しかし、社内SNSは注意点を押さえておかなければ、ただ新しいツールを導入しただけになってしまい、うまく活用できません。
「社内SNSで、より良いコミュニケーションを実現するための注意点は?」と疑問に思う社内担当者もいるでしょう。
そこで今回は、社内SNSの運用がうまくいかなかった事例と注意点を、導入前と導入後に分けて詳しく解説します。
社内SNSを効果的にうまく活用したいと考えている社内SNSの運用担当者は、ぜひご一読ください。
【目次】
社内SNSの運用がうまくいかなかった事例からみる注意点
社内SNSの注意点を理解するために、運用がうまくいかなかった事例を知っておくと参考になります。ここでは、社内SNSの運用事例について、以下の2点を解説します。
- 投稿数が少ない
- 決まった使われ方しかしない
1つずつ見ていきましょう。
投稿数が少ない
社内SNSの運用事例の1つ目は、投稿数が少ないことです。投稿数が少ないと、社内SNSがあまり活用されず利用頻度が減少してしまいます。
投稿が減る理由は「ツールの使い方が分からない」、「上層部や管理職も閲覧すると思うと使いづらい」、「ユーザーが一部の従業員に限られてしまっている」などの原因が考えられます。
また、投稿しても返信コメントや反応がない場合、従業員が投稿しづらくなることも少なくありません。例えば、X(旧Twitter)やFacebookは投稿に対する「いいね」の数が表示される仕組みになっています。
自分の投稿に対してリアクションがあると、投稿してみようという動機付けになるためです。社内SNSでも同様に、誰も反応する人がいないと、投稿する人は少なくなるでしょう。
決まった使われ方しかしない
社内SNSの運用事例の2つ目は、決まった使われ方しかしないことです。例えば、投稿がプライベートな話題ばかりになってしまったり、日報の報告のみに偏ってしまったりする状態が該当します。
まず、「特定の人だけが活用している」場合は、社内SNSの本来の目的である「全従業員の情報共有やコミュニケーションの促進」が実現されていない状況だと言えます。
全員が参加できていなければ、一部の意見交換しか行われず、情報の偏りや誤解が生まれる可能性があります。
また、社内SNSの活用に積極的な従業員とそうでない従業員との間に差が生じ、組織全体の一体感が損なわれる恐れもあるでしょう。
次に、「日報報告のためだけに使われている」ケースでは、社内SNSの多機能性が生かされず、十分なパフォーマンスが発揮できていない状況です。
社内SNSはただ情報を共有するだけでなく、従業員間の意見交換やディスカッションが行えるツールです。日報以外の情報も積極的に共有できるよう、仕組みづくりをする必要があるでしょう。
関連記事:社内SNSの失敗例とその理由は?成功に向けた4つのポイントも解説
社内SNSの導入前の注意点
これまで紹介した事例を踏まえて、社内SNSを導入する前にはいくつかの注意点を押さえる必要があります。
ここでは、社内SNS導入前の注意点について、以下の6点を解説します。
- 導入目的を設定する
- ツールに求める機能を定義する
- 導入・運用コストを見極める
- 従業員が使いやすいツールを選ぶ
- ツールのセキュリティ性を確認する
- 段階的に導入する
1つずつ見ていきましょう。
導入目的を設定する
社内SNS導入前の注意点の1つ目は、導入目的を設定することです。目的が明確でないと、SNSツールの選定や運用ルールが定まらず、結果として導入後の運用が難しくなります。
導入目的を設定するときには、まず、どのような課題を解決したいのか、またはどのような改善を目指しているのかを明確にしましょう。例えば、下記のように具体的な導入目的を設定します。
- メールや会議による情報共有の手間を削減し、作業効率を向上させたい
- 部門間の壁を取り払い、全従業員が自由に意見や情報を交換できる場にしたい
- 従業員の声が直接経営層に届く場とし、満足度やモチベーションを向上させたい
- リモートワーク時のコミュニケーションを円滑にして、多様な働き方を推進したい
社内SNSの利用は、導入目的を明確に設定することで、有効なコミュニケーションツールとして機能し、企業運営にも大きな影響を与えるでしょう。
関連記事:社内SNSの導入目的とは?運用までの流れも詳しく解説
ツールに求める機能を定義する
社内SNS導入前の注意点の2つ目は、ツールに求める機能を定義することです。目的を果たすために必要な機能を備えたツールを選びます。
例えば、従業員の情報共有を促したい場合は、リアルタイムに情報が更新され、ファイル共有が可能なチャット機能が必要となるでしょう。
一方、プロジェクト管理を主に行いたいのであれば、タスク管理や進行状況のトラッキング機能を備えたツールが向いています。
また、企業の規模によっても求められる機能は異なります。大企業の場合、大人数のユーザーが一度に管理できるツールが必要となります。
一方、小規模企業では、よりシンプルで使いやすいツールのほうが使い勝手が良いかもしれません。
そのため、ツール導入前には、自社の要望やニーズに基づき、必要な機能をリストアップし、それに合ったツールを選択することが重要です。
導入・運用コストを見極める
社内SNS導入前の注意点の3つ目は、導入・運用コストを見極めることです。
SNSツールそのものの購入費用やライセンス費用に加えて、設定やカスタマイズに必要な人的リソースや時間、従業員への研修費用なども検討しましょう。製品の価格だけでなく、導入するときのコスト総額を把握することが重要です。
ツールの運用にかかるコストも忘れてはなりません。これには、システムのメンテナンス・アップデート・セキュリティ対策・障害時の対応などのコストが該当します。
メンテナンスなどの運用コストは見落としがちですが、ツールの使用を継続する上で無視できない項目です。
従業員が使いやすいツールを選ぶ
社内SNS導入前の注意点の4つ目は、従業員が使いやすいツールを選ぶことです。
従業員が「使いづらい」「操作が煩雑」「理解しにくい」と感じれば、社内SNSの使用頻度は自然と下がってしまいます。結果として、導入したものの社内SNSが使われなくなるという事態になりかねません。
例えば、PCを普段利用しない従業員が多い職場では、スマートフォンやタブレットでも利用しやすいツールを選ぶ必要があります。
一方で、エンジニアのようなITリテラシーが高い従業員が多い職場や企業では、自分たちでカスタマイズしたり、拡張したりできるツールが適しているでしょう。
また、すでに業務で使用しているツールがある企業で、新たに社内SNSを導入する場合は、連携が容易なツールを選ぶと良いでしょう。
例えば、タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールを使用している場合は、社内SNSと連携してチャットを容易に行える機能があると、タスクの進捗状況が共有しやすくなります。
また、ファイル共有ツールと連携できれば、必要な資料の参照や共有が一元化でき、業務効率化につながるでしょう。
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ツールのセキュリティ性を確認する
社内SNS導入前の注意点の5つ目は、ツールのセキュリティ性を確認することです。業務上の情報交換を行う社内SNSを選択するときには、セキュリティが非常に重要です。
例えば、アクセス制限やパスワードロック機能の有無などをチェックしましょう。また、通信が暗号化されているか、データセンターが安全に運用されているかも重要です。
さらに、第三者による脆弱性評価の結果も参考にすることで、より安心して使用できるツールを選ぶことができるでしょう。
関連記事:社内SNSのセキュリティリスクは?強化するための運用ルールも解説
段階的に導入する
社内SNS導入前の注意点の6つ目は、段階的に導入することです。社内SNSを導入するときには、いきなり全体で実施するのではなく、一定のテスト期間を設けることをおすすめします。
一部の部署やプロジェクトチームでの使用を開始し、その結果を元にツールの使い勝手や効果を評価します。テスト運用でのフィードバックは、全社導入のための有用な知見を得るために重要です。
また、段階的に導入することで、運用ルールを策定するときにも役立ちます。テスト期間を設けてから導入することで、社内SNSを定着させやすくなるでしょう。
関連記事:社内SNSを定着させるために何をすべき?コツやステップを徹底解説!
社内SNS運用時の注意点
社内SNSを導入した後、実際に運用するときにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、社内SNS運用時の注意点について、以下の4点を解説します。
- 導入目的を従業員に周知する
- 運用ルールを策定する
- 従業員が投稿しやすい雰囲気を作る
- 社内に運営チームを作る
1つずつ見ていきましょう。
導入目的を従業員に周知する
社内SNS運用時の注意点の1つ目は、導入目的を従業員に周知することです。
従業員に導入目的を周知するためには、ツールの導入時にオリエンテーションや勉強会を実施しましょう。そこで、社内SNSの目的や適切な使い方、情報共有の範囲や運用ルールなどを説明していきます。
また、社内SNSの活用によって得られた具体的な成果や改善例を定期的に共有するのも効果的です。従業員の理解を深め、社内SNSの活用に対するモチベーションを高めることができるでしょう。
運用ルールを策定する
社内SNS運用時の注意点の2つ目は、運用ルールを策定することです。
社内SNSでは、他人を尊重し誹謗中傷を避けるなど、基本的なマナーが必要です。そして、秘密情報や機密性の高い情報についての取り扱いについて提示しておくことも重要です。
情報漏洩を防ぐために、どのような情報を共有して良いか、共有すべきではないかを運用ルールに盛り込んでおきましょう。
さらに、社内SNSでの投稿が業務時間に影響を及ぼさないよう、利用時間や頻度についてのガイドラインを設けるのも1つの方法です。
関連記事:社内SNSのガイドラインを徹底解説!目的・記載内容・作成ステップも詳しく紹介
従業員が投稿しやすい雰囲気を作る
社内SNS運用時の注意点の3つ目は、従業員が投稿しやすい雰囲気を作ることです。
社内SNSの目的の1つに、組織全体のコミュニケーションの活性化があります。従業員が気軽に投稿でき、自由に意見を交換する雰囲気があると、活発なコミュニケーションが行われ、組織全体の生産性向上につながります。
また、社内SNS上で上司が叱咤するような行為を避けることも重要です。業務報告や従業員の投稿に対して上司から批判されると、従業員が発言を控えてしまう可能性があります。
そして、上司自身がポジティブな発言を積極的に行い、多様な投稿を受け入れる姿勢を示すことも大切です。
肯定的なフィードバックを行うことで、社内SNSがオープンで活発なコミュニケーションを行える場となるでしょう。
社内に運営チームを作る
社内SNS運用時の注意点の4つ目は、社内に運営チームを作ることです。
社内SNSを新たに導入した直後は、誰もが初めての投稿にためらいを感じてしまうものです。そのため、最初に運営チームが率先して社内SNSを活用しましょう。
可能であれば他部署からも積極的に参加者を募り、社内SNSが活発に使用されている環境を作り上げていきます。
さらに、社内SNS使用中に不明点が出た場合の相談先を事前に明示しておくと、操作に不慣れな従業員も安心して利用できるようになります。
関連記事:社内SNSの運用を成功させるポイントは?事例も紹介
まとめ
今回は、社内SNSの運用事例と注意点を、導入前と導入後に分けて詳しく解説しました。
社内SNSは単に新しいツールを導入するだけではなく、その活用方法が重要です。導入前には、従業員のニーズや業務に合わせた目的の設定や機能選択をする必要があります。
一方で、導入後には社内SNSの導入目的を従業員に周知し、運用ルールを策定することも重要です。
社内SNSを導入するときには、本記事で紹介したポイントを押さえて、運用の参考にしてみてください。
コミュニケーションツール活用のポイント
コミュニケーションツールを導入し利用しているものの、うまくコミュニケーションが取れないと感じていませんか?
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