すれば、より業務標準化につながるでしょう。
ITツールを用いる
業務標準化のポイントの3つ目は、ITツールを用いることです。
業務の標準化に役立つITツールは多数あります。例えば、社内Wikiなどを活用すれば、手軽にマニュアルを作成・共有できます。
また、プロジェクト管理ツールを活用すれば、業務の進捗度合いを一目で確認し、業務標準化に向けて現状把握や顧客像が容易になるでしょう。
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まとめ
今回は、業務標準化の意味やメリット・デメリットに加え、その進め方やポイントを解説しました。業務標準化には、業務フローとタスクの標準化があります。また、業務平準化を実現する前段として、業務標準化が必須です。
従業員の負担軽減や生産性向上などのメリットがあるものの、標準化に不向きな業務もあることなどにも留意しましょう。
業務標準化は、現状把握してから優先順位付けしつつ具体的な方法を実行していく必要があります。その際、目的を明確にして取り組むことが成功のために欠かせません。
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